サントリーオールドは、サントリーが販売している日本のブレンデッドウイスキーです。
丸っとしたボトルの形から「ダルマ」や「タヌキ」などの愛称でも呼ばれており、長い期間販売されている銘柄で、甘く華やかな風味や優しくなめらかな口当たりが特徴です。
今回は、このサントリーオールドについて詳しく紹介していきます。
サントリーオールドのことを深く知りたい人やサントリーオールドを今まさに頼もうか買おうか迷っている人の参考になるような情報を提供していきます!
- サントリーオールドは、日本のウイスキー。ダルマの相性で親しまれています。
- ラインナップは1本のみも過去には、特級レベルのものや年初には毎年干支ラベルの「だるま」が販売される。
- サントリー宣伝部の巧みなキャッチコピー・CMと二本箸作戦により「だるま」は広がっていた。
- 過去には、オールドショックといわれる事件もあったが、現在では盛り返し、多くの人々に愛されるウイスキーになっている。
味わいとラインナップ
ラインナップは現在オフィシャルで販売されているスタンダード品のサントリーオールドのみです。
1本2,000円以内で購入できるウイスキーですが、山崎蒸溜所のシェリー樽原酒を中心として作られているため、上品な味わいを楽しめる銘柄です。
シェリー樽由来の上品な香りとレーズンやカラメルのような甘い味わいが特徴です。
そのため、ウイスキー初心者やシェリー樽由来のウイスキーが好きな方におすすめ。
クセが少なく飲みやすい銘柄なので、水割りやハイボールでとんかつや天ぷらなどの和食と合わせて楽しむのも良いですよ!
また、定番品ではありませんが、期間限定で以下のような銘柄も販売していました。
サントリーオールド特級ラベル
サントリーオールドの中でも特級表記のラベルのものを指します。
特級表記とは、酒税法に基づいて1962年から1989年まで続いていた制度で、一定の基準を満たして認められると特級表記をすることが可能でした。
具体的な基準は明確には残っていませんが、アルコール度数43度以上で原酒(時代によって比率は変わりますが、20〜27%以上が基準)が入っていると特級とされていた時代もありました。
1989年に酒税法の特級表記が廃止されたため、それ以前に作られたサントリーオールドのみ特級ラベルが付いています。
今は入手するのはかなり困難。バーで見かけることがあったら幸運です。
ただ、特級ラベルでは原酒の混和率が20〜27%以上が基準ですが、当時は正確に割合を守っていたという訳でもないため、作られた時期によってはスプリッツを入れたりカラメルで色を調整しているものもあります。
サントリーオールド干支ラベル
数量限定で毎年発売されている干支ボトルです。
2024年現在で42回目の販売となっており、日本を感じられる華やかで美しいデザインは毎年好評です。
サントリーオールドの歴史
サントリーオールドのリリース
サントリーローヤルは、1940年に山崎蒸溜所で作られたウイスキーです。
サントリーは、1923年より国産ウイスキーの製造を開始し、1929年より白札・赤札と呼ばれるウイスキーをリリース(のちのニッカウヰスキー創業者である竹鶴政孝がサントリーに在籍し、一緒に開発しました)。
しかし、売れ行きがあまりよくなく、竹鶴政孝の退職後にサントリーウイスキー12年(=角瓶)をリリースします。そしてこのサントリーウイスキー12年のリリースによって、サントリーとして初めて成功します。
その後、軌道に乗ったサントリーが新たに作り出したのが、サントリーオールドです。1940年にはすでに完成していたサントリーオールドですが、当時日本は戦時中だったため販売ができず、正式に販売できるようになったのは、10年後の1950年でした。
発売当初は高級品だった?庶民に広げた二本箸作戦とは?
今は1本2,000円程度で気軽に楽しめるウイスキーとなりましたが、発売当初は一般家庭ではなかなか飲めない高級品でした。
そのため、1950年代〜1960年代ではサントリーオールドは「出世してから飲む酒」と言われており、バーでサントリーオールドを注文するのが1つのステータスになっていた時期もあります。
こうしてパー・クラブなどのお店で人気を集めたことでサントリーを代表するウイスキーとなったのです。
1970年代には、料亭や寿司屋などの日本料理店に向けて営業を行ったことで、さらにウイスキーが浸透しました。この作戦は日本料理には日本酒が当たり前と言われていた当時、ウイスキーをさらに広める作戦として成功を果たし、「二本箸作戦」とも言われています。(作戦名の由来は、バーだけでなく「箸」のあるところにもウイスキーを置こうというものでした。)
今では日本料理店でも普通にウイスキーが楽しめますが、これはサントリーが営業をしたことがきっかけとなっているのです。
だるまという愛称で親しまれるきっかけ
だるまという愛称は、その膨れあがったボトルの形から来ています。しかしながら、なぜここまで普及したのでしょうか。それには、当時のサントリー宣伝部の力があります。
当時、サントリーの宣伝部には、芥川賞作家の開高健氏が所属し、また直木賞作家山口瞳氏は元サントリー宣伝部のため業務に携わっていました。
言葉を操る天才である二人の作家が巧みな宣伝を打ったことで当時の人々の心にだるまが残っていることは間違いないでしょう。
また、1967年のテレビCMも印象的です。心に訴えかけるようなフレーズを連発していたことがとても印象に残ったようです。
事件!?オールドショックとは?
その昔には、「オールドショック」と呼ばれる事件があり、ウイスキーとは呼べないものを作っていた過去もあります。
事件の発端となったのが1981年。
日本消費者連盟がサントリーオールドの成分を調査したところ、オールドは熟成されていない少量の原酒に穀物アルコールを加えて、カラメルやリキュールを使って味や色を調整していただけのものだった可能性があると判断されたのです。
これに対するサントリー側の説明も「オールドの成分に45.1%含まれている「グレンウイスキー」は穀物を意味する「グレーン」ではなく、製造地の山崎峡という地名にちなんだ渓谷の「Glen(グレン)」であるというもの。
当時オールドウイスキーはかなり売れており、知名度も高い銘柄だったためあまりに曖昧な回答に衝撃が走りました。
当時、酒税法によって特級表記をしていたサントリーオールドですが、なぜウイスキーの基準をクリアできていたかというのが気になりますが、これは酒税法によって特級表記をするためには樽の熟成年数の申請が不要だったという点も原因の1つだと言えるでしょう。
その後、サントリーは改良を行い、現在は正式なウイスキーを名乗れるようになっています。
現在のだるま
1994年には、一部の人しか飲めないウイスキーから万人に好かれるウイスキーにするため、キャッチフレーズを「リッチ&メロー」から「マイルド&スムーズ」にリニューアル。
2006年には、「THEサントリーオールド」という名称に変わり、2008年には「サントリーオールド」と改名され今に至ります。
また、サントリーオールドは現在は、山崎蒸溜所の原酒をキーモルトとして作られています。
色々な紆余曲折はありましたが、日本人が好むように長年開発されてきたウイスキーは今でも根強いファンがいます!
まとめ
お読みいただいたように、サントリーオールドには日本のウイスキーの歴史そのものが詰まっています。年上の方と飲むのに良いお酒かも知れませんね。また、縁起物として年末年始に干支ボトルを買うのも楽しいですね。
価格も買いやすいので、日常で楽しむウイスキーとして扱いやすいです。是非だるまを飲んでみてください!