長濱蒸溜所のワールドブレンデッドウイスキー「AMAHAGAN」のご紹介

ウイスキーを知ろう!

「長濱蒸溜所」は滋賀県にある日本の蒸留所で、「AMAHAGAN」という銘柄を作っている蒸溜所です。AMAHAGANを後ろから読むと、、、「NAGAHAMA(長濱)」になりますね。地域に根ざしている酒造メーカーです。

長濱蒸溜所が2018年にリリースしたワールドブレンデッドウイスキー「AMAHAGAN」。リリースから間もなく、ウイスキーの品評会で数々の賞を受賞し、高度なブレンドの技術が注目を浴びています。

今回は「AMAHAGAN」ウイスキーのこだわりの製法やその味わいを紹介します。

編集部
編集部
  • 長濱蒸溜所は滋賀県長浜市にある蒸溜所で、代表作である「AMAHAGAN」の名前は、長濱をアルファベットで逆さに呼んだもの。
  • ビール醸造所に併設する形で建てられており、日本では珍しいアランビック型の蒸留器を使用。「一醸一樽」を掲げ、熟成用の樽にもこだわりが深い。
  • 廃道になったトンネルや廃校など、熟成環境もさまざまに試しており、今後もどのようなウイスキーを生み出してくれるのか楽しみである。
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長濱蒸溜所・AMAHAGANの歴史

長濱蒸溜所の設立から現在までの歩みと主要ラインナップである「AMAHAGAN」の人気について紹介していきます。

長濱蒸留所の設立

長濱蒸溜所は滋賀県長浜市、琵琶湖の北東側に所在しています。

2016年11月に2基の小さなスチル(蒸留器)を導入して、「長濱蒸溜所」がオープンしました。「長濱蒸溜所」はビールの醸造所に併設されており、1995年創業の「長濱浪漫ビール」が母体となっています。

現在までの歩み

蒸溜所設立から2年後の2018年、シングルモルトのリリースに向けてウイスキー造りに重要な「ブレンド」に焦点を当てた、ブレンデッドモルトウイスキー「AMAHAGAN」がリリースされました。

この「AMAHAGAN」がワールドウイスキーアワード2020年で、部門金賞を受賞。蒸溜所設立から4年で早くも高い酒質が評価されました。

“ワールドウイスキーアワード”とは

ウイスキーマガジンの発行元であるパラグラフ・パブリッシング社(所在地:英国ノリッチ)が主催する、製造者及び所有元の明確なボトリングのみを対象とした、他に類を見ないウイスキーのみを対象としたコンペティションです。2007 年より毎年実施されており、一貫してブラインドテイスティングにより審査を行っています。

その審査は3つのラウンドに分かれており、第1ラウンドにおいては、各カテゴリー内で熟成年数によって細分化されたサブカテゴリーごとの勝者を選出しています。第2ラウンドで各熟成年数部門の勝者を集め国内最高賞(カントリーウィナー)を決定し、最終ラウンドにて世界最高賞となる1本 「World’s Best」を選出します。

「AMAHAGAN」のリリースから2年後の2020年、「シングルモルト長濱」が満を持して発売されました。シングルカスクかつカスクストレングスでのボトリングという強いこだわりから生産本数はおのずと限られ、昨今のジャパニーズウイスキー人気も相まって入手困難な銘柄となっています。

設立当初は2基しかなかったスチルですが、現在では3基に増えています。全てポルトガルのホヤ社製のアランビック型のスチルです。

現在のオーナー

長濱蒸留所のオーナーは、1995年設立の「長濱浪漫ビール」です。現在(2022年時点)までオーナーの変更はありません。

AMAHAGANの人気

前述したワールドウイスキーアワード2020年に加え、2022年にも長濱ウイスキーは数多くの賞を獲得しました。これにより「AMAHAGAN」の定番ラインナップ5種は全て賞を獲得したこととなり、味わいとブレンドにおいて高く評価される銘柄となりました。

近年、漫画やバーテンダーなどとコラボした限定生産の「AMAHAGAN」がリリースされるなど、その勢いはとどまることを知りません。

AMAHAGANの製法の特徴

ブレンドとボトリングのこだわり

「AMAHAGAN」は海外のモルトウイスキーをベースに、長濱蒸溜所のモルトを絶妙にブレンドしたモルト100%のワールドブレンデッドモルトウイスキーです。

モルティな味わいを最大限に生かすためアルコール度数47度でボトリングしています。また、冷却ろ過を行わないノンチルフィルタード製法とウイスキーに色を付けないノンカラーでボトリングしており、本格的なウイスキー造りにこだわっています。

麦芽の特徴

「AMAHAGAN」にブレンドされる長濱モルトはノンピートタイプとライトピーテッドタイプの麦芽を使用しています。ノンピートタイプはビール用大麦、ライトピーテッドタイプはスコットランドのクリスプ社製の麦芽などです。

この麦芽の粉砕や発酵までの仕込みは併設のビール醸造所で行っています。

蒸留設備

長濱蒸溜所の蒸留器は初留2基、再留1基で計3基が稼働しています。いずれもポルトガルのホヤ社製で、スコットランドのストラスアーン蒸溜所(スコットランドでも比較的新しい小規模な蒸溜所)を参考にして、ホヤ社の蒸留器が採用されました。日本では数少ないアランビック型で容量は全て1000ℓと最小サイズになっています。

1度の仕込みで得られるニューポットは200ℓ(約1樽分)であり、蒸溜所が掲げる「一醸一樽」はこの最小サイズのスチルによる生産体制を体現しています。

樽へのこだわり

「AHAHAGAN」では主にミズナラ樽、赤ワイン樽、サクラ樽でフィニッシュした個性的なラインナップが特徴です。樽にコストをかけているブランドといえますね。

いずれも樽への加工や調達に手間がかかりますが(コストもかかります)、この手間が高く評価される所以といえるでしょう。どの製品も使用した樽の影響が香りや味わいに分かりやすく表れていて、ユニークな仕上がりになっています。

この他にもテストバッチとして、多彩な種類の樽で熟成を行っており、今後のリリースが楽しみな蒸溜所です。

熟成環境のこだわり

同蒸溜所は、廃道となった長浜市内の全長約300mのトンネルや廃校となった小学校などを熟成庫として使用しています。

この他にも琵琶湖の竹生島や沖縄での熟成を行うなど様々な環境での熟成を試みています。

熟成環境の違いによる熟成の進み方や味わいの変化などが注目を集める中、バラエティーに富んだ熟成環境により、原酒のレパートリーが増えることが期待されます。

味わいとラインナップ

「AMAHAGAN」はワールドブレンデッドモルトウイスキーにカテゴリーされ、大麦由来の甘みである「モルティ」なフレーバーが特徴的な銘柄となっています。モルティな味わいに様々な樽の個性が光る「AMAHAGAN」のラインナップを紹介していきます。

  • 長濱 THE FIRST BATCH
  • AMAHAGAN EditionNo.1
  • AMAHAGAN EditionNo.2 Red Wine Wood Finish
  • AMAHAGAN EditionNo.3 Mizunara Wood Finish
  • AMAHAGAN Edition YAMAZAKURA
  • AMAHAGAN World Malt Edition Peated
  • AMAHAGAN World Malt Edition Mont-Perat
  • AMAHAGAN World Malt まどろみバーメイドボトル 月川雪
  • AMAHAGAN World Blended EditionNo.3.6 Flower Bouquet

長濱 THE FIRST BATCH

「長濱 THE FIRST BATCH」は2022年10月にリリースされたシングルモルトウイスキーです。

長濱蒸溜所からはいくつかシングルモルトウイスキーが発売されていますが、今まではシングルカスク(1つの樽)の原酒を瓶詰めしたものでした。この長濱The First Batchは、長濱蒸溜所のウイスキーの中で、複数の原酒をブレンドした(ヴァッティングした)初めてのシングルモルトウイスキーです。

ワールドウイスキーアワード2023にて、シングルモルト12年以下の部問で銀賞を獲得しています。

味わいとしては、麦の味わいがしっかりとしたウイスキーです。りんごや柿のアロマを感じられます。また、樽由来のビターな余韻もあり、引き締まった印象も受ける味です。

AMAHAGAN EditionNo.1

「AMAHAGAN EditionNo.1」は定番ラインナップの第一弾です。

ワールドウイスキーアワードでは銅賞を獲得しています。

長濱モルト由来のリッチな麦芽とオレンジのフルーティな香りに、バーボン樽由来のバニラの甘い香りが包み込みます。口に含むとコクのあるタッチの後に、華やかな香りが鼻腔を抜けます。

ロックでゆっくりとグラスを傾けるも良し、ハイボールでスッキリと味わうなど様々なシチュエーションに寄り添える1本です。

AMAHAGAN EditionNo.2 Red Wine Wood Finish

こちらも「AMAHAGAN」の定番ラインナップで、2020年のワールドウイスキーアワードにて金賞を受賞しています。

エディションNo.1の原酒構成をベースに赤ワインの樽で追加熟成を施したアイテムです。

赤ワイン樽由来のベリーやレーズンなどの果実を連想するアロマに、長濱モルトのモルティ―なフレーバーが溶け合い、フィニッシュには軽快なオレンジピールが広がります。

おすすめの飲み方は、トワイスアップやロックです。ワイン樽由来の繊細なフルーティーさと、優しいビターな味わいを楽しめます。

AMAHAGAN EditionNo.3 Mizunara Wood Finish

「AMAHAGAN」の定番ラインナップのうち、いち早く2020年ワールドウイスキーアワードにて、「ジャパニーズ ブレンデッドモルト ノンエイジ」部門の最高賞(カテゴリーウィナー)を受賞したアイテムです。

こちらもエディションNo.1をベースに、日本原産の通称「ジャパニーズオーク」とも呼ばれるミズナラならではの独特な香味を活かして追熟しています。

赤いリンゴや香ばしいモルト、少しの蜂蜜が感じられる香り。芳醇だが洗練された豊かな香り立ち。ミズナラ由来のウッディネスビターにキャラメルのような甘いフレーバーが広がり、余韻にはカカオの効いたチョコレートが顔を覗かせます。

おすすめの飲み方はハーフロックやハイボールです。スイートでありながらビターという絶妙なバランスを楽しめます。

AMAHAGAN Edition YAMAZAKURA

山桜エディションは2022年のワールドウイスキーアワードにて部門最高賞(カテゴリーウィナー)を受賞しています。

エディションNo.1をベースに日本原産「山桜」の樽材で追熟を施しています。和のニュアンスを纏った、滑らかで優しい余韻が特徴の「AMAHAGAN」です。

桜の葉や桜餅を想わせる甘い香りと味わい。樽由来の和のニュアンスを強く感じます。アマハガン特有のオレンジのアロマや紅茶のような心地よい渋みが余韻となって続きます。

ハイボールにしてもサクラ樽の香りがしっかりと残ります。お花見の時期にハイボールにして、桜の花を浮かべたら風情がありますね。サクラ樽熟成ウイスキーは数が少ないため、ぜひこちらをお試し下さい。

AMAHAGAN World Malt Edition Peated

2021年にリリースされた「AMAHAGAN」の新製品で、初のピーテッドタイプになります。長濱蒸留所のモルト原酒に、海外産のピートモルトと、ノンピートモルトをバランスよくブレンドし、一部の原酒はバーボン樽にて追加熟成を行っています。

2022年のワールドウイスキーアワードにて銀賞を獲得しました。

桃やリンゴなどの豊かなフルーツがトップに表れ、青いハーバルな香りへと一転。そして焙煎したモルト、ピートスモークへとつながります。ヨードや柑橘ピール、余韻にはコットンキャンディーのような甘みが感じられます。

ハイボールにしても爽やかな柑橘とピートスモークがしっかり楽しめます。ソーダでアップした後に軽くグレープフルーツピールを絞るアレンジもおすすめです。

AMAHAGAN World Malt Edition Mont-Perat

2022年3月に発売された「AMAHAGAN」の限定品です。

「シャトーモンペラ」とは世界的なワインの名醸地、フランスボルドー地区のシンデレラワインの1つです。

定番商品のエディションNo.1に使用する原酒を、グランクリュにも匹敵するほど高い評価を受けるシャトーモンペラの赤ワイン樽で5か月間、追加熟成を行っています。

ラズベリーや熟した赤いリンゴ、イチゴジャムを想わせる香り立ちで、滑らかなシルクのような口当たり。アマハガンらしい香ばしいモルトに焼きたてのパウンドケーキとレモン、柔らかな紅茶のタンニンが余韻となって続きます。

あまり冷やさずにストレートやトワイスアップで、豊かなフルーツノートと心地よい渋みが愉しめます。

AMAHAGAN World Malt まどろみバーメイドボトル

イラストレーター早川パオ氏による初のコミックス「まどろみバーメイド」とコラボレーションした限定ボトルです。

屋台バー「SATELLITE(サテライト)」を営む女性バーテンダー、陽乃崎日代子や伊吹騎帆がボトルに描かれています。2024年3月26日より、シャノン・フーも登場。

構成原酒には「穏やかで落ち着いた」彼女をイメージし、重厚で深みあるカベルネソーヴィニヨンの赤ワイン樽熟成の原酒を使用。また、ブレンドの一部には白ワイン樽熟成の原酒を使用することで、赤ワイン樽×白ワイン樽の2種のワイン樽というツイスト(アレンジ)の効いた味わいを表現しています。

限定品のため、BARなどに行った際にあればぜひお試し下さい。

AMAHAGAN World Blended EditionNo.3.6 Flower Bouquet

日本に10人しかいない「マスター・オブ・ウイスキー」の称号を持つ、BAR新宿ウイスキーサロンのオーナーバーテンダーである「静谷和典氏」が完全監修した「AMAHAGAN」です。

今回、紹介する「AMAHAGAN」の中で唯一、グレーンウイスキーも使用しているブレンデッドウイスキーとなっています。

ベースとなるフルーティなモルト原酒に、30年熟成のモルト原酒と24年熟成のグレーン原酒といった長熟原酒を贅沢に使用しています。そこにモルティな骨格を与える長濱蒸溜所の3年熟成のモルト原酒とアクセントに2013年蒸留のヘビリーピーテッドモルトを加えました。

約半年間、ミズナラ樽で後熟を施すことで、オリエンタルな優しい香りに包まれた花束を連想させるフローラルでリッチな味わいが生まれました。

一般の酒屋では販売はされておらず、三越と伊勢丹やそのネットショップ限定で販売されています。

ストレートやロックで、長熟原酒のリッチな味わいを愉しみましょう。

長濱蒸溜所が手掛ける、ワールドブレンデッドウイスキー「AMAHAGAN」の定番商品や限定商品などを紹介しました。

数々の輝かしい賞を受賞しており、素晴らしい樽の選定とブレンダーの手腕が遺憾なく発揮されたウイスキーといえるでしょう。「AMAHAGAN」ウイスキーはそれぞれ味わいに明確に個性があり、飲み比べもおすすめです。

まだ「AMAHAGAN」を飲んだことがないという方は、ぜひこの機会にご自宅やBARなどでお試しください。以下のツイッターアカウントで最新情報を発信されていますので、最新情報はツイッターでチェックですね!

私達は様々なウイスキーについて記事にまとめています。ぜひ他の銘柄についても確認してみてください!

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