角(通称「角瓶」)は、日本で作られるブレンデッドウイスキーです。サントリーが販売しており、山崎蒸溜所や白州蒸溜所の原酒をブレンドして作られています。
角の味わいとして、甘さを感じられる香りと深みのあるコク、ドライな飲み心地があげられます。
角瓶は、コンビニやスーパーにも必ずと言っていいほど販売されており、日本で購入されているウイスキーの中でも有名なウイスキーです。また、近年はハイボールにして飲む角ハイボールでも人気を誇っています。
角瓶は、原材料や輸送費の値上がりの影響で2023年3月から価格が改定し、値上がりしています。それでもなお、国内では根強い人気のあるウイスキーです。
それでは、角瓶を詳しく紹介していきます。角瓶のことを深く知りたい人や・角瓶を今まさに頼もうか買おうか迷っている人の参考になるような情報を提供していきます!
POINT
- 角瓶とは、サントリーから発売されているブレンデッドウイスキーのこと
- 角瓶の種類は過去に5種類販売されている
- 戦時中の1937年10月8日に発売が開始され、「海軍指定品」とされたこともあり人気となった
- 2008年には「角ハイボール」のCMの展開をはじめ、更に人気が高まった
- 2022年ごろから韓国でブームになり、国内でも品薄が相次いでいる。また、2023年には価格改定で値上がりしている。
- 現在は山崎蒸溜所や白州蒸留所のモルトウイスキー、その他国内蒸留所のグレーンウイスキーをブレンドし、日本を代表するブレンデッドウイスキーとなっている
角瓶はこんな時に買う・注文すべき
角のことを知りたいと思い、この記事を読んで頂いてる皆さん。結局、ボトルを買うべきか、今飲むべきかで迷っていると言う方も多いかと思います。そんな方の決断をサポートするために、場面ごとに買うべきか・注文すべきかpeatyなりの見解を示したいと思います!
代表的なラインナップについて、記載させていただきます!
角瓶の歴史
サントリーウイスキー12年として誕生
角瓶は、1937年にサントリーから発売されたウイスキーで、80年を超えるロングセラー商品の1つです。1937年10月8日に販売が開始され、当時の名前は「サントリーウイスキー12年」でした。
サントリーの創業者でもある鳥井信治郎氏は「スコッチに負けない日本のウイスキーを作りたい」という想いから、ウイスキー作りを始めます。
鳥井信治郎は、1929年に白札(サントリーホワイト)という銘柄を販売。(サントリーホワイトについては以下の記事にて)
しかし、スモーキーな風味やピート感の強い味わいは、当時の日本人の口には合わず、「煙臭い」と言われてあまり評判になりませんでした。
そこで今度は煙臭くないウイスキーを作ることにしました。
そして日本人が好む味わいを求めて試行錯誤してできたのが、「サントリーウイスキー12年」でした。
日本人の口に合わせて作られたこのウイスキーは、当時の日本人に見事に受け入れられました。当時は戦時中のため海外からのウイスキーの輸入が少なかったことや、早いうちに日本海軍の「海軍指定品」となったことも人気が定着した理由でした。
なお、戦時中、兵士が現地で「角瓶」のウイスキーを飲み、戦後に国産ブランドであることに気付いたというエピソードもあります。
高度経済成長期には、角瓶が「成功者」のイメージとして定着
そして発売から数年たち1950年代になってから名称が「サントリー角瓶」に変更になり、今の角瓶となります。
「オールド」の発売まで、「サントリーウイスキー(角瓶)」は壽屋の最上級ウイスキーとして市場に確固たるブランドイメージを確立していました。
発売当初から好調な売れ行きを見せた「角瓶」は、庶民にとって「憧れのウイスキー」でした。高度経済成長期には「出世したら角瓶」というフレーズが生まれ、人気を博しました。この時代、トリスでウイスキーを飲み始め、ある程度成功したら角に移行し、大成功した人がオールドを飲む・・・というイメージの時代でした。
それによりバー文化が普及し、トリスバーやサントリーバーがチェーン展開され、角瓶は成功者の象徴となりました。この時代、年間50万ケースもの出荷数を誇りました。
しかし、1980年代に入ると市場は縮小し、酎ハイやワインなど他の酒類が台頭しました。若い世代はビールや発泡酒を好むようになり、「洋酒と言えばウイスキー」という時代は終わりを迎えました。それでも「角瓶」は一定の存在感を保ち、長い雌伏の時を過ごしました。
税制改正と、ウイスキー等級廃止が角瓶に与えた影響
1989年から、「角瓶」はブランドイメージが代わり、大衆向けに普及するようになります。
1989年、酒税法の改正により従価税制度及び級別制度が廃止され、酒類全般の価格が一気に引き下げられました。角瓶も小売価格が従来の3500円から1980円に引き下げられ、一気に庶民的な存在となりました。一方で、大衆向けの安価なウイスキーは値上げされ、ウイスキー市場全体に混乱が生じました。
この酒税法改正により、角瓶の出荷量は1950年代の年間50万ケースから1990年代には約6倍の年間300万ケースにまで成長しました。
しかし、「級別表記」が廃止されたことで、今までのブランドイメージを失います。「出世したら角瓶」と言われていたような、高級感を求める愛好家たちの支持を失う結果ともなりました。
さらに、角瓶は価格面だけでなく、ブレンド構成も大幅に見直されました。サントリーは日本人の食のライト嗜好化に合わせて、角瓶のアルコール度数を43度から40度に引き下げました。この変更により、コクがありながらもすっきりとしたキレの良い香味を実現しました。
こうして角瓶は「手軽な食中酒」としてのイメージが定着し、高度経済成長期のシンボルであった「出世したら角瓶」という高級ウイスキーの風格は失われたものの、新たな認知度と庶民派ブランドとしての再興を果たしました。
ウイスキー角のラインナップの拡大
1990年代にはスタンダード品以外のラインナップも複数展開し角瓶ファンを増やしました。
1992年には、白州蒸溜所のモルトを使用した「白い角瓶」こと「白角」が登場しました。辛口でスッキリとした味わいの白角は2016年にリニューアルされましたが、2019年3月に休売となっています。
次に、1999年に「黒角」が発売されました。黒を基調としたデザインが特徴で、2007年には43度にアルコール度数が改められ、リッチな飲みごたえをアピールしましたが、2016年4月に終売となりました。
最後に、2013年に最上級品として「新プレミアム<43°>」が市場に投入されました。しかし、大衆酒としてのブランドイメージが強く、プレミアム性が受け入れられず、2016年に終売という短命で終わりました。
角ハイボールブーム
2008年ごろには角瓶を炭酸で割って飲む「角ハイボール」の広告を出したことで、さらにブームになり、出荷量が大幅に増えました。小雪さんがママとなってハイボールを作ってくれるCMですね。
こうして、長い年月をかけて鳥井氏の想いが形になったウイスキーである角瓶は、今では日本で最も有名なウイスキーの1つになりました。
角ハイボールとは
そもそも、「ハイボール」とは、ウイスキーを炭酸水で割ったお酒のことを指します。その中でも、サントリー角瓶を使い、炭酸水で割ったお酒を「角ハイボール」と言います。
角ハイボールは、サントリー社が所有する山崎蒸溜所・白州蒸溜所でできたバーボン樽の原酒と、国内産のグレーンウイスキーを使った味わい、爽快さが人気の秘訣となっています。居酒屋に行ったことのある大人であれば、誰も聞いたことがあるくらい、どこでも飲めるお酒の一つです!
角瓶は韓国でも人気!
また、角瓶は近年韓国でも人気です。韓国では日本ウイスキーの人気が高まっており、日本ウイスキー全体で輸出量は2018年の9倍の897トン(2023年)となっています。
その中でもコロナ禍の家飲みブームや、人気芸能人が角瓶を愛用しているというエピソードから、角瓶の人気が高まっております。日本の価格の3倍で売られていることもあり、韓国人の方は日本に来たときにお土産として買うことも増えているようですよ。
角瓶は、2024年の1~3月の時点で396トン輸出されており、今年も日本のウイスキーの韓国人気をけん引しています。
角瓶の製法の特徴
角瓶の原酒
角瓶に使われている原酒は、サントリー社が所有する山崎蒸溜所・白州蒸溜所でできたバーボン樽の原酒と国内産のグレーンウイスキーを使っています。
それぞれの原酒をバランス良くブレンドし、絶妙な味わいを作り出しているのです。
角瓶は、80年以上も続くロングセラーのウイスキーです。この伝統の味を守るため、経験を積んだブレンダーが日々管理をしています。
なお、角瓶の発売当初はまだ白州蒸留所はなかったため、時代とともに原酒も変化しているといえます。毎日進化を続ける国産のブレンデッドウイスキーなんですね。
また、角瓶はハイボールにしたときにおいしくなるように造られているともいわれています。だからこそ、角ハイボールはブームになりえたのかもしれませんね。
角瓶のボトル
角瓶はなんと言ってもボトルが印象的ですよね。
薩摩切子にヒントを得た亀甲模様をボトルにあしらっており、日本らしさを取り入れたデザインです。
角瓶のデザインを考案したのは、壽屋のチーフデザイナーであった、井上木它(いのうえぼくだ)でした。鳥井信治郎からお土産に送られた薩摩切子の香水瓶が発送のきっかけとなっており、そこに日本らしい図柄の亀甲模様を組み合わせたデザインとなっています。
もともと角瓶という名前のウイスキーではなかったので、ボトルには名前は入っていません。いつのまにか角瓶と呼ばれるようになり、定着しました。今は、商標として「角瓶」という文言が登録されています。
今ではボトルのみならず、日本を代表するブレンデッドウイスキーとして世界でも有名な銘柄です。
角瓶の年代の見分け方
角瓶には長い歴史があるので、ボトルによって作られた年代が判別できると言われています。新しい情報が入り次第更新していきますが、以下の表を参考にしてみてくださいね!
年代 | 出来事 | ラベルの特徴 |
1937年10月8日 | 「サントリーウイスキー12年」の販売開始 | 名前が「Suntory Liquer Whisky」という名前で記載され、当時の社名である壽屋の名前が入っている |
1958年 | 中之島に本社を移転 | 販売会社名が壽屋 ラベルの住所が「大阪市北区中之島二丁目」 |
1963年 | サントリーに会社名が変更される | 販売会社がサントリーに。 また、ラベルの住所が「大阪市北区中之島二丁目」 |
1971年 | 本社住所が“中之島”から“堂島浜通”に変更 | ラベルの住所が「大阪市北区堂島浜通二丁目」 |
1979年 | “堂島浜「通」”から“堂島浜”に変わる | ラベルの住所が「大阪市北区堂島浜2丁目1-40」という表記になる |
1989年 | 特級表記が消える | ネックラベルから「ウイスキー特級」の表記が消え、「ウイスキー」と表示される アルコール度数が43度から40度に引き下げられる |
1990年代後半 | 一時的に住所表記が「堂島浜2-1-40」に | 1995年まで、ならびに2000年以降のラベル上では「堂島浜2丁目1-40」という住所表記だが、1995年くらいから「堂島浜2-1-40」という表記のウイスキーが出回る |
2006年頃 | ラベル上の「Special Quality」が消える | 正面ラベルの丈夫に「Special Quality」と書かれていたが「The finest old whisky」に変わる |
1989年までの「ウイスキー特級」表記は、ネックラベルの部分に以下のように書かれていました。
角瓶の味わいとラインナップ
角瓶は、甘い香りと深いコク、そしてドライな飲み心地が特徴です。
現在オフィシャルに販売されているラインナップはスタンダード品の角瓶のみです。
しかしながら、過去に発売されていたラインナップもいくつかあるので紹介します。スーパーで見かけることは難しいかもしれませんが、ネットなどで見かけたら是非購入してみてください!
角瓶
角瓶は、角瓶のスタンダード品(ノンエイジ)です。
最初に感じるのは甘さを感じる香り、口に含むと厚みのあるコクを感じられます。
おすすめの飲み方は、やはりハイボールです。
クセが少なく、どんな飲み方でも美味しく飲めるので初心者の方にもおすすめですよ!あっさりとしたその飲み口は、食中酒にもぴったりです!
角瓶はふるさと納税でも購入できるので、角瓶が好きな方におかれましてはふるさと納税で一気に購入してもよいですね。
白角
過去には白角というラインナップもありました。2019年に一度終売となりましたが、2022年8月9日から限定で復刻版が販売されました。
1992年に発売された銘柄で、角瓶に対してラベル・キャップが白いのが特徴のボトルです。ちなみに通常の角瓶は白角に合わせて黄角とも呼ばれることがあります。
味わいは、穏やかな香りとクリアな飲み心地、キレのいい後口で角瓶とはまた違った味わいを楽しめます。
2024年6月現在、生産は停止していますが、ネットで購入できそうです。8,000円ほどになっているので、興味ある方は、お早めに入手ください!
黒角43°
黒角も同じく現在は販売されていないラインナップです。
スタンダードの角瓶(黄角)と先ほど紹介した白角、そしてこの黒角はそれぞれ飲み方や味わいに違いがあります。
黒角は、甘い香りにバニラやモルトの味わいを感じられます。
黄角、白角に比べると味の濃さが目立っており、ロックで飲むのが推奨されています。
より濃い味わいのウイスキーを時間をかけてゆっくり飲みたい方におすすめです。
品薄で売っていない可能性もありますが、、、一応購入リンク貼っておきます↓
プレミアム角瓶
プレミアム角瓶は、名前からも汲み取れるようにスタンダードの銘柄のプレミアムラインです。
「いつもよりちょっと贅沢したい」をコンセプトに販売されていました。
香りや味わいはスタンダードよりも全体的に少し強くなっており、甘い香りと長い余韻を楽しめます。
通常のスタンダード品をより贅沢に楽しみたい方におすすめです。
こちらも現在はオフィシャルでは販売されておらず、またインターネット価格は20,000円ほどに高騰しているため、お店やバーで見かけたらお試しください!
復刻版の角瓶
角瓶の復刻版は、2015年の2月に発売された銘柄です。
1937年に発売されてから角瓶は時代のニーズに合わせて少しずつ進化をしてきました。
そのため、発売されて80年以上たった今だからこそ当初の味わいを楽しみたくなりますよね。
そんな方におすすめしたいのがこの復刻版の角瓶です。
週末に買った角瓶の復刻版😎😎
— Peaty【ウイスキー情報サイト】 (@Peaty__Whisky) July 26, 2022
写真上げようとして気づきましたが、壁がちょうどハートマークに剥げてる(笑) pic.twitter.com/QYS0YBVAsa
発売当初を再現するようにブレンドされており、複雑な香りとフルボディのしっかりとした味わいを楽しめます。こちらもネット等で手に入れることができるので、是非試してみてください!
まとめ
角ハイボール、美味しいですよね。ウイスキーにこだわっていない居酒屋にもあるので、外で飲むときには重宝しますよね。そんな角にも色々な種類があることが分かっていただけたかと思います。
2024年現在、スーパーなどで角瓶は「お一人様1本まで」として販売される機会が増えいています。考えすぎかもしれませんが、安定的に角瓶が手に入るうちに、購入しておくのが良いかもしれませんね。
是非一緒に他の日本のウイスキーについても読んでみてください!