リンクウッド(Linkwood)は、スコットランドのスペイサイド地方で造られているシングルモルトウイスキー。ブレンデッドウイスキーに大部分が使用されており、ジョニー・ウォーカーやホワイトホースなどのディアジオ所有のブレンドに使用されています。もちろん、他のブレンダーにも多くの原酒を販売している蒸溜所です。
この記事では、リンクウッドのことを深く知りたい人やリンクウッドを今まさに頼もうか買おうか迷っている人の参考になるような情報を提供していきます!
- リンクウッドは、スコットランドにある蒸溜所で、生産されているシングルモルトウイスキーの多くが、さまざまなブレンデッドウイスキーの原酒として使用されている。
- 原酒用の生産をメインとしているため、お目にかかりにくいウイスキーであるが、スペイサイドらしくクセがなく、華やかで飲みやすい味わい。
- 約250万トン製造されるうちの99%は原酒となるため、ボトラーズとしてお目にかかった際にはぜひ飲んでみたい一品である。
リンクウッドはこんな時に買う・注文すべき
リンクウッドのことを知りたいと思い、この記事を読んで頂いてる皆さん。結局、ボトルを買うべきか、今飲むべきかで迷っていると言う方も多いかと思います。
そんな方の決断をサポートするために、場面ごとに買うべきか、注文すべきかpeatyなりの見解を示したいと思います!代表的なラインナップについて、記載させていただきます。
リンクウッドの歴史
スコットランドのスペイサイド地方で造られているリンクウッド。閉鎖などの歴史を乗り越え、今でもウイスキー作りをしている蒸溜所です。
エルギンの地で誕生
リンクウッド蒸留所は1821年にスコットランドのスペイサイド地方、エルギンに土地を持っていた地元の名家ブラウン家のピーター・ブラウン氏によって建てられました。
エルギンはウイスキー造りと羊毛産業で栄えた町として知られていて、今でもカシミアなどを使った製品が作られています。
当時のイギリスでは密造酒の醸造が蔓延っていました。1823年に酒税法が改正され、酒税が大幅に下げられたことにより、政府公認の蒸溜所が増えていくことになります。
ブラウン氏が公式に生産を始めたのは酒税法改正後の1825年だったと言われています。当時はウォッシュスチル1つ、スピリットスチル1つのたった2つしかポットスチルを持たずに、年間4500リットルほどの生産から開始しました。
ちなみに、「リンクウッド」という名前は、エルギンに昔住んでいた貴族の名前に由来しているそうです。
息子のウィリアムにより、生産量を拡大
1868年にピーター・ブラウン氏がなくなると、息子のウィリアムが蒸留所を継承し、運営を続けました。
メスヴェン(Methven)という建築家の協力を得て、古い蒸留所を取り替える形で、同じ場所で新しい蒸留所を設計・建設しました。新しい蒸留所では年間227,000リットルを生産できるようになりました。4500リットルから大きな進歩です!
スコティッシュ・モルト・ディスティラリー社の運営になる
創業家が運営を続けていたリンクウッド蒸留所ですが、1936年にスコティッシュ・モルト・ディスティラリー(SMD)社に買収されました。
その後、SMD社は合併などを繰り返し、現在はディアジオ社の傘下となっています。
蒸留所の復活
1941年から4年間、第二次世界大戦の影響で蒸留所は閉鎖していました。(当時は戦争の影響で、ウイスキーの原料として使われる大麦が不足していました)
そして、1945年にSMD社のマネージャーだったロデリック・マッケンジー氏によって蒸留所は復活します。
ロデリック・マッケンジー氏は職人肌の持ち主で、こだわり抜いたウイスキー造りを行いました。彼は、蒸溜所にある全ての要素が最終的な味に影響をすると考え、設備や製造方法の細部にまでこだわりました。
1971年には蒸留所の大改修が行われ、新たに1つの蒸溜所を建設しました。ここでもロデリック・マッケンジー氏は新しく導入するポットスチルの細部まで指示したそうです。蒸溜所を電化し、蒸気エンジンや水車から離れたのも彼の時代でした。
さらなる進化
2012年に、2基のポットスチルと6つのウォッシュバックが新たに追加され、蒸留所はますます進化しています。これにより、現在では年間の生産量がなんと5,500,000万リットルにまで増えています。
リンクウッドの製法の特徴
スコットランドのスペイサイドにあるリンクウッド蒸留所。
ブレンデッドウイスキー用の原酒を中心に製造しているため、シングルモルトとして見かけるのは非常に難しいウイスキーの一つです。(あまり公式では販売していません)
そんな珍しいウイスキーですが、実はスペイサイドらしいクセがなく華やかな味わいのシングルモルトウイスキーを手掛けています。
ここからは、リンクウッド蒸溜所の製法の特徴を紹介していきましょう。
仕込み水は泉の水を使用
リンクウッド蒸留所では、以前は自社でモルティングを行っていましたが、現在は行っておらず、ディアジオ社のモルトスターから仕入れています。
仕込み水は、蒸留所近くにあるミルビュイズ湖近くの泉の水を使用していることが特徴です。
ポットスチルはすべて大型
カラ松製の発酵槽が11基、ポットスチルは大型のストレートヘッド型が初溜釜3基、再溜釜3基の合計6基設置されています。
また、蒸留棟AとBがあり、Aはワームタブ、Bはシェル&チューブの冷却用コンデンサーが取り付けられていることが特徴です。
そして、AとB、それぞれの蒸溜棟で造られたスピリッツを混ぜて樽詰めする流れになっています。
年間の生産量は約250万tですが、そのうちの99%がジョニーウォーカーやホワイトホース用の原酒です。
そのため、オフィシャルではシングルモルトは発売されていませんが、ボトラーズからはリリースされています。
味わいとラインナップ
リンクウッドは、スコットランドのスペイサイド地方で造られているシングルモルトウイスキー。
現在、オフィシャルボトルが販売されていないためあまり知られていませんが、スペイサイドらしいクセがなくフルーティーな味わいを楽しめるブランドです。
それでは各ラインナップごとに細かくその特徴を紹介していきましょう。
- リンクウッド12年 UV花と動物シリーズ
- オーシャンズ リンクウッド8年 2011
- リンクウッド8年 2011 バーボンバレル+ライバレル
- ケイデンヘッド リンクウッド11年 2006
- リンクウッド12年 キャッスルラベル(オールドボトル)
- リンクウッド12年 ホワイトラベル(オールドボトル)
- リンクウッド12年 ブラックラベル(オールドボトル)
- リンクウッド 37年
- リンクウッド 44.5% マデイラワインバリックフィニッシュ
- リンクウッド15年
- 【参考】アボットチョイス
リンクウッド12年 UD花と動物シリーズ
リンクウッドには現在、オフィシャルボトルがないため、この「リンクウッド12年 UV花と動物シリーズ」がオフィシャル的な立ち位置となっています。
薔薇やラベンダー、干し草、ミルクチョコレートのような香り。
味わいは、青りんごや洋梨、メープルシロップやウエハースのようなニュアンスを感じます。
フルーティーとスモーキーのバランスが良く、両方の風味を楽しめるでしょう。
食前酒にもおすすめです。
オーシャンズ リンクウッド8年 2011
ファーストフィルのバーボンバレルで8年間熟成させた「オーシャンズ リンクウッド8年 2011」。
香りはファーストフィルのバーボンバレル由来のバニラやウエハース、はちみつ、いちじくなどを感じます。
バニラやアプリコット、ジンジャー、ナツメグのような味わいです。
柑橘系の風味にスパイスのニュアンスも感じる、爽やかかつ、飲み応えもあるアイテムだと言えるでしょう。
リンクウッド8年 2011 バーボンバレル+ライバレル
ファーストフィルのバーボンバレル樽で熟成させた原酒と、珍しいライバレル樽の原酒を2:1の割合で配合した「リンクウッド8年 2011 バーボンバレル+ライバレル」。
バニラや柑橘に、ライバレルならではのジンジャーのニュアンスも加わった風味です。
ケイデンヘッド リンクウッド11年 2006
ケイデンヘッド のオーセンティックコレクションのひとつである「ケイデンヘッド リンクウッド11年 2006」。
「ケイデンヘッド」とは、スコットランドのインディペンデントボトラーのことで、1942年に誕生した老舗です。
香りはハチミツや若草、シトラス、バニラなど。
アプリコットやナッツ、バナナ、ジンジャーやマシュマロのような味わいです。
リンクウッド12年 キャッスルラベル(オールドボトル)
1980年代に流通していたオフィシャルボトルの「リンクウッド12年 キャッスルラベル(オールドボトル)」。
ボトルに城が描かれていることから「キャッスルラベル」と呼ばれています。
香りは現行品と比べてモルティ―でイーストの香りを強く感じ、マスタードのようなニュアンスも。
ビスケットやレアチーズケーキ、ハチミツ、ブラックペッパーのような味わいです。
濃厚な味わいの飲み応えのあるアイテムで、しっかりとした香りを感じられます。
リンクウッド12年 ホワイトラベル(オールドボトル)
1970年代中頃に流通していた「リンクウッド12年 ホワイトラベル(オールドボトル)」。
ウエハースや麦、スモーキーな香りが特徴です。
そして、洋梨やりんご、バタースコッチや焚き火のようなスモーキーな味わいを感じます。
コクと厚みのあるアイテムです。
リンクウッド12年 ブラックラベル(オールドボトル)
1960年代~1970年代に流通していた「リンクウッド12年 ブラックラベル(オールドボトル)」。
スクリューキャップが、ホワイトのものとブラックのものの2種類存在し、サマローリがインポーターだった1950年代に蒸留したものは傑作と言われています。
香りは、青りんごやハチミツ、バニラなど。
フルーティーな味わいにスミレの花やバニラ、土っぽさを感じる味わいです。
リンクウッド 37年
37年間長期熟成させた「リンクウッド 37年」。
リフィルのアメリカンオークのホグスヘッドと、リフィルのヨーロピアンオークバットで熟成させています。
2017年にスペシャルリリースとして発売されました。
香りは青りんごやパイナップル、干し草など。
パイナップルやマスカット、ラムレーズンや麦芽ウエハースのような味わいです。
数量限定でリリースされたレアなアイテムなので、バーなどで見かけたらぜひ試してみましょう。
リンクウッド 44.5% マデイラワインバリックフィニッシュ
マデイラワインバリックで追熟させた「リンクウッド 44.5% マデイラワインバリックフィニッシュ」。
インディペンデントボトラーである「マーレイマクダヴィッド」が手掛けています。
ミルクチョコレートやハニーシリアルなどの甘さと、オークスパイスのニュアンスも感じるフルーティーでスイートな風味が特徴のアイテムです。
リンクウッド15年
ゴードン&マクファイル社の「蒸留所ラベル」のひとつである「リンクウッド15年」。
「蒸留所ラベル」は、蒸留所の樽ではなく自社で用意した樽に各蒸留所で詰めてもらい、熟成させるという形を取っています。
香りはストロベリーやラズベリー、シトラス、シナモンなど。
ホワイトチョコレートやハーブ、ココアパウダーのような味わいです。
飲んだ瞬間は甘さをしっかり感じるので、ウイスキー初心者の方にも飲みやすいでしょう。
【参考】アボットチョイス
「アボットチョイス」は1990年代まで販売されていたブレンデッドウイスキーで、キーモルトとしてリンクウッドが使用されています。
「アボット」は修道士という意味で、ボトルには修道士が描かれており、中には修道士型のボトルも。
香りはりんごや麦芽、ウエハース、かりんとうなど。
洋梨やポン菓子、レモンキャンディのような味わいです。
非常に飲みやすいので、ウイスキー初心者にもおすすめ。
まとめ
今回はリンクウッドについてまとめました。あまり直接消費者向けに販売はしていませんが、生産量が多く、たくさんの原酒を作っている蒸留所です。
色々な業者に対して原酒を販売しているので、ボトラーズから販売されているシングルモルトを購入できます。見つけたらぜひ飲んでみてくださいね!