ラガヴーリン(LAGAVULIN)は、スコットランドのアイラ島南部で造られているシングルモルトウイスキー。
ウイスキーの聖地と呼ばれるアイラ島で造られていて、「アイラの巨人」と呼ばれているブランドです。
この記事では、ラガヴーリンのことを深く知りたい人やラガヴーリンを今まさに頼もうか買おうか迷っている人の参考になるような情報を提供していきます!
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POINT
- ラガヴーリンはスコットランドのアイラ島南部で造られている「アイラモルト」と呼べれるウイスキー
- ラガヴーリンはアイラ島で4番目に古い蒸溜所であり、1816年にアイラ島初の合法蒸留所として建てられた
- 創業者はジョン・ジョンストンで、彼は農業経営者であり蒸留職人でもあった
- ホワイトホースの創業者が働いていた蒸留所であるため、ホワイトホースの原酒として使われている
- 現在はディアジオ社の傘下にあり、1988年にクラシックモルトシリーズに選ばれることで世界的な名声を得た
ラガヴーリンはこんな時に買う・注文すべき
ラガヴーリンのことを知りたいと思い、この記事を読んで頂いてる皆さん。結局、ボトルを買うべきか、今飲むべきかで迷っていると言う方も多いかと思います。
そんな方の決断をサポートするために、場面ごとに買うべきか、注文すべきかpeatyなりの見解を示したいと思います!代表的なラインナップについて、記載させていただきます
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ラガヴーリンの歴史
スコットランドのアイラ島南部で造られているラガヴーリン。その歴史の中で、有名なブレンデッドウイスキーである、ホワイトホースとも深い関係を築いています。
アイラ島初の合法蒸留所としてスタート
ラガヴーリン蒸溜所は1816年にアイラ島初の合法蒸留所として建てられました。農業経営者であり蒸留職人でもあったジョン・ジョンストンが創業者です。以下の記事で紹介していますが、当時は違法のウイスキー蒸留所が多くあった時代です。
1816年は、日本では文化13年にあたり、まだ江戸時代。ここからも、長い歴史があることがわかるでしょう。
ラガヴーリン蒸溜所は、ボウモア、アードベッグ、ラフロイグに次いでアイラ島で4番目に古い蒸溜所です。
ホワイトホース創業者の叔父が継ぐ
ジョン・ジョンストンの死後、ラガヴーリン蒸溜所の所有者は何度か変わりました。
そして、1889年に蒸溜所を買収したのがジェームズ・ローガン・マッキー。
じつは、ジェームズ・ローガン・マッキーはホワイトホース創業者であるピーター・マッキーの叔父にあたります。
ピーター・マッキーはラガヴーリン蒸溜所の叔父のもとでウイスキー造りを学び、独立。
ラガヴーリン蒸溜所の原酒をキーモルトとして「ホワイトホース」を造り上げました。
そのため、ラガヴーリン蒸溜所の前には今でもホワイトホースの看板があります。
ディアジオ社の傘下に
1927年には、DCLにより買収され、現在では現在はディアジオ社の傘下となっています。そして、転機が訪れたのが1988年。
旧UD社(現在のディアジオ社)のクラシックモルトシリーズにアイラモルト代表としてラガヴーリンが選ばれ、世界中に広まりました。
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これを機に、ラガヴーリンの人気は高まっていったのです。また、1989年にウイスキー評論家のマイケル・ジャクソンの著書「モルトウイスキー・コンパニオン」の中で、「アイラの巨人」と称賛されたことも人気に拍車をかけました。
この時代、ラガヴーリンの人気は絶頂を迎えます。ただその後は同じアイラ島のウイスキーの中でも、ラフロイグやボウモアに比べて販売本数が少なくなっています。これは人気のせいではありません。では、どんな理由があるのでしょうか。
ラガヴーリンの販売本数が少ない理由
ラガヴーリンは、ラフロイグやボウモアなど他のアイラモルトと比べて生産量が少なくなっています。
それには、原酒をブレンド用に提供していること・熟成年数が長いことの2つが関係しています。
ラガヴーリンはホワイトホースなどのキーモルトとして原酒を提供しており、生産量のうち少なくない量がホワイトホースに使われています。
残った原酒についても、長期熟成を行っているため、なかなか販売ができません。スタンダードボトルでさえ、16年熟成させたものなので、人気に生産が追いつかない側面があるのです。
ラガヴーリンの製法の特徴
200年以上の歴史を持つラガヴーリン蒸溜所。独特の味わいで、世界中にファンの多いアイテムをリリースしています。
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ここからは、ラガヴーリン蒸溜所の製法の特徴を紹介していきましょう。
ポートエレンの麦芽を使用
1974年までは自社でフロアモルティングを行っていましたが、現在はポートエレン製麦所の麦芽を使用しています。
フェノール値34〜38ppm程度のヘビリーピーテッドを使用し、仕込み水はソラン湖の湧水。仕込み水にも、ピートが含まれていることが特徴です。
木製のウォッシュバックを使用
糖化は、ステンレス製のマッシュタンで行われます。
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通常は3回のところ、ラガヴーリン蒸溜所では2回しか行われません。また、10基の大容量のウォッシュバックはすべて木製。
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木製にすることで、乳酸菌が定着しやすく、独特の味わいを引き出せるのです。
そして、発酵時間は約55時間。
通常より長時間発酵させることで、豊かなエステル香を持つ原酒に仕上がります。
ストレートヘッドのポットスチル
ポットスチルは玉ねぎ型のものを、初溜2基・再溜2基の計4基設置。いずれもストレートヘッドで、ラインアームは急な下向きの角度になっていることが特徴です。
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そして初溜に5時間、再溜に10時間かけ、ゆっくりと蒸溜することで、ラガヴーリンらしいガツンとスモーキーでフルーティーな味わいを引き出しています。
最低3年間熟成
アメリカンオークのバーボン樽、ヨーロピアンオークのシェリー樽などで熟成。
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スコットランドの法律により最低3年以上熟成させないと「ウイスキー」とは名乗れませんが、ラガヴーリンはスタンダードボトルでも16年熟成させていることが特徴です。
味わいとラインナップ
ラガヴーリンの味わいは、個性的なスモーキーな香りと、ヨード臭が特徴です。アイラ島のウイスキーならではの特徴ですね。他のアイラ島のウイスキーと比べると、比較的甘みも感じられるウイスキーと言われています。
正露丸とも例えられる独特な風味は、正直初心者向けではありません。ただ、根強いファンも多く、コアなウイスキーファンに愛されているブランドですそれでは各ラインナップごとに細かくその特徴を紹介していきましょう。
- ラガヴーリン 16年
- ラガヴーリン 8年
- ラガヴーリン ダブルマチュアード
- ラガヴーリン 12年 リミテッドエディション
- ラガヴーリン 12年 カスクストレングス
- ラガヴーリン 21年
- ラガヴーリン 25年 バイセンテナリー
- ラガヴーリン 9年ゲームオブスローンズ
- ラガヴーリン ディスティラーズエディション2022
- ラガヴーリン 11年オファーマンズエディション
ラガヴーリン 16年
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「ラガヴーリン 16年」は、ラガヴーリンのスタンダードボトル的な立ち位置にあるアイテム。
一般的にスタンダードボトルが16年熟成させたものというのは珍しく、完成度の高さが魅力で、アイラモルトらしさを楽しめます。
ヨードや甘いスパイス、バニラの香り。アプリコットやプルーン、タバコのような味わいです。
「正露丸」と表現されることもある、ヨード特有の風味が特徴。
ラガヴーリン 8年
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蒸留所創立200周年を記念し、2016年にリリースされた「ラガヴーリン 8年」。
2018年からは通常商品となり、一般的に流通しています。
「アルティメット スピリッツ チャレンジ(USC))2018」で97点という高得点を叩き出し、「アイラシングルモルトスコッチウイスキー部門」では、最高賞である「チェアマンズ・トロフィー」を受賞という、高く評価されているアイテムです。
オレンジやアーモンド、レモン、クッキーのような香り。味わいは、生ハムやオレンジ、クッキーのニュアンスです。
アルコール度数は48度ですが、刺激はあまりなく、穏やかな印象に仕上がっています。ロックで飲むのがおすすめです。
ラガヴーリン ダブルマチュアード
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UD社が所有している6つの蒸留所のマスターディスティラーが監修した、通常とは異なる熟成方法で造ったシングルモルト「ダブルマチュアードシリーズ」の一つである「ラガヴーリン ダブルマチュアード」。
ちなみに、「ダブルマチュアード」とは「2種類の樽で熟成」という意味。バーボン樽で熟成後、ペドロヒメネスのシェリー樽で追熟させたと考えられ、シェリー樽ならではの濃厚な甘さを楽しめます。
海藻やアプリコット、レーズンの香りが特徴的です。バニラアイスやドライフルーツ、完熟のパイナップルのような味わいを感じることができます。
ビターなのどごしで、余韻もしっかり感じます。
ラガヴーリン 12年 リミテッドエディション
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12年以上熟成させた、状態の良い原酒を掛け合わせた「ラガヴーリン 12年 リミテッドエディション」。
カスクストレングスで造られていて、アルコール度数は55~58度と高めになっています。
香りは麦やナッツ、アプリコット、出汁のようなニュアンス。オレンジやピート、クッキーのような味わいです。
「ラガヴーリン蒸溜所」らしさを堪能できるアイテムとしておすすめ。
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ラガヴーリン 12年 カスクストレングス
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樽出しの原酒をそのまま詰めた「ラガヴーリン 12年 カスクストレングス」。
12年以上熟成させた原酒を使用しています。
洋梨や魚粉、塩素のような香り。バニラやハチミツ、レモン、麦芽や干し草のような味わいです。
重厚感があり、ストレートやロックで飲むのがおすすめ。
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ラガヴーリン 21年
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ヨーロピアンオーク樽のスパニッシュ・シェリー樽で、21年以上熟成させた原酒を使用した「ラガヴーリン 21年」。世界で6642本限定でリリースされたアイテムです。
長期間熟成されているので、まろやかで濃厚な風味に仕上がっていることが特徴。
ドライフルーツやピート、硫黄、松のような香り。ラムレーズンやカラメルソース、バニラアイスのような味わいです。
「アイラの巨人」らしさを楽しめる逸品と言えるでしょう。
ラガヴーリン 25年 バイセンテナリー
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ラガヴーリンの創業200周年を記念してリリースされた「ラガヴーリン 25年 バイセンテナリー」。
シェリー樽で25年以上熟成させた原酒を使い、カスクストレングスでボトリングしています。
25年以上熟成させることにより、ラガヴーリンの正露丸のような風味は穏やかになり、上品で華やかな風味に。
シェリーやチョコレート、バニラの香りで、カカオやアプリコットのような味わいです。
余韻が長く続き、高級感のあるアイテム。
ラガヴーリン 9年ゲームオブスローンズ
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アメリカで大ヒットしたテレビドラマ「ゲームオブスローンズ」とのコラボ商品である「ラガヴーリン 9年ゲームオブスローンズ」。ラ二スター家の黄金の獅子の紋章を模ったデザインのボトルが特徴です。
ピートやヨード、シトラスのような香り。
ピートやジャーキー、スパイスのような味わいです。ラニスター家らしい力強さを感じることができます。
少量加水して飲むのがおすすめ。
ラガヴーリン ディスティラーズエディション2022
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毎年1回リリースされるディアジオ社のザ・ディスティラーズ・エディションのひとつであるラガヴーリン ディスティラーズエディション2022。
ハーブやオリーブ、煙のような香り。
ブドウやダークチョコレート、コショウ、薬品のような味わいです。
ラガヴーリン 11年オファーマンズエディション
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ラガヴーリン 11年オファーマンズエディションは、アメリカのコメディ番組でラガヴーリンを愛する「ロン・スワンソン」役を演じているニック・オファーマンがとラガヴーリン蒸留所とコラボした限定商品。
バーベキューの煙、オレンジ、海藻の香り。ピーチやダークチョコレート、ピートのような味わいです。
ストレートやロックで飲むのがおすすめ。
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まとめ
ラガヴーリンについてまとめました!
ラガヴーリンは、200年以上の歴史を誇るスコットランドのアイラ島南部で生まれたウイスキー。その歴史の中で、ホワイトホースとの絆やディアジオ社の傘下入りなど多くの転機を迎えました。
特有の製法が生み出す個性的な味わいは、スモーキーな香りとヨード臭が特徴で、アイラ島ならではの存在感を放ちます。長い熟成期間と原酒提供のため、販売本数が限られることも魅力の一つ。
初心者向けではないかもしれませんが、熱狂的なウイスキーファンから絶大な支持を受けています。ラガヴーリンの深い歴史と独自の製法が、ウイスキー愛好家にとっての永遠の魅力となっています。