オールドクロウは、ケンタッキー州で製造されているバーボンウイスキーです。ビームサントリー社によって製造されています。
多くの著名人が愛したウイスキーとして有名で、日本だと昭和の名俳優、松田優作が好んで飲んでいたと言われています。(「遊戯」シリーズで殺し屋の「鳴海昌平」を演じた際に、役の中でも飲むほど好きだったとのことです)
それでは、オールドクロウを詳しく紹介していきます。オールドクロウのことを深く知りたい人や、オールドクロウを今まさに頼もうか買おうか迷っている人の参考になるような情報を提供していきます!
POINT
- オールドクロウは歴史のあるバーボンウイスキーで、第二次世界大戦までは世界一売れているバーボンウイスキーでした
- 日本では松田優作、アメリカでも多くの著名人に親しまれたウイスキーでした
- 歴史的な経緯により、現在では当初の味わいが失われてしまったウイスキーです
- 「サワーマッシュ製法」という、2回蒸留と発酵を行い、2回目の発酵の際に少量の酵母ともろみ蒸留残液を全体の30%程度加える製造方法が特徴的です
- コーン比率が高いことも含め、全体的に甘めな味わいのウイスキーになっています
オールドクロウはこんな時に買う・注文すべき
オールドクロウのことを知りたいと思い、この記事を読んで頂いてる皆さん。結局、ボトルを買うべきか、今飲むべきかで迷っていると言う方も多いかと思います。
そんな方の決断をサポートするために、場面ごとに買うべきか・注文すべきかpeatyなりの見解を示したいと思います!代表的なラインナップについて、記載させていただきます!
味わいとラインナップ
オールドクロウは歴史あるバーボンで、名優の松田優作が愛飲していたことで知られています。
バランスの良いすっきりとした味わいで気軽に飲めることから、世界中で愛されているウイスキーです。
それでは各ラインナップごとに細かくその特徴を見ていきます。
・オールドクロウ
・オールドクロウ ボンデッド
・オールドクロウ リザーブ
・オールドクロウ ローリングK
・オールドクロウ トラベラー
オールドクロウ
オールドクロウの中で最もスタンダードなアイテム。
バニラやナッツ、メロンのようなエステリーな香りが特徴で、アルコールの香りが強く感じられます。
口に含んだ瞬間はアルコールの辛みがありますが、徐々にナッツやバナナのようなフルーティーな味わいに変化し、スパイシーさもある味わいです。
バーボンならではのクセもあるので、ハイボールにすると飲みやすいでしょう。
オールドクロウ ボンデッド
「ボルド・イン・ボンド法」という昔のバーボンの法律に基づいて造られたアイテム。
「ボルド・イン・ボンド法」は1897年に発令された法律で、熟成4年以上、アルコール度数50度以上でボトリングするなどの厳しい条件が設定されたものでした。
柑橘や生クリームのような香りが特徴。
濃厚なバニラの甘さをしっかりと感じられ、芳醇でまろやかな味わいです。
1990年代には数多く流通していましたが、現在はとても希少なアイテムになっているので、バーなどで見かけたらぜひ飲んでみてください。
ストレートかロックで飲むのがおすすめです。
オールドクロウ リザーブ
オールドクロウ リザーブはオールドクロウ のスタンダードなものよりワンランク上のアイテム。
バニラやライ麦パンのような香りで、カラメルソースやバナナ、カカオのような味わいが特徴。
すっきりした味わいですが、余韻もしっかり楽しめます。
輸入元のサントリーが販売しておらず並行輸入品しかないため、入手が少々難しいかもしれません。ハイボールや水割りで、食事中にも楽しめそうです。
オールドクロウ ローリングK
1988年に日本向けにリリースされたアイテム。
ベーシックな「オールドクロウ」を、日本人向けの味わいやパッケージ、価格帯で提供するために造られました。
バナナやバニラ、焦げた木材のような香りが特徴。
バナナや乾燥した穀物のような味わいで、なめらかな口あたりです。
甘みが強く日本人好みの味わいなので、飲みやすく、バーボンウイスキー初心者にもぴったり。
ロックで飲むのがおすすめです。
オールドクロウ トラベラー
1960~70年代に流通していたオールドクロウ トラベラー。
スリムなボトルなので持ち運びがしやすいことから「トラベラー」というネーミングになっています。
カスタードクリームや焦げたキャラメル、バナナの香りが特徴。
ブラックベリーやシナモン、カスタードパイのような味わいです。
スタンダードな「オールドクロウ」とは全く違う印象で、甘さとスパイシーさが際立っています。
現在はあまり流通していないので、バーなどで出会うことができれば、ロックで楽しんでみてください。
現行品と飲み比べするのも楽しいでしょう。
オールドクロウの歴史
オールドクロウは、アメリカ・ケンタッキー州で製造されているバーボンウイスキー。
現在は比較的気軽に飲めるアイテムですが、じつは、アメリカのバーボンを大きく変えたボトルです。
そこには、計算され尽くされた、当時としては革新的な技術の数々がありました。
化学と医学の知識から生まれた
オールドクロウの生みの親は、スコットランド出身の医学博士であり化学者の「ジェームズ・クロウ」。
1820年代に移民としてアメリカのケンタッキー州に移り住み、医師として働きながらウッドフォード郡の数カ所の蒸留所で働き始めました。
そして、オールド・オスカー・ペッパー蒸溜製造所(現ウッドフォード・リザーヴ・ディスティラリー)で本格的に働くように。
当時のアメリカのウイスキー業界は昔ながらの製法と新しい技術が入り乱れていて、勘を頼りに製造している面もあったので、味にバラつきがありました。
そのため、理論に基づいてしっかりと製造できる人材が必要だったのです。
ジェームズ・クロウは、医学と化学の知識を駆使し、発酵や蒸溜、温度などに関する実験を数多く繰り返しました。
検糖計やアルコール度数を測る比重計、温度計などが使われたことも当時としては珍しく、化合物の働きがどのような影響を及ぼすかについても実験されていたのです。
ジェームズ・クロウは、樽熟成のメカニズムについてもいち早く気づいていました。
「サワーマッシュ製法」の誕生
安定した味わいのバーボンウイスキーを製造するため、ジェームズ・クロウがあらゆる実験を繰り返した結果、「サワーマッシュ製法」が誕生しました。
「サワーマッシュ製法」とは発酵の際に少量の酵母ともろみ蒸留残液を全体の30%程度加える製造方法のことを指します。(古いマッシュ(麦芽汁)の一部を添加するということです。)
これにより、すべてのボトルが安定的な味わいになるのです。
こうして出来上がった「オールドクロウ」は、バタースコッチのような深みのある味わいになり、アメリカ国内で絶大な人気を誇りました。1930年代後半には年間20万ケースを販売し、世界で最も売れているウイスキーとなった
オールドクロウの特徴的な提供方法
1830年代後半には、オールドクロウは樽のままケンタッキー州内のバーに配給されるようになりました。
バーテンダーは樽を地面から3メートルほど離れた棚に保管し、お客さんに提供する際には、樽から直接バーボンを注げるようにすることで、バーでの提供を簡単にしていました
オールド・クロウは樽のひとつひとつにブランド名などの情報を記録し始め、提供する際に本物の商品であることを確認できるようにした。アメリカの蒸留所の樽のブランド化という習慣は、オールド・クロウが最初に行ったとされています。
失われてしまったオールドクロウの風味
オールドクロウがとても人気のあるバーボンになった後、生みの親であるジェイムズ・クロウが1856年に他界しました。他界後、1915年にはオールドクロウ蒸溜所はゲインズ社に引き継がれました。
しかし、不幸なことにレシピがきちんと引き継がれなかったために、ジェームズ・クロウが造り上げた味は失われていまいます。
1950年頃から、オールドクロウの味わいが変わってしまっていることが消費者から指摘され始めます。「サワーマッシュ製法」において、もろみ蒸留残液の添加が過剰になり、発酵が妨げられたと言われています。それによってバーボンの風味が損なわれてしまったとのことです。
レシピはないものの、オールドクロウの味を守ろうとゲインズ社の職人たちは奮闘。
しかし、奮闘もむなしく、1980年代に均一な品質を維持できなくなり、オールドクロウの売上は低迷してしまいます。そして、1987年にオールドクロウ蒸溜所はジムビーム社に買収され、買収と同時に蒸留所は閉鎖されました。
現行品は昔とは別の味わいに…
ジムビーム社が蒸留所を閉鎖した後、オールドクロウはジムビーム社のクラーモント蒸留所とボストン蒸留所の原酒から造られるようになりました。
そのため、現行品はジェームズ・クロウが生み出した味とは別物に。
そして、2014年にサントリーがジムビーム社を買収したため、現在はビームサントリー社が製造販売しています。
松田優作などの著名人に愛されたオールドクロウ
長い歴史の中で味わいは変わってしまったオールドクロウですが、ジェームズ・クロウが造り上げたとされる味わいは、世界中の著名人に愛されていました。
アメリカ第7代大統領「アンドリュー・ジャクソン」、アメリカ18代大統領「ユリシーズ・グラント」、南北戦争時の南軍将軍である「ジュバル・アーリー」など政界にも数多くのファンがいたのです。
日本では俳優の松田優作がオールドクロウを愛していて、自身の映画「処刑遊戯」の中に登場していることでも知られています。殺し屋の鳴海昌平はオールドクロウのボトルで筋トレをしたり、傷口にウイスキーをふりかけたりと、ハードボイルドな使い方をしています笑。
オールドクロウの製法の特徴
カラスのイラストのラベルが印象的なオールドクロウ。
多くの著名人に愛される存在ですが、後のバーボンというカテゴリーを大きく変える製法を生み出した、分岐点となる存在なのです。
ここからは、オールドクロウの製法の特徴を紹介します。
ジェイムズ・クロウが生んだサワーマッシュ製法
オールドクロウの歴史の章でも触れましたが、オールドクロウの製法の特徴は何と言っても「サワーマッシュ製法」。
サワーマッシュ製法はすりつぶしたとうもろこしに他の穀物を混ぜて2回、発酵と蒸留を行う製法のことです。
そして、2回目の蒸留時に少量の酵母と蒸溜の残液を全体の約30%混ぜます。
こうすることで糖化環境が整い、バーボンの味に深みが出て、安定した品質になるのです。
伝統的な製法を踏襲
オールドクロウは、伝統的な製法を引き継ぎ、75~80%のコーン比率を守っています。
そして、内側を焦がしたホワイトオーク樽を使っていることが特徴です。
バーボンウイスキーのコーン比率は51%から81%と定められていて、平均的には60%程度が主流と言われています。
そのため、オールドクロウのコーン比率は高いと言えるでしょう。
ちなみにコーン比率が高いと甘い味わいになります。
そこに焦がしたホワイトオーク樽の風味がプラスされて、フルーティーで甘みのある味わいになっていることが特徴です。
ハードボイルドな松田優作が好んだ割には、甘めの味わいのウイスキーとなってますね!
まとめ
オールドクロウについてまとめました。味が失われてしまったのはとても残念ですね。
それでもバーボンらしい穀物由来の甘みを楽しめるウイスキーです。ぜひお楽しみください!