スプリングバンク(SpringBank)は、スコットランドのキャンベルタウンで造られているシングルモルトウイスキー。
この記事では、スプリングバンクのことを深く知りたい人やスプリングバンクを今まさに頼もうか買おうか迷っている人の参考になるような情報を提供していきます!
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POINT
- スプリングバンクは近年人気の高まっているウイスキー
- スプリングバンク蒸留所は、3つしか稼働していないキャンベルタウンの蒸留所のうちの一つ
- スプリングバンクの製法の特徴はフロアモルティングを取り入れていること
- スプリングバンクの味わいは、香り高いことが有名で、スプリングバンク自体が別名「モルトの香水」と呼ばれている
スプリングバンクはこんな時に買う・注文すべき
スプリングバンクのことを知りたいと思い、この記事を読んで頂いてる皆さん。結局、ボトルを買うべきか、今飲むべきかで迷っていると言う方も多いかと思います。
そんな方の決断をサポートするために、場面ごとに買うべきか、注文すべきかpeatyなりの見解を示したいと思います!代表的なラインナップについて、記載させていただきます
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スプリングバンクの歴史
スコットランドの南部「キャンベルタウン」にあるスプリングバンク蒸溜所。
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ウイスキーの通好みのブランドとして知られていますが、近年人気が高まっていて、価格も高騰している傾向にあります。
どちらかと言えばマイナーな蒸溜所ではありますが、戦争や世界恐慌などの、社会の変化の中でも生き残ってきた歴史があります。
ウイスキー産業が盛んな港町で誕生
スプリングバンク蒸溜所は、1828年にウィリアム・リードが設立。
当時のキャンベルタウンはウイスキー産業が盛んで、すでに20前後の蒸溜所が稼働していました。
港町なので、アメリカへの輸出がしやすいといった理由があったようです。
スプリングバンク蒸溜所は設立後すぐに義理の親族であるミッチェル家に買収されましたが、現在でもミッチェル家が経営を続けています。
何度も閉鎖に追い込まれる
世界大戦や世界恐慌などの影響でキャンベルタウンの蒸溜所は経営難に陥り、次々と閉鎖してしまいます。
スプリングバンク蒸溜所もこの波に飲まれてしまい、1926年~1933年そして1979年~1987年の2回、閉鎖に追い込まれました。
この背景には、時代的な理由はもちろんですが、キャンベルタウンの他の蒸溜所が生産量を増やすために手を抜いた製造を行ったことによるイメージダウンの影響も少なからずあったようです。
この間、スプリングバンク蒸溜所では1969年には独立系ボトラーズのレイドウィリアム・ケイデンヘッド社を買収しており、同社のボトリングも担うようになりました。
1989年に本格再スタート
経営状況が悪化し、閉鎖に追い込まれていたスプリングバンク蒸溜所は1988年に製造を部分的に再開、1989年に本格的に再スタートを果たします。以降もスプリングバンク蒸溜所はウイスキー造りを続けています。キャンベルタウンで現在操業している蒸留所はスプリングバンクとグレンスコシア、2004年に操業を再開したグレンガイルの3カ所となりました。
スプリングバンク蒸溜所は今もなお、キャンベルタウンで伝統に基づいた上質なウイスキー造りをしているのです。
スプリングバンクの製法の特徴
独特の味わいで、通好みのこだわりのアイテムが揃うスプリングバンク。
製麦からボトリングまですべての工程を自社で行っていることが大きなポイントです。
ここからは、スプリングバンク蒸溜所の製法の特徴を紹介していきましょう。
自社でフロアモルティングを行っている
スプリングバンク蒸溜所では原料の大麦を自社でフロアモルティングにより発芽させています。
スプリングバンク蒸溜所では「スプリングバンク」「ロングロウ」「ヘーゼルバーン」の3つの銘柄を製造。
それぞれの銘柄に合わせてピートを燃やしたり熱風で乾かしたり、手間のかかる工程を行っているのです。
歴史あるマッシュタンを使用
糖化のためのマッシュタンは蒸溜所で130年に渡って使用されているもの、ウォッシュバックはバイキング時代に船の材料として使われてた北欧産のカラマツ材を使用しています。
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このように、歴史あるものを使い続けていることも特徴です。
蒸留回数へのこだわり
そして、ポットスチルは初留用1基、再溜用2基の計3基があります。
スプリングバンクの蒸留回数は2.5回ですが、一般的なスコッチが2回、アイリッシュウイスキーなどが3回というのと比べるとかなり特殊でしょう。
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この蒸留回数が、独特な風味を生み出すと考えられています。
ちなみに、ロングロウは2回・ヘーゼルバーンは3回蒸留です。
最低3年間熟成
バーボン樽やシェリー樽などに入れた原酒は、最低3年間熟成されます。その後、自社でボトリング作業をして出荷されます。
味わいとラインナップ
スプリングバンクは、「モルトの香水」とも呼ばれていて、香り高いことが特徴です。海が近いので潮風による塩気のある味わいが独特の魅力となっています。
それでは各ラインナップごとに細かくその特徴を紹介していきましょう。
- スプリングバンク 10年
- スプリングバンク 12年 カスクストレングス
- スプリングバンク 15年
- スプリングバンク 18年
- スプリングバンク 21年
- スプリングバンク 25年
- スプリングバンク ローカルバーレイシリーズ
- 【参考】その他スプリングバンク蒸留所の銘柄
- ロングロウ
- ヘーゼルバーン
スプリングバンク 10年
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「スプリングバンク 10年」は、スプリングバンクのスタンダード品です。
「モルトの香水」と呼ばれていることからもわかるとおり、香り高いことで知られています。
元々人気の銘柄でしたが、世界的に人気が高まり、毎年発売されてすぐに完売。
2018年には値段も上がりました。
香りは洋梨やバニラ、麦芽。シナモンやバニラ、ハチミツ、ウエハースに加えて、絶妙な潮気が特徴的です。
水割りにすると、全体の味のバランスが良くなるのでおすすめ。
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スプリングバンク 12年 カスクストレングス
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数量限定で定期的にリリースされる「スプリングバンク 12年 カスクストレングス」。
シェリー樽で12年以上熟成させた原酒を使用し、カスクストレングスでボトリングしています。
塩キャラメルやレーズン、バニラ、マーマレードジャムの香り。
レーズンやアプリコット、レモン、ベリーの味わいです。
塩気が感じられる、スプリングバンク らしいアイテムと言えるでしょう。
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スプリングバンク 15年
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シェリー樽で15年以上熟成させた原酒を使用した「スプリングバンク 15年」。
ダークチョコレートやフルーツケーキ、アーモンドなどの濃厚な甘い香りが特徴。
レーズンやマジパン、プラム、ダークチョコレートの味わいです。
贅沢な風味なので、食後のデザートとして楽しむのがおすすめ。
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スプリングバンク 18年
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シェリー樽で18年以上熟成させた原酒を80%以上使用した「スプリングバンク 18年」。
18年以上熟成させた原酒を使っている比率が高く、長期熟成ならではの深みのある風味を楽しめます。
サルタナレーズンやバニラ、ドライアプリコット、ビスケットのような香り。
レーズンやミルクチョコレート、オレンジピールのような味わいでスプリングバンクらしい塩気も感じられます。
ストレートで飲むのがおすすめです。
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スプリングバンク 21年
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1990年代にリリースされていた「スプリングバンク 21年」。
2012年より、年に1回数量限定で販売が再開されています。
バーボンやシェリー、ラムなどさまざまな樽で熟成させた原酒を組み合わせており、リリースされた年によってその組み合わせが変わることが特徴です。
例えば、2018年のものはラムとバーボンの2種の樽を使っていて、2016年のものはオロロソシェリー樽のみでした。
このように、リリースされた年により、違った味わいを楽しめるのがポイントです。
日本に入荷する本数は少数なので、バーなどで見かけたら迷わず飲んでみましょう。
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スプリングバンク 25年
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「スプリングバンク 25年」は10年程度のスパンで不定期に販売されていて、直近では2020年にリリースされました。
2020年のものは世界で1,200本、日本には120本しか入荷されていないレアなアイテムです。
リンゴやイチゴ、クランベリー、バタートーストの香り。
イチゴジャムや麦芽、アーモンド、ミルクチョコレートのニュアンスの中に塩気も感じる味わいです。
リッチで飲み応えのあるアイテムですが、価格も高いので、バーなどでもしも出会えたらゆっくり少量を楽しみましょう。
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スプリングバンク ローカルバーレイシリーズ
スプリングバンク蒸溜所に近い場所にある農場で栽培された大麦を使用した「スプリングバンク ローカルバーレイシリーズ」。
「ローカルバーレイ9年」「ローカルバーレイ10年」「ローカルバーレイ16年」などの種類があり、それぞれの年で違った大麦を使用し、さまざまな樽で熟成させた原酒をブレンドしているのが特徴です。
地元の大麦を使用しているので、スプリングバンクはキャンベルタウンの産業振興にも大きく貢献していると言えるでしょう。
ローカルバーレイ9年
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バニラや洋梨、硝煙のようなスモーキーな香り。
柑橘やホワイトペッパー、麦芽の味わいで、塩気をかなり感じます。
スプリングバンクらしい風味と言えるでしょう。
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ローカルバーレイ10年
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バーボン樽77%、シェリー樽20%、ポート樽3%を使用し、カスクストレングスでボトリングしています。
ハチミツやシナモン、バニラの香り。
麦やパイナップル、マンゴー、桃のような味わいです。
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ローカルバーレイ16年
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地元産の原料の良さを最大限に引き出した、伝説の存在として語り継がれているアイテムです。
麦芽やレモン、ハチミツ、ハチミツ、ピートの香り。
バタークッキーやハチミツ、木や麦芽のような味わいです。
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【参考】その他スプリングバンク蒸留所の銘柄
スプリングバンク蒸留所では、「スプリングバンク」以外の銘柄のウイスキーも造っています。
ロングロウ
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「ロングロウ」は、アイラスタイルのスモーキーなシングルモルトをキャンベルタウンでも造ることが可能か証明するため、実験的に作られました。
香りは強烈なスモークを感じます。梨や青りんご、レーズンなどの香り、バニラやハチミツのニュアンスのオイリーな味わいです。
スプリングバンクのような強い塩味は感じず、また違った風味に仕上がっています。
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ヘーゼルバーン
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「ヘーゼルバーン」とは、1925年に閉鎖された、かつてあった蒸溜所の名前。
ニッカウヰスキーの創業者・竹鶴政孝氏が学んだことでも知られています。
この蒸溜所の味をスプリングバンクが蘇らせました。
洋梨やアップルパイ、キャラメルなどの香りが特徴。
バニラやオレンジピール、ミルクチョコレートの味わいで、フィニッシュには出汁っぽさを感じることができます。
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まとめ
スプリングバンクについてまとめました!最近は本当に人気高まっていますよね。私はブランドのフォントの格好良さがいいなーと思っています。このロゴのTシャツがほしいです笑
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他のキャンベルタウンのウイスキーについてもまとめていますので、よかったら読んでみて下さい!