ウルフバーン(WolfBurn)は、スコットランドのハイランド地方で造られているシングルモルトウイスキー。スコットランド本島の最北端の蒸溜所と言われており、シングルモルトの生産だけを行っています。
この記事では、ウルフバーンのことを深く知りたい人やウルフバーンを今まさに頼もうか買おうか迷っている人の参考になるような情報を提供していきます!
ウルフバーンはこんな時に買う・注文すべき
ウルフバーンのことを知りたいと思い、この記事を読んで頂いてる皆さん。結局、ボトルを買うべきか、今飲むべきかで迷っていると言う方も多いかと思います。
そんな方の決断をサポートするために、場面ごとに買うべきか、注文すべきかpeatyなりの見解を示したいと思います!代表的なラインナップについて、記載させていただきます。
ウルフバーンの歴史
ウルフバーンは2012年にできたばかりの蒸留所です。実はその名前には、過去にあった蒸留所へのオマージュが込められていました。
ウルフバーンは元イギリス海軍兵が設立
ウルフバーン蒸溜所は2012年に設立されました。
創設者は、元イギリス海軍兵のアンドリュー・トンプソン氏。
アフガニスタンやイラクなどにも派遣されていたアンドリュー・トンプソン氏は、海軍を辞めた後、南アフリカのケープタウンで2005年に通信インフラ会社を設立しました。
仕事は順調だったものの、忙しさに追われる日々の中で、別のことに挑戦しようと思い立ち会社を売却。
そこで、行きついたのがウイスキー造りだったのです。
彼の出身地であるケイスネス州は自然豊かな場所で、ピート層が広がるウルフバーン川などウイスキー造りに適しています。
地元に貢献したいという想いもあり、蒸留所を設立したのです。
ウルフバーンという蒸留所名は過去に遡り…
ウルフバーン蒸溜所のあるケイスネス州サーソーには、過去には12か所もの蒸留所がありました。
その中にあった「ウルフバーン蒸溜所」はウィリアム・スミス社が1852年まで操業を続けていた大規模な蒸留所。その名前は、水源として利用していたウルフ・バーン(狼の小川)から取られました。
しかし、その後約150年にわたりウイスキー造りは行われていない状態でした。
そこで、アンドリュー・トンプソン氏はこの「ウルフバーン蒸溜所」にオマージュを込めて同じ名前をつけ、同じ水源であるウルフ・バーン(狼の小川)と、元の蒸溜所の近くに新しい蒸溜所を建てたのです。
アナログな製法にこだわり
もともとは通信会社で最先端の仕事をしていたアンドリュー・トンプソン氏ですが、蒸留所にはコンピュータを極力導入せず、アナログな製法にこだわっています。製造段階で唯一のコンピューターはマッシュタン(糖化槽)に繋がれ、温度調節に使われています。
蒸留所の設立時には大手ウイスキーメーカーから原酒を提供してほしいという話もあったそうですが、一貫してシングルモルトウイスキーのみを生産。
少数精鋭でクラフトウイスキー造りに励んでいます。
The BRAVESというファンクラブ
ウルフバーンは、歴史の浅い蒸溜所ですが、The BRAVESというファンクラブを立ち上げています。ファン作りに力を入れている証拠ですね。
会員限定のボトルやグッズ、情報の先行配信などのメリットがあるみたいです。興味ある方は、是非入会ください。
ウルフバーンの製法の特徴
まだまだ歴史の浅いクラフトウイスキーを製造する蒸留所ですが、アナログな製法にこだわっていることで知られています。
ライトリーピーテッドを使用
ウルフバーンでは、アイラ系のようなピーティーな味わいではなくスペイサイド系の華やかなモルトウイスキーを目指しています。
当初はノンピートだけだったものの、現在は1年間で約2か月間、ピーテッドモルトを使っています。フェノール値10ppmのライトリーピーテッドを使用していることが特徴です。
ちなみに、モルティングは自らで行わず、マッシング(糖化)から行っています。モルトをどこから仕入れているかは公開していません。
フォーサイス社製の設備
ウルフバーン蒸留所にある設備は、すべてフォーサイス社製のものを採用しています。
発酵槽はステンレス製が4基、蒸溜器は小型のものを2基設置。小型蒸溜器2基で、大体年間125,000リットルほどを生産しています。
蒸溜所の1つの建物内に必要な設備がすべて揃っていますが、これはアンドリュー・トンプソン氏が蒸留所設立前に訪れた秩父蒸溜所に似ている印象です。
また、すべての工程を手作業で行っているのも大きな特徴です。
ウルフバーンの発酵過程
4つの発酵槽(ウォッシュバック)は、それぞれ容量9,000リットルで、その半分以上の5,100リットルが入れられます。
これにより、発酵中に泡がウォッシュバックの一番上まで上がらず、あふれ出すことがありません。発酵を始める前に、南アフリカ産の酵母が発酵槽に加えられます。非常に長い発酵時間は76時間から90時間です。その結果得られるもろみは非常に軽く、果実味と花の香りがあります。
積極的な設備投資
熟成用の樽は、バーボン樽を組み替えたクォーターカスクやホグスヘッドのバーボンバレル、シェリーバットが使用されています。
長期にわたって売り続けられるよう、樽の数もしっかり管理されていて、積極的な設備投資も行っていることが特徴です。現在は4つの倉庫がありますが、2021年からは倉庫の増築計画が進んでいます。
むやみに生産量を増やすのではなく、こだわりの味を変わらず長期間提供できる仕組みを整えているのがアンドリュー・トンプソン氏の経営の才能だと言えるでしょう。
ウルフバーンは、他の蒸留所とは異なり、独自のボトリング工場を持っており、そこで自らボトリングとラベリングを行っています。樽のラベルはバーコード等ではなく、手書きで管理されています。
ノンチルフィルタード製法、色素添加もなし
ウルフバーンのウイスキーは、製造過程で厳密に監視され、最後の一滴まで均一な品質が保たれています。チルフィルタリングや色素添加は行われず、自然の風味と色が引き立たせられています。
ウルフバーンのビジターセンター
ビジターセンターやショップはありません。ただ、平日の10時、12時、14時にシングルモルトを作る過程の見学ツアーがあります。1.5時間のツアーでは、4種類のウィスキーの試飲とグラスが一つもらえる内容となっています。
味わいとラインナップ
蒸留所は2012年に完成したばかりの新進気鋭のブランドですが、ウイスキーファンにも高い評価を受けているアイテムがたくさん揃っています。
それでは各ラインナップごとに細かくその特徴を紹介していきましょう。
- ウルフバーン ノースランド
- ウルフバーン オーロラ
- ウルフバーン モーヴェン
- ウルフバーン ラングスキップ
- ウルフバーン10年
- ウルフバーンクリスマスボトリング
- ウルフバーンジャパンエクスクルーシブ
- ウルフバーンヘルプフォーヒーローズ
- ウルフバーン for THE BRAVES
- 【番外】ウルフバーンスモールバッチシリーズ
ウルフバーン ノースランド
ウルフバーンで2013年に最初にリリースされた「ウルフバーン ノースランド」。
現在では、ウルフバーンの主力アイテムになっています。
ラフロイグの熟成の際に使用したクォーターカスクで熟成させた原酒を使っていることが特徴です。そのため、樽由来のピートをほんのりと感じられます。
香りはりんごやレーズン、バニラやナッツ。
マスカットやハチミツ、りんご、バニラやレーズンのような味わいです。
軽めの風味なので、飲みやすいアイテムだと言えるでしょう。
ウルフバーン オーロラ
ファーストフィルのアメリカンフィルバーボン樽とファーストフィルのオロロソシェリーホグスヘッドを使用して熟成させた「ウルフバーン オーロラ」。
ホグスヘッドとは、一回り小さい樽のこと。ホグスヘッドを使用する理由は、熟成が早く進むからだとされています。
香りはハチミツや青りんご、桃、メープルシロップなど。
キウイやナッツ、ウエハースやジンジャーのような味わいを感じます。
ライトな風味で、すっきりとした後味が特徴です。
ウルフバーン モーヴェン
ウルフバーンで初めてピーテッドモルトを使用した「ウルフバーン モーヴェン」。モーヴェンはゲール語で「大きな山」を意味します。
ファーストフィルバーボンカスクと、ラフロイグのセカンドフィルクオーターカスクで熟成させています。10ppm程度のピートレベルのモルトを利用しており、わずかにスモーキーな香りを感じます。
レモンやハチミツ、バナナやバニラの香りが特徴です。
味わいはメープルシロップや麦芽クッキー、レモンピールのようなニュアンス。
カクテル用としても使用されているアイテムです。
ウルフバーン ラングスキップ
ファーストフィルのバーボンカスクで熟成させた原酒をアルコール度数58度に調整した「ウルフバーン ラングスキップ」。ラングスキップという名前は、かつて海岸線を支配していたバイキング(海賊)の襲撃に使われた船を意味するノルウェー語です。
カスクストレングスに近いアルコール度数を楽しめます。
なお、熟成にはジムビームのバーボンカスクを使用していることが特徴。
そこに、アルコール69度の蒸溜後の原液(ニューポット)を加水なしで樽詰めしています。
香りはサクランボやオレンジ、キャラメルなど。
メープルシロップや塩キャラメル、チョコレートのような味わいです。
ハイボールにしてもおすすめ。
加水するとレモンピールのような柑橘の香りが現れ、違った味わいを楽しめます。
ウルフバーン10年
ウルフバーン蒸溜所で初めて熟成年数の表記のある「ウルフバーン10年」。
ウルフバーンが初めて販売したエイジング付きのラインナップです。
厳選したスパニッシュオークのセカンドフィル・オロロソシェリー樽で熟成させています。
香りはいちじくやレーズン、バニラやオークなど。
チョコレートやキャラメル、バニラ、ナツメグのような味わいです。
ウルフバーンクリスマスボトリング
2023年に、クリスマスに向けて造られた「ウルフバーンクリスマスボトリング」。
8年熟成させた原酒を、オロロソ・シェリー・ホグスヘッドとファーストフィル・バーボンバレルの2種類の樽で熟成させています。
1,800本限定でリリースされたレアなアイテムです。
ドライフルーツやバニラ、ダークチョコレートの香り。
味わいは、ココアやシロップ、フルーツやハチミツのようなニュアンスです。
ウルフバーンは毎年クリスマスボトルをリリースするので、是非チェックしましょう!
ウルフバーンジャパンエクスクルーシブ
1年に1回リリースされる日本限定シリーズの第6弾である「ウルフバーンジャパンエクスクルーシブ」。
ウルフバーン日本公式会員クラブ「THE BRAVES」の会員による投票で選ばれた樽が使用されています。
香りはアプリコットやダークチョコレート、レモンやドライジンジャー。
麦チョコや柿、バニラやブラックペッパーのような味わいです。
ウルフバーンヘルプフォーヒーローズ
ファーストフィル・バーボン樽とオロロソ・シェリー・ホッグスヘッドで熟成させた「ウルフバーンヘルプフォーヒーローズ」。
「Help for Heroes(ヘルプフォーヒーローズ)」とは、職務上負傷したサービス要員とその家族に生涯にわたる回復支援を提供しているイギリスの慈善団体のことです。ウルフバーンヘルプフォーヒーローズは、この団体へのチャリティ目的でリリースされています。そのため、収益の一部がこの団体へ寄付されます。
尚、Help for Heroesへのチャリティ目的でリリースされているボトルは、ウルフバーンに限らず40ほどあるとのことです。
香りは柑橘やカルダモン、ナツメグなど。
バニラやバタースコッチ、シロップのような味わいです。
ウルフバーン for THE BRAVES
年に1回リリースされる日本限定シリーズの「ウルフバーン for THE BRAVES」。
蒸留所の日本公式会員クラブ「THE BRAVES」の会員によって選ばれた樽の原酒がボトリングされています。
会員限定のため、購入にはまずは会員になることが必要です。
【番外】ウルフバーンスモールバッチシリーズ
ウルフバーンでは、年に1回ほど「スモールバッチシリーズ」がリリースされています。
毎年、さまざまな樽で熟成された原酒が使用されていて、ファンが多いアイテムです。
直近では、2023年9月にウルフバーンスモールバッチ177が世界4,900本限定で販売されています。本数も限定で、人気も高いためバッチシリーズが欲しい場合は常にウルフバーンの情報に気を配っておくことが大切です。
その他のスモールバッチは以下のスケジュールで発売されていました。
No | 銘柄名 | 発売開始 | 本数 |
1 | ウルフバーンスモールバッチ128 | 2017年5月 | |
2 | ウルフバーンスモールバッチ270 | 2018年3月 | |
3 | ウルフバーンスモールバッチ375 | 2019年3月 | |
4 | ウルフバーンスモールバッチ155 | 2020年2月 | 限定5,300本 |
5 | ウルフバーンスモールバッチ204 | 2021年11月 | 限定5,800本 |
6 | ウルフバーンスモールバッチ318 | 2021年9月 | |
7 | ウルフバーンスモールバッチ458 | 2022年9月 | 限定5,100本 |
8 | ウルフバーンスモールバッチ177 | 2023年9月 | 限定4,900本 |
まとめ
スコットランド本当最北端の蒸留所、ウルフバーンについてまとめました!
日本で会員制度も設けているとてもおもしろい銘柄です。ピートが強くなく、とても飲みやすいウイスキーですね。ラベルも格好いいので、ぜひ1本買ってみてはいかがでしょうか?