カナディアンウイスキーを徹底解説!特徴・代表的な銘柄など

シングルモルトを知ろう!

こんにちは。Peaty編集部です。

カナディアンウイスキーは世界5大ウイスキーの1種として扱われます。バーボンやスコッチウイスキーに比べて、なかなか露出が少なく知る機会が少ないですよね。

この記事ではそんなカナディアンウイスキーの種類や特徴、味わいを紹介します。

編集部
編集部
  • カナディアンウイスキーとは、カナダで生産されるウイスキー。世界5大ウイスキーの一つ。
  • 法的な制約が少なく、自由度が高いことが大きな特徴。フレーバーウイスキーなど飲みやすいものも多い。
  • 飲みやすさの秘訣は、ライ麦を多く入れたコーンベースのウイスキーが多いことによります。カナダではカナディアンウイスキーのことを「ライウイスキー」と呼んでいる。
  • 代表銘柄は、カナディアンクラブやクラウンローヤル。スーパーでも手に入るので、是非お試しください!!
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カナディアンウイスキーとは?

カナディアンウイスキーとは、世界5大ウイスキーの1つで、カナダで生産されたウイスキーのことです。日本ではまだあまり見かけることが少ないウイスキーですが、近年のウイスキーブームによって、徐々に日本でも人気が広まってきています。

カナディアンウイスキーは17世紀後半の1688年に初めて蒸留酒を造ったのが始まりとされています。もともとビールを生産していた蒸留所にて、「ウイスキー輸入量の削減」を目的としてウイスキーを作り始めました。

その後18世紀になり、1775年、アメリカ独立戦争が始まります。カナダはアメリカと同じくイギリスの植民地であった時代で、アメリカの独立に批判的な移民がカナダにやってきました。そして、アメリカからの移民が大量に余っていたライ麦や小麦を活用してウイスキー造りをするようになり、カナダでのウイスキー生産量は増えていきます。

さらにそこから100年以上あとになり、1920年〜1933年のアメリカ国内での禁酒法が思考されました。アメリカ国内でお酒の製造、販売、輸送ができなくなったことにより、皮肉なことにカナディアンウイスキーの輸出量が増えていきます。禁酒法以前はアメリカで消費されるウイスキーはアイリッシュウイスキーや自国のものがメインでした。しかし、禁酒法によりアイリッシュウイスキーの輸入が禁止になり、アメリカでのウイスキー造りも禁止されてしまいました。

もちろんカナディアンウイスキーも輸入は禁止でした。しかしアメリカに隣接しており密輸がしやすかったことから流通し始めます。その結果、カナディアンウイスキーを飲むアメリカ人が増えていきました。アメリカ禁酒法時代の13年間によって、アメリカやアイリッシュウイスキーの産地に大打撃を与えるほど、カナディアンウイスキーは普及することとなったのです。

最終的に、カナディアンウイスキーは、「アメリカのウイスキー庫」と呼ばれるまでになるほど繁栄しました。このような歴史から、現在でもカナディアンウイスキーの輸出先としてアメリカは大きな割合を占めています。

禁酒法時代に生産量が増えたカナディアンウイスキーですが、1980年代以降にカナダ国内の厳しいアルコール制限やアメリカ人の趣向がジンなどの他のアルコールに向いたことにより、ウイスキー市場が若干衰退してしまいます。

衰退したことにより熟成期間を長く取れるようになるというメリットはありましたが、各企業の収益性を圧迫することになりました。そのため、この期間のうちに、カナダの蒸溜所は国外の蒸溜所に買収されることが続きました。

例えば、アルバータ蒸溜所は、現在日本のビームサントリー社が保持しています。しかしながら、最近はアメリカを中心とした輸出により売上も増えてきており、復活が期待されているものも少なくありません。

他のウイスキー銘柄の紹介でも繰り返しアメリカの禁酒法の影響は出てきますね。アメリカの禁酒法が与える影響の大きさは計り知れません!!禁酒法がなければ現在のウイスキー銘柄は大きく変わっていたかもしれませんね。

カナディアンウイスキーの定義

法律上、カナディアンウイスキーと呼ばれるためには以下の条件を満たしている必要があります。

  • 穀物を糖化(マッシュ)し、蒸留され、熟成されたウイスキー(普通のウイスキーですね)
  • カナダ国内で、木樽で最低でも3年以上は熟成すること
  • アルコール度数が体積当たり40%未満であってはならない

他のウイスキーの定義と比べると少ないことがわかりますね。そのぶん、カナディアンウイスキーは自由度の高いウイスキーなのです。

カナディアンウイスキーの特徴

カナディアンウイスキーは5大ウイスキーの中でもライトで爽快、スッキリとし味わいが特徴です。

ご紹介した通り、カナディアンウイスキーは他のウイスキーに比べると制約が少なく、他の国ではできないブレンドが可能なことも特徴の1つです。具体的には9.09%までカナダ産以外のウイスキーを加えられるため、バーボンや、ワイン、ラムなどもブレンドが可能です。

カナディアンウイスキーの多くは2つの原酒をブレンドさせて造られています。

  • ベースウイスキー:連続式蒸留器を使用しマイルドでクセが少ないのが特徴で、グレーンウイスキーに近いウイスキーです。ベースウイスキーは全てフレーバリングウイスキー用に使用されるため、原酒のまま世に出ることはありません。
  • フレーバリングウイスキー:ライ麦や大麦麦芽、トウモロコシを原料として造られるウイスキーで、しっかりした味が特徴

ベースウイスキー内のフレーバリングウイスキーの比率は高くても30%ほどで、ベースウイスキーが大半を占めています。そのため、カナディアンウイスキーは全体的にライトでスッキリとした風味が特徴です。また、様々なフレーバーがあるため、カクテルにも使いやすいウイスキーです。

代表する蒸留所とそれぞれの特徴

ハイラム・ウォーカー蒸留所 – Hiram Walker –

1858年にハイラム・ウォーカー氏が設立した蒸留所です。場所は首都オタワもある大都市オンタリオ州です。アメリカに隣接しているため禁酒法時代にも多くのウイスキーを輸出した蒸留所としても知られています。プレバレル・ブレンディングの製法でウイスキー造りをしている点が特徴です。

プレバレル・ブレンディングとは、ウイスキーを熟成する前にブレンドする製法で(熟成してからブレンドをするのが一般的)クリアでスッキリした味わいのウイスキーを造っています。

代表銘柄はカナディアンクラブ(Canadian Club)です。

日本でよく見かけるカナディアンウイスキーといえばカナディアンクラブではないでしょうか。プレバレル・ブレンディングの製法により樽の風味と滑らかな口当たりが特徴で初心者でも飲みやすいウイスキーです。

カナディアンクラブについては別の記事でもまとめています。よかったら読んでみてください!

ギムリ蒸留所(クラウンローヤル蒸留所) – Gimli Distillery –

設立は1968年、シーグラム社が創業した蒸留所で現在のオーナーは多数の蒸留所を経営する大企業のディアジオ社です。

代表銘柄のクラウンローヤル(Crown Royal)は、ボトルの見た目とロイヤルという名前からも高貴な雰囲気が伝わってくるウイスキーです。約600種類ものブレンドを繰り返して作りあげたもので、イギリス国王のジョージ6世へ献上されています。クセがなくとても飲みやすいことや高級感あふれる見た目からプレゼントとしてもおすすめです。

クラウンローヤルについては別の記事で解説しておりますので、よかったら読んでみてください!

カナディアンミスト蒸留所 - Canadian Mist –

設立は1967年で現在のオーナーはブラウンフォーマン社です。

厳選されたライ麦やトウモロコシ、そしてジョージア湾の仕込み水を使用し、3回蒸留をした後にホワイトオーク樽で熟成するのがこの蒸留所の特徴です。

代表銘柄のカナディアンミストは3回蒸留されているためライトで癖が少なく、ハイボールにして飲むのもおすすめです。

アルバータ蒸留所 – Alberta Distillers –

第二次世界大戦終戦の翌年、1946年に設立されたカナダでも最大規模の蒸留所の1つでアメリカモンタナ州との国境沿いにあります。この地域は乾燥した気候で良質なライ麦が豊富なことから、フレーバリングウイスキー、ベースウイスキー共に主原料がライ麦で造られています。

この蒸留所で造られるアルバータプレミアム(Alberta Premium)はライ麦100%の珍しいウイスキー「カナディアンの至宝」とも呼ばれています。ライ麦100%だからと行って強烈なライ麦感を感じる訳ではなく、樽由来のバニラのような優しい甘さとライ麦のスパイシーさもほんのり感じられる上質なウイスキーです。なめらかな口当たりで飲みやすいのでハイボールで飲むのもおすすめです。

ブラックベルベット蒸留所(パリサー蒸留所) – The Black Velvet Distillery –

1939年に創業された蒸留所で、もともとオンタリオ州のパリサー蒸留所でジンを生産していました。1951年にウイスキーの代表銘柄「ブラックベルベット(Blank Velvet)」をリリースし、原酒不足により1960年にアルバータ州に新設されました。

代表銘柄は「ブラックベルベット」です。

良質なライ麦やコーンなどの原料から造られるウイスキーは、なめらかで上品な口当たりで人気があります。キャラメルやココナッツのような香りとスパイシーな味わいが特徴で深みのあるウイスキーです。

フォーティークリーク蒸留所(キトリングリッジ蒸留所)- Forty Creek –

1972年にオンタリオ州で創業された蒸留所でナイアガラの滝のすぐ近くに位置しています。元はブランデーなどの製造を目的として建てられた蒸留所で、ワイン職人であるジョン・ホール氏により「フォーティークリーク」というウイスキーが開発されました。

他の蒸留所にはないストーリーと高品質で個性のある味わいから「カナディアンウイスキーの革命児」とも呼ばれています。

代表銘柄は「フォーティクリーク( Forty Creek )」です。なめらかで甘い口当たりと、レモンピールやココナッツなども感じられる複雑な味わいを楽しめます。日本ではなかなか入手が難しい銘柄ですので、見かけた際はぜひお試しください。

グレノラ蒸留所 – Glenora Distillers –

1989年に創業され、ブレンデッドウイスキーが主流のカナダで本格的なシングルモルトウイスキーを造る非常に珍しい蒸留所です。

蒸留所の場所がノヴァ・スコシア州というスコットランド移民が多い地域にあります。オーナーもスコットランドからの移民の子孫で、スコッチに似た製法でウイスキー造りをしています。

単式蒸留器で2回蒸留した後にオーク樽で熟成し、原料もスコットランド産のものを使用しています。

代表銘柄の「グレンブレトン・レア(Glen Breton Rare)」は、スモーキーな香りと樽香を感じられる個性のあるウイスキーで、現在はカナダ国内のみでしか販売していないため大変希少です。2024年5月現在も、日本国内で手に入れることは難しい一品です。

まとめ

カナディアンウイスキーはご紹介したように様々な飲み方を楽しむことができます。それぞれに味が異なり、カナディアンを深堀りしていくととても面白い世界があります。

「カナディアンの至宝」「カナディアンウイスキーの革命児」 というような別名をもつものも面白いですよね!(笑)

ぜひそんなカナディアンウイスキーを楽しみましょう。

参考に、他の世界5大ウイスキーについても紹介してます。ぜひお読みください。

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