スコッチウイスキー、ベンロマックのご紹介【スペイサイドのウイスキー】

シングルモルトを知ろう!

ベンロマックは、スコットランドのスペイサイド地方で造られているシングルモルトウイスキー。

この記事では、ベンロマックのことを深く知りたい人やベンロマックを今まさに頼もうか買おうか迷っている人の参考になるような情報を提供していきます!

編集部
編集部

POINT

  • スペイサイド地方で創業されたベンロマック蒸留所は、今となっては小規模ながら数々の賞を受賞しています。
  • 設立当初からトラブルが続き、1988年に建設が開始したのに、初の閉鎖が起きた年は1900年。第一次世界大戦の影響もうけつつ、閉鎖と再開が繰り返されました
  • 1992年にゴードン&マクファイル社によって買収され、大規模な改修を経て1998年に再開してからは、シングルモルトブームもあって人気のウイスキーとなっています。
  • 年間生産量は約15万リットルで、スペイサイドで最小と言われています。
  • ビール酵母を使用した発酵で複雑なフレーバーを引き出しています
  • スピリットスチルの特徴的な形状により、ウイスキーに辛さとスパイシーさが生まれる。
  • 「良いウイスキーのためには良い樽が必要」という考えを持ち、熟成にはこだわっているウイスキー
  • ベンロマックではジンも製造し、「レッドドア・ジン」として知られている。
  • 日本での知名度の低さの割に、年々人気の高まってきているウイスキーです
スポンサーリンク

ベンロマックはこんな時に買う・注文すべき

ベンロマックのことを知りたいと思い、この記事を読んで頂いてる皆さん。結局、ボトルを買うべきか、今飲むべきかで迷っていると言う方も多いかと思います。

そんな方の決断をサポートするために、場面ごとに買うべきか、注文すべきかpeatyなりの見解を示したいと思います!代表的なラインナップについて、記載させていただきます。

ベンロマックの歴史

スコットランドのスペイサイド地方で造られているベンロマック。

スペイサイド地方で最小の蒸留所ながら、数々の世界的な賞を受賞していることでも知られています。

しかし、これまでの歴史は決して順調ではありませんでした。

設立年からトラブルが発生

ベンロマック蒸留所は1898年にスペイサイドの北西にある「フォレス」という歴史ある町に、ダンカン・マッカラム氏F・Wブリックマン氏の共同出資によって建設が開始されました。

マッカラム氏はキャンベルタウンのグレン・ネヴィス蒸留所で働いていた経験を持ち、F.W. ブリックマンはエジンバラでウイスキーの売買を行っていました。

しかし、設立された年にベンロマックの販売先だった大手ブレンダーのパティソンズ社が倒産してしまいます。

パティソンズ社と関係があったF・Wブリックマン氏はウイスキー事業から手を引きました。マッカラム氏は生産を続けようとしますが、ベンロマック蒸留所は生産を始めた年と同じ年の1900年に閉鎖に追い込まれてしまいました。

その後、Harvey McNair & Co.が1911年に買収し1914年まで生産するなどもありましたが、どこが買収しても「再開したもののすぐに閉鎖」という状況を何度も繰り返してしまいました。1914年に始まった第一次世界大戦によって、大麦不足に陥ったことが影響とも言われています。

ジョセフ・ホッブズがベンロマックを買収

アメリカの禁酒法時代にカナダで造ったウイスキーをアメリカに持ち込み、ビジネスとして大成功したジョセフ・ホッブスという人物がいました。

このジョセフ・ホッブスが、1938年にベンロマック蒸留所を買収したのです。

これで蒸留所の経営は安定かと思いきや、1年も経たない間にアメリカのナショナル・ディスティラーズ社に売却。ジョセフ・ホッブスの投資の対象から外れたとされています。

ゴードン&マクファイル社が買収

ナショナル・ディスティラーズ社に買収された後、蒸留所の改修なども行われ、ベンロマック蒸留所は軌道に乗り始めました。

しかし、1983年に生産能力の低さから閉鎖に追い込まれてしまいます。

その後、閉鎖されたままになっていましたが、1992年に独立系ボトラーの最大手企業であり古い歴史のあるゴードン&マクファイル社が買収。

これが大きな転機となりました。

大規模な改修後、1998年に再稼働したベンロマック蒸留所は、再稼働・現在では数々の賞を受賞する注目の蒸留所となったのです。この背景には、今と昔で蒸溜所に求められる価値が代わったことがあります。

昔はブレンドデッドウイスキーが主流だったため、蒸留所に求められていることは生産力の高さでした。今は小規模な蒸留所のウイスキーの評価が高まったことにより、規模に関係なく生き残れる時代になったのです。

需要拡大を受け、2013年にはウエアハウスが2棟増設されています。皮肉なことに、現代になってから生産量も増強されたんですね。

ベンロマックの製法の特徴

年間生産量約15万リットルと、スペイサイドで最小の蒸溜所であるベンロマック。

ここからは、ベンロマック蒸溜所の製法の特徴を紹介していきましょう。

スコットランドの大麦を使用

1966年までは自社でフロアモルティングを行っていましたが、現在はスコットランドで栽培された有機大麦をモルトスターから購入しています。

伝統的なスペイサイドモルトがライトリーピーテッドであったことから、それを再現するために8~12ppm程度のライトリーピーテッドを使用していることが特徴です。

仕込み水は、創業時からチャペルトンの泉の水を使用しています。

ビール酵母を使用

発酵槽はスコットランドのカラ松製で、13基設置されています。

発酵にはビール酵母とディスティラーズ酵母を使用。

ビール酵母を使用するのは珍しいですが、複雑なフレーバーを引き出すために採用されています。

ポットスチルはストレートヘッドのスピリットスチル(初溜)が1基、ボール型のウォッシュスチル(再溜)が1基の計2基。

スピリットスチルはとても背が高く小さいという特徴を持っています。この特徴により、アルコールがキレイに分離されません。アルコールがキレイに分離されないことにより、ベンロマックは特有の少しの辛さとスパイシーさが生じています。

蒸留の際、スピリッツのカットポイントを大麦の種類によって変えていることも特徴です。

熟成のための樽は徹底的にこだわる

伝統的なダンネージ式のウェアハウスが3棟、蒸溜所内に建てられています。

熟成はファーストフィルのバーボン樽シェリー樽が中心で、ワインや酒精強化ワインの樽も使用。

ベンロマックは「良いウイスキーのためには良い樽が必要」という考えのもと、樽の選定から熟成期間の保存方法まで徹底して管理されています。

ベンロマックではジンも生成

ベンロマック蒸留所では、ドライジンも製造しています。

蒸留所の特徴的な赤い門にちなんで「レッドドア・ジン」と名付けられています。「ロンドンドライジン」と呼ばれる定義に厳しい種類のジンを作っています。(定義としては、連続式蒸留機で作られている、主な味をネーブルで作り、蒸留後に人工の香料や着色料を添加してはならないなどがあります。)

味わいとラインナップ

ベンロマックは、スペイサイド地方で最も小さい蒸留所ですが、「スペイサイドモルトのお手本」とも言われ、ウイスキーファンに高く評価されるアイテムが揃っています。

それでは各ラインナップごとに細かくその特徴を紹介していきましょう。

  • ベンロマック 10年
  • ベンロマック 15年
  • ベンロマック 21年
  • ベンロマック 35年
  • ベンロマック 40年
  • ベンロマック オーガニック
  • ベンロマック ピートスモーク
  • ベンロマック 10年 100プルーフ
  • ベンロマック サシカイア ウッドフィニッシュ
  • ベンロマック2010-2022, 11年 46% コントラスト: カラゴールドモルト
  • ベンロマックトラディショナル
  • ベンロマックオーガニック2012

ベンロマック 10年

ベンロマックのスタンダードボトルである「ベンロマック 10年」。

バーボンバレル80%、シェリーのホグスヘッド20%の原酒を、最後の1年間はファーストフィルのオロロソ樽で熟成させて造っています。

香りは、ザクロやレーズン、ナッツやチョコレートなど。

ラズベリーやマンゴー、ビスケットのような味わいが特徴です。軽いピートを感じることもできます。

各バッチの一部を、次のバッチへと混ぜる「ソレラ方式」で造られていて、これによって味が一定に保たれています。

ベンロマック 15年

2015年10月にリリースされた「ベンロマック 15年」。

ワールドウイスキーアワード(WWA)にて金賞を受賞した、世界でも高く評価されているアイテムです。

ウイスキー樽の内側を焦がすチャーリングを行っており、スモークの風味を感じられます。

香りはオレンジピールやブドウ、バニラなど。

味わいはブランデー風味のフルーツケーキやプラム、カモミールやシナモンのニュアンスを感じます。

フルーティーさをしっかりと感じる完成度の高いアイテムと言えるでしょう。

ベンロマック 21年

2020年にリリースされた「ベンロマック 21年」。

日本には360本しか入っていない、レアなアイテムです。

ジンジャーやミルクチョコレート、ラズベリーやオレンジの香り。

味わいは、オレンジやブラックペッパー、リンゴやスパイスなど。

ベンロマック 35年

重厚な化粧箱に入った「ベンロマック 35年」。

1983年の蒸留所閉鎖前に造られた貴重な原酒が使用されていることが特徴です。

箱の中には冊子が入っていて、蒸留所のスタッフの想いなどが綴られ、読み物としても楽しい内容になっています。

オレンジマーマレードやキウイ、シナモンのような香り。

ハチミツやフルーツケーキ、ホワイトチョコレートやメロンのような味わいです。

高価なので、バーなどでもし出会えたらゆったり楽しみましょう。

¥110,000 (2023/10/02 21:25時点 | Yahooショッピング調べ)

ベンロマック 40年

こちらも、蒸留所閉鎖前の原酒を使った「ベンロマック 40年」。

アメリカンホグスヘッドシェリー樽の2つを使用しています。

ジンジャーやフルーツ、シナモンのような香り。

味わいは、オレンジやリンゴ、ダークチョコレートのようなニュアンスです。

価格は非常に高価となっています。

ベンロマック オーガニック

ベンロマック オーガニック」は、原料の栽培から製造過程のすべてにおいて英国土壌協会の厳しい規定をクリアしたオーガニックウイスキー

2006年にリリースされましたが、当時は世界初のオーガニックウイスキーということで非常に注目を集めました。

香りは麦やトフィー、バナナ、ココア。

バナナやラムレーズン、クミンのような味わいです。

ベンロマックらしいおいしさは保ちつつ、オーガニックの基準をクリアした、注目度の高いアイテムと言えるでしょう。

ベンロマック ピートスモーク

ファーストフィルのバーボン樽で熟成させた「ベンロマック ピートスモーク」。

フェノール値47ppmで、ピートがかなり効いています。

バニラやリンゴ、ホワイトチョコレートのような香り。

味わいは、ハチミツやバタースコッチ、あらびきこしょうやレモンシャーベット。

飲み応えのあるアイテムです。

ベンロマック 10年 100プルーフ

通常は43度で瓶詰めしている「ベンロマック10年」の度数を、57度へと引き上げた「ベンロマック 10年 100プルーフ」。

絶妙な風味のバランスはそのままに、シェリー樽とピートをしっかり感じる仕上がりになっています。

リンゴや洋梨、バニラのような香り。

イチゴやラズベリー、ダークチョコレートやコーヒーの味わいです。

少し加水して飲むのがおすすめ。

ベンロマック サシカイア ウッドフィニッシュ

ファーストフィルのバーボン樽で熟成させた後、イタリアワイン「サシカイア」の樽で24ヶ月間フィニッシュさせた「ベンロマック サシカイア ウッドフィニッシュ」。

世界で約7,000本、日本には約300本しか入っていないレアなアイテムです。

香りはベリーやシナモン、シトラス、ピートなど。

ラズベリーやミルクチョコレート、コショウ、オレンジのような味わいです。

モルトウイスキーのファンだけでなく、ワイン好きの方からも非常に注目されています。

ベンロマック2010-2022, 11年 46% コントラスト: カラゴールドモルト

ビール用のクリスタルモルト「カラゴールド」を使った「ベンロマック2010-2022, 11年 46% コントラスト: カラゴールドモルト」。

「カラゴールド」を使用することにより、フルーティーな風味になることが特徴です。

香りはパッションフルーツやライチ、ビスケット。

パイナップルやアプリコット、バタースコッチやコショウのような味わいです。

ベンロマックトラディショナル

1998年にベンロマック蒸留所の稼働が再開した際に、初めて造られたモルトウイスキーを使った「ベンロマックトラディショナル」。

シトラスやハチミツ、麦芽の香り。

味わいは、ピートが効いていてスパイシーなニュアンスです。

ベンロマックオーガニック2012

世界初のオーガニックウイスキーとして知られている「ベンロマックオーガニック2012」。

製造のすべての工程において、英国土壌協会に認可を受けています。

バニラやシトラス青りんごやココアのような香り。

オレンジやフォンダンショコラ、バタースコッチのような味わいです。

まとめ

ご紹介の通り、ベンロマック蒸留所の歴史は波乱に満ちていました。それでも、スペイサイド地方で最小ながらも数々の賞を受賞しています。

ベンロマック蒸留所の製法は独自で、スコットランドで栽培された有機大麦や特有のライトリーピーテッドを使用。ビール酵母の採用や特徴的なスピリットスチルにより、ウイスキーに独特の辛さとスパイシーさを与えています。

そんなベンロマックをぜひ飲んでみてください!

タイトルとURLをコピーしました