スキャパ(SCAPA)は、スコットランドの最北端にあるオークニー諸島「メインランド」で造られているシングルモルトウイスキー。
このエリアで造られるウイスキーは「アイランズモルト」と呼ばれています。
この記事では、スキャパのことを深く知りたい人やスキャパを今まさに頼もうか買おうか迷っている人の参考になるような情報を提供していきます!
POINT
- スキャパは1885年に創業した歴史ある蒸留所で作られるウイスキー
- スキャパ蒸留所は、当時の最先端技術の詰まった蒸留所で、そのなかでも特に蒸気機関を生産にいち早く取り入れていたことが特徴です
- 1994年に一度閉鎖してしまいますが、2004年からは営業が再開され、現在はサントリーが販売に携わっています
- スキャパはバランタインのキーモルトとして使われていることもあり、ほとんどがブレンド用のウイスキーとして生産されています
スキャパはこんな時に買う・注文すべき
スキャパのことを知りたいと思い、この記事を読んで頂いてる皆さん。結局、ボトルを買うべきか、今飲むべきかで迷っていると言う方も多いかと思います。
そんな方の決断をサポートするために、場面ごとに買うべきか、注文すべきかpeatyなりの見解を示したいと思います!代表的なラインナップについて、記載させていただきます
味わいとラインナップ
スキャパは口あたりがやわらかく、飲みやすいことが特徴で、ウイスキー初心者にもおすすめです。
それでは各ラインナップごとに細かくその特徴を紹介していきましょう。
- スキャパ スキレン
- スキャパ グランサ
- スキャパ 12年
- スキャパ 14年
- スキャパ 16年
- スキャパ 25年
スキャパ スキレン
スキャパ スキレンは、以前のレギュラーボトル「スキャパ 16年」が終売になった後にリリースされたノンエイジボトル。
現在、サントリーで販売しているオフィシャルボトルはスキャパ スキレンのみとなっています。
バーボン樽由来のバニラの香りや、パイナップル、洋梨のような香りが特徴。
メロンやバニラ、レモンシャーベットの味わいです。
少量の水で割って飲むのがおすすめ。
スキャパ グランサ
スキャパ グランサは、「スキャパ 16年」が終売になった後にイギリス向けにリリースされたアイテムです。
ファーストフィルのバーボン樽で熟成させた後、エクストラピーテッドウイスキーの樽で追熟させるという珍しい製法で造られています。
バニラや洋梨、甘草の香り、キャラメルや熟したフルーツのような味わいです。
加水して飲むと、スキャパ グランサらしいフルーティーな風味をより楽しめるでしょう。
スキャパ 12年
1990~2000年代に流通していたスキャパ 12年。
12年以上熟成させた原酒をヴァッティングして造っています。
ココナッツやバニラのような甘い香りと、青りんごやライムなどのフレッシュな香りが特徴。
味わいはダークチョコレートやナッツ、コンデンスミルクのようで、スパイシーなニュアンスも感じます。
飲みやすいので、ウイスキー初心者にもおすすめです。
スキャパ 14年
スキャパ 14年は、2004年から2008年まで、4年間だけ流通していた貴重なアイテム。
ピートを焚かない製法を採用しているのでスモーキーではありませんが、仕込み水にピートが溶け込んでいるため、かすかにピートの香りを感じます。
ハチミツやバニラ、メロンやパイナップルなどの甘くてフルーティーな味わいが特徴。
さっぱりしているので、ストレートで飲むのがおすすめです。
スキャパ 16年
以前はレギュラーボトルだったものの、終売になったスキャパ 16年。
りんごやアプリコット、ヘザーハニーの香りが特徴。
なめらかな口あたりで、カスタードクリームやシナモン、ナツメグのような味わいです。
ドライですっきりした後口で、非常に飲みやすいアイテムと言えるでしょう。
2015年に終売となりましたが、まだ置いているバーはあるので、見かけたらぜひ試してみてくださいね。
スキャパ 25年
25年熟成させた原酒を使ったスキャパ 25年。
2,000本限定でリリースされました。
プラムやオレンジ、バラ、レモンピールなどの香りが特徴。
いちごジャムや白桃、カスタードクリームのような甘さを感じる味わいです。
粘性のある濃厚な口あたりでリッチなアイテム。
食後のデザートとしてもぴったりです。
稀少なアイテムですが、バーなどで出会えたらじっくり楽しみましょう。
スキャパの歴史
スコットランドの最北端にあるオークニー諸島「メインランド」にあるスキャパ蒸溜所。
「バランタイン17年」のキーモルトとして使われていることでも有名ですが、設立当初から最先端技術を積極的に取り入れた蒸溜所でした。
最先端の技術を取り入れた蒸溜所だった
スキャパ蒸溜所は、1885年にハイランドパークのスチルマンとスコットランドラナークシャー出身の化学者によって設立されました。
当時のオークニー諸島は農業が盛んで、大麦栽培も行われており、「製麦→仕込み→醗酵→蒸留→貯蔵」とすべての工程をスキャパ蒸溜所内で行えていたのです。
動力源として蒸気エンジンも取り入れており、当時の最先端秘術を存分に活用した蒸溜所でした。他の蒸留所はだいたい1950年代くらいから上記を取り入れた生産をしていることからも、いかに先進的な取り組みだったかがわかります。
創業からわずか2年目の1887年には、著名なウイスキー評論家「アルフレッド・バーナード」が蒸溜所を訪れました。その際に「小さいながらも英国内全ての蒸溜所の中で最も完璧な蒸溜所」とメモを残したことでも知られています。
いかに完璧な蒸留所であったかが伝わってくるエピソードですよね。
世界大戦中のスキャパ蒸留所
また、蒸溜所がある場所は「スキャパフロー」という湾に面しており、ここは戦時中の港として使用されていたという歴史があります。
第一次世界大戦中には、スキャパ蒸溜所はイギリス海軍の将校の兵舎として利用されていました。現在でも蒸溜所の建物内には、イギリス海軍が作った階段が遺されています。
また、第二次世界大戦中もスキャパフローは戦場となった歴史を持っています。まさに、戦争を見てきた蒸留所といえます。
一時は閉鎖に追い込まれる
スキャパ蒸溜所は、1954年にハイラム・ウォーカー&サンズに買収され、設備の改修も行われました。
1970年代にはローモンド・スチルが導入されたのですが、この設備は現在でも使用されています。
ローモンドスチルは、ウイスキーの還流率を調整しながら蒸留を行うことができるスチルのことです。太いネック部分の内側にトレーのようなものがついており、トレーを自由に動かすことができます。トレーを動かすことにより、還流率(蒸留の温度とスピード)を変えて、風味を調整します。
その後、何社かオーナーが交代し、経営が安定しなかったこともあり、1994年に操業停止に追い込まれてしまいました。
2004年に再開
1994年に操業停止に追い込まれてしまいましたが、バランタインのキーモルトでもあるため、1997年からは近くのハイランドパーク蒸留所のスタッフによって毎年わずかな期間だけ操業されていました。
そして、2004年にアライド社が約200万ポンドを投資して設備を改修し、本格的に操業を再開。
現在はベルノリカール社の傘下になり、サントリーが販売を担っています。
スキャパの製法の特徴
ウイスキー初心者にも飲みやすいラインナップがそろうスキャパ。
ここからは、スキャパ蒸溜所の製法の特徴を紹介していきましょう。
ノンピーテッド麦芽を使用
ノンピーテッド麦芽を使用しています。
その理由は、原酒の繊細な味わいを引き出すためだそうです。
また、仕込み水には蒸溜所の近くにあるリングロ・バーンの泉やその周辺にある湧き水を使用しています。
ローモンド型のポットスチルを採用
スキャパ蒸溜所の製法で最も大きな特徴はローモンド型のポットスチルを採用していること。
ローモンド型のポットスチルを使用することにより、はちみつやパイナップルのような、スキャパ独特の風味を出すことができるのです。
ローモンド型のポットスチルは初留釜として使用され、再留釜は玉ねぎ型のポットスチルを使用しています。
ファーストフィルのバーボン樽のみで熟成
一般的に、ウイスキーの熟成には何度も使用したバーボン樽を使用していますが、スキャパ蒸溜所ではファーストフィルのバーボン樽のみ使用していることが特徴です。
ファーストフィルのバーボン樽のみ使用することにより、バニラやパイナップルのような風味がより強く出るという効果があります。
海の近くの貯蔵庫
貯蔵庫は海の近くにあり、潮風が吹き込むため、磯の香りが充満しています。
このことにより、原酒に潮の香りが入ったドライな風味に仕上がるのです。
まとめ
スキャパについてまとめました!バランタインのキーモルトとしてほとんどが使われていることもあり、シングルモルトの数はそこまで多くありません。さらに1994年から2004年まで操業停止していたことからも、ちょうどよい原酒があまりなく、珍しいウイスキーの一つと言えるでしょう。
サントリーが取り扱っていることもあり、スキャパ スキレンはネットでも購入することのできるウイスキーです。甘いものと合わせても美味しいウイスキーですよ。(バニラアイスに垂らしたり・・・)
ぜひ1本は買ってみて、自分なりの美味しい飲み方を見つけてみてくださいね!