ヘーゼルバーンは、スコットランドのキャンベルタウンで造られているシングルモルトウイスキーです。
「ヘーゼルバーン」という名は、1925年に閉鎖された蒸溜所のものですが、現在はスプリングバンクやロングロウなども手掛けているスプリングバンク蒸溜所が造っているブランドとなっています。
この記事では、ヘーゼルバーンの詳しい情報を提供していきます!
ヘーゼルバーンを深く知りたい方やヘーゼルバーンを今まさに注文しようか買おうか迷っている方は、ぜひ参考にしてください。
ヘーゼルバーンはこんな時に買う・注文すべき
ヘーゼルバーンのことを知りたいと思い、この記事を読んでくださっている皆さん。
結局、ボトルを買うべきか今飲むべきかで迷っているという方も少なくはないでしょう。そんな方の決断をサポートするために、場面ごとに買うべきか注文すべきかpeatyなりの見解をお伝えします!ここからは、代表的なラインナップについて紹介していきます。
ヘーゼルバーンの歴史
ヘーゼルバーンは、スコットランドのキャンベルタウンにあるスプリングバンク蒸溜所で造られています。
古くからキャンベルタウンはウイスキー作りが盛んな地域として知られ、その歴史は400年を超えます。ニッカウヰスキーの竹鶴政孝氏が修行した地ということでご存知の方もいらっしゃるでしょう。
そんなキャンベルタウンは、かつては30以上の蒸溜所を有していたものの、時の流れとともに衰退し、今は3ヶ所を残すのみとなっています。(詳しくは以下のキャンベルタウンについての記事にて記載しています。読んでみてくださいね)
「ヘーゼルバーン」の名前の由来
現在ヘーゼルバーンを製造しているのは、スプリングバンク蒸溜所ですが、かつてキャンベルタウンには「ヘーゼルバーン」という名の蒸溜所がありました。
そして、先ほどご紹介したニッカウヰスキーの竹鶴氏が修行した蒸溜所こそ、この「ヘーゼルバーン蒸溜所」だったのです。
スプリングバンクでは、ヘーゼルバーン以外にもロングロウというブランドを取り扱っていますが、こちらもかつてキャンベルタウンにあった蒸溜所の名前です。
かつてさかんであったウイスキー作りの復活を願う思いを感じずにはいられません。
ヘーゼルバーン蒸溜所の歴史
1825年に創業と記録されたヘーゼルバーン蒸溜所ですが、その歴史はさらに古いと考えらえています。
コルヴィル家のグリーンリース・コルヴィル社によって創業され、どんどんと設備を拡張し、一時はキャンベルタウンで最大の蒸溜所にまでなりました。
その間、ローン・ハイランド・ウイスキーのグリーンリーズ兄弟、ダラルアンやラガヴーリンと所有者が変更になっています。
一時は年間で192,000ガロンのウイスキーを製造していたほどです。
192,000ガロンはリットルに換算すると約730,000リットルとなり、これは小学校の25mプール2杯分に当たります。
これを従業員22名で行っていたのですから、驚きです。
その後衰退の道をたどった結果、1921年には当時スプリングバンクも所有していたマッキー社に買収されます。
操業は続けられましたが、さらなる社会情勢の悪化に伴い、1926年閉鎖してしまいます。
竹鶴政孝氏がヘーゼルバーン蒸溜所で学んでいた時期は1920年頃で、モルトウイスキーの製造およびブレンディングの技術を学んだそうです。
日本のウイスキーの父といわれる竹鶴氏の基礎を培ったのですから、ヘーゼルバーンとジャパニーズウイスキーは切っても切れない関係といえるでしょう。
スプリングバンク蒸留所の歴史とヘーゼルバーンの誕生
ヘーゼルバーンと同じキャンベルタウンの蒸溜所としてウイスキー製造を行っていた一つが、スプリングバンク蒸溜所です。
ヘーゼルバーン蒸溜所との大きな違いは、設立後に買収したミッチェル家が今でも経営を続けているという点でしょう。
キャンベルタウンの他の蒸溜所同様に、戦争・不況の波に飲み込まれ幾度も閉鎖に追い込まれたスプリングバンク蒸留ですが、1988年から部分的に製造を再開します。
スプリングバンクやロングロウの製造・販売を経て、1997年に蒸留を開始したヘーゼルバーンは、2005年「ヘーゼルバーン8年」として初めて市場に姿を現します。
ヘーゼルバーンの製法の特徴
ヘーゼルバーンは、キャンベルタウン特有の潮気が控え目で、クセが少なくライトな味わいだと評されます。
これは、ヘーゼルバーンの製法に秘密があるのです。
ヘーゼルバーンを製造するスプリングバンク蒸溜所では、原料となる大麦のモルティングから始まるウイスキー作りの全工程を自社内のみで行っていることで知られています。
フロアモルティングで原料を作る蒸溜所は数少なく、その中でもスプリングバンク蒸溜所は生産するウイスキーのすべてで自家製麦のものを使用している唯一の蒸溜所なのです。
ノンピートの麦芽・ウイスキー用の人造湖の水を利用
ヘーゼルバーンに使用される麦芽は、ノンピートといい、ピートを焚いていないもののみです。
ピートを焚かないことによりスモーキーさという強い香りが抑えられるため、クセが少なく、ウイスキーが持つさまざまな香りを感じ取りやすくなります。
玄人であれば、スモーキーさがある中にもさまざまな香りを感じ取ることができますが、ウイスキー初心者だとそうはいかないもの。
ノンピート100%で造られるヘーゼルバーンは、そういった点でビギナー向きともいえます。
仕込みにはクロスヒル湖の水が使用されています。
この湖は人造湖で、キャンベルタウンのウイスキー産業発展のために造られたもの。
今でもその役目を果たし、キャンベルタウンの全蒸溜所で仕込み水として用いられているのです。
仕込みには、100年以上利用されている旧式の機器を利用
鋳鉄製で蓋のないオープンスタイルのマッシュタンを用い、これは100年以上に渡って使用されている旧式のものです。
古い製法を守るために、もろみのアルコール度数も4.5%程度の低さに設定しています。
そして、平均して110時間程度となる発酵時間によって、特有のフルーティーさを生み出しているのです。
こだわりの3回蒸溜
スプリングバンク蒸溜所ではストレートヘッド型のポットスチル3基(初留器1基・再留器2基)が用いられ、ヘーゼルバーンの製造ではこの3基ともを使用します。
この3回蒸留は、アイルランドのウイスキー作りによく見られる伝統的製法で、蒸留の回数が多いことによって雑味が消え、ライトな味わいになるといわれます。
ヘーゼルバーンの軽い味わいは、この3回蒸留に起因しています。
雑味がない分、ストレートやロックで飲めるため、よりヘーゼルバーンが持つ複雑な味を感じやすいのです。
こだわりの熟成~ボトリング
ヘーゼルバーンではスタンダードの10年ではバーボン樽を、毎年数量限定で発売されるシェリーウッドではオロロソシェリー樽を使用しています。
スモーキーさや雑味が少ない分、それぞれの樽の持つ香りや味わいを宿せるため、さまざまな香りや味わいの重なり合った独特の個性を持つとし、その数の少なさに反して大変人気があります。
キャンベルタウンのウイスキーながら、潮気だけでなくフルーティーさや甘み、革や木材の香りなどを複層的に感じられる一品となっているのです。
スプリングバンク蒸溜所では、ボトリングも自社内で行っており、それはへーゼンバーンでも同様です。
冷却濾過やカラメルによる着色も行わないのも特徴でしょう。
製造の全過程で伝統製法を守るという姿勢やプライド、そしてウイスキー作りへの愛情が感じられ、生産数が少ないながらも多くのファンを惹きつけている理由がよくわかりますね。
味わいとラインナップ
ヘーゼルバーンは、スコットランドのキャンベルタウンで造られているシングルモルトウイスキー。
クリーミーで軽やかな柄も繊細な味わいで、甘さとスパイシーさを兼ね備えています。
それでは各ラインナップごとに、細かく特徴を見ていきましょう。
- ヘーゼルバーン10年
- ヘーゼルバーン21年
- ヘーゼルバーン 15年 シェリーウッド
- ヘーゼルバーン 13年 シェリーウッド
- ヘーゼルバーン12年
- ヘーゼルバーン 8年
- ヘーゼルバーン 9年 バローロカスク
- ヘーゼルバーン CV
- ヘーゼルバーン 2004 14年 49.3% オロロソカスクマチュアード
ヘーゼルバーン10年
ヘーゼルバーン10年は、現在へーゼンバーンの主力といえるシングルモルトです。
香りの特徴は、焼いたパイナップルやレモンシャーベット、蜂蜜やドライオレンジのトロピカルな甘さ。
香りと同じく甘い味わいを持ち、青リンゴのような爽やかさとクリーミーさも特徴です。
フィニッシュでは、スパイシーさと微かな土っぽさも感じられます。
熟成にバーボン樽を使用することで、ヘーゼルバーンが持つ個性を最大限引き出した一品です。
ヘーゼルバーン21年
バーボン樽原酒80%・ポートワイン樽原酒10%・シェリー樽原酒10%を使用して造られたヘーゼルバーン21年は、ヘーゼルバーンのラインナップの中でも最高級とされる一品です。
生産数も少なく、日本国内にはたった276本のみが入ってきたのみ。
革製の本や麻の布、スコットランドの古い熟成庫のような土の香りから始まり、シロップやキャラメル、木苺のような甘い香りへと続きます。
口に含んでも甘さが広がり、シロップや綿菓子のような甘さの中から微かにミネラルや土の香りも感じられます。
フィニッシュには、ココアパウダーやカプチーノ、そしてミントの香りが余韻を残します。
ヘーゼルバーン 15年 シェリーウッド
ヘーゼルバーン・シェリー・ウッドは、オロロソシェリー樽のみを使用し熟成させた限定版で毎年発売されています。
23年に発売されたものは世界で9000本のみで、その数からも希少さがわかるでしょう。
チェリーメンソールやレッドコーラ、デーツシロップの香りから始まり、チョコレートを溶かしたような甘いキャンディやキャラメルの香りが生まれてきます。
味わいはバランスの取れたリッチさが特徴で、革製の本やクレームブリュレのような甘さも感じられます。
ラム酒漬けのレーズンやバニラのような余韻を長く楽しめる一品です。
ヘーゼルバーン 13年 シェリーウッド
上で紹介したヘーゼルバーン・シェリーウッド15年と同じく、オロロソシェリー樽のみを使用した限定版です。
ラムレーズンやベリーのような果実の香りとバタートーストのような重さの香りも。
味わいもストロベリーやブラウンシュガーのような甘さを持ちながら、終いにはブラックペッパーや潮の香りも加わります。
ヘーゼルバーン12年
こちらもオロロソシェリー樽を100%使用し熟成された限定のヘーゼルバーンで、日本では600本のみ、取り扱われました。
ヘーゼルバーンのライトな酒質にシェリー樽がうまくマッチして、リッチな味わいを生み出しています。
いずれの年のものでも特徴的なベリーの香りはもちろん、ソーテルヌワインの甘さや胡桃のナッティさも持ち合わせ、金柑やレモンのような果実の味わいへと続いていきます。
ペッパーやキャンベルタウン特有の潮の香りがフィニッシュを飾り、複層的な味わいを楽しめるでしょう。
ヘーゼルバーン 8年
熟成樽としてバーボン樽60%・シェリー樽40%を使用して造られ、2024年現在は終売しています。
バニラやシトラスなどの香りは、軽やかながら繊細さを持ち、キャンベルタウンモルトらしく塩気も含んでいます。
ホワイトチョコやシロップのような甘さと、ペッパーやジンジャーのスパイシーさの両方を併せ持つ味わいは、8年というやや短い熟成期間ながらも完成された一品として人気がありました。
ヘーゼルバーン 9年 バローロカスク
ヘーゼルバーン9年は、2017年に発売された9年熟成のシングルモルトウイスキーです。
9年の熟成期間の内、最初の6年はファーストフィルのバーボンバレルを使用。
残りの3年は、王とも讃えられるイタリアワイン「バローロ」のホグスヘッドを用いて追熟したものです。
マンダリンオレンジやベリーのフルーツの香りに加え、金平糖のような甘さ、さらに潮の香りもほのかに感じられます。
味わいもフルーティーさから始まり、シロップやチョコレートのような甘さ、終いにかけてスパイシーさや木材のような風味が加わります。
ヘーゼルバーン CV
ここまで紹介したものと違い、さまざまな樽を使って造られるのが、こちらのヘーゼルバーンCVです。
CVという言葉には、「履歴書」という意味と「chairman’s Vat(会長の大樽)」という意味がこめられています。
さまざまな樽を使っていることから、ヘーゼルバーンの個性や魅力を最大限に引き出しているとの呼び声高い一品です。
クリーミーなバニラやベリーの甘さにモルティさや、へーゼンバーンらしい潮気も感じされます。
フルーティーな甘さを感じた後にはチョコレートのような味わいや古い木材の名残を感じ、終いにかけてジンジャーや漢方っぽいスパイシーさも残ります。
ヘーゼルバーン 2004 14年 49.3% オロロソカスクマチュアード
ヘーゼルバーン14年は、オロロソシェリー樽100%で熟成されたものです。
レーズンなどのベリーの香りに、ダークチョコレートやアーモンドのナッティさも含みます。
味わいもラズベリーやブルーベリーのベリーっぽさに加えて、焼きたてのスポンジやミルクチョコレートのような甘み。
終いにかけては、ペッパーやローストコーヒーと塩キャラメルのような塩っぽさも感じられます。
まとめ
スプリングバンク蒸留所で作られているヘーゼルバーンについてまとめました!スプリングバンク蒸留所で作られている「スプリングバンク」も「ヘーゼルバーン」もともに人気の高い商品です。
近年では、常に品薄、価格高騰が続く状況です。正直、購入するのはかなり難しい銘柄のひとつといえるかと思います。
もし見かけたら是非飲んでみてください!