日本のご当地ウイスキー、「日の丸ウイスキー」のご紹介【茨城】

ウイスキーを知ろう!

こんにちは。Peaty編集部です。

日の丸ウイスキーという名前を聞いたことがありますか?新しいジャパニーズウイスキーのブランドです。ふくろうがトレードマークの「常陸野ネストビール」で有名な木内酒造にて、近年作られ始めたウイスキーなんです。

そんな日の丸ウイスキーについて歴史や味わい、製法をまとめました。ぜひお読みください!

編集部
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  • 日の丸ウイスキーは、「常陸野ネストビール」で有名な木内酒造で作られているジャパニーズウイスキー。ビール作りの過程で発生する廃棄になる大麦を利用できないか、というところから作り始められたウイスキーである。
  • 東日本大震災で被災し、使用できなくなった公民館をリノベーションして蒸溜所にし、製造にも日本酒の酵母を使用するなど、新しいことに挑戦。日本の新興ウイスキーとしてさまざまな取り組みを続けている。
  • イギリス「Whisky Magazine」が主催するウイスキーのコンペティション「World Whiskies Awards (ワールド・ウイスキー・アワード) 2024」において、3つの銘柄で賞を受賞。
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日の丸ウイスキーの歴史

茨城県初のジャパニーズウイスキー「日の丸ウイスキー」。この誕生には「もったいない」という資源を無駄にしない姿勢と、これまで築いてきた技術がありました。

ここでは、日の丸ウイスキーの歴史を紹介しましょう。

老舗の酒蔵からうまれた日の丸ウイスキー

日の丸ウイスキーを造っているのは茨城県の「木内酒造」。木内酒造は1823年(文政6年)、江戸末期に創業した老舗の酒蔵です。当時の那珂郡鴻巣村の庄屋だった木内儀兵衛が、年貢米を使って日本酒を造りはじめたのがはじまりでした。

清酒「菊盛」「木内梅酒」、クラフトビールの「常陸野ネストビール」などさまざまな酒を造っていて、日本国内のみならずアメリカやイギリスなど世界各地に地元・常陸野の土地で造られた酒を届けています。

その木内酒造がウイスキー造りをはじめたのには、クラフトビールの「常陸野ネストビール」が大きく関わっているそうです。

ビール事業がウイスキー造りのきっかけに

木内酒造ではビール事業も手掛けていて、フクロウのロゴマークでおなじみの「常陸野ネストビール」は世界中で大人気。生産量の7割以上を海外に出荷し、世界の35カ国以上に出荷しているビールです。日本のクラフトビール市場でも評価されているアイテムとなっているので、きっと皆さんも御存知でしょう。

常陸野ネストビールにはさまざまなフレーバーがあり、日本のビール麦「金子ゴールデン」と日本で栽培されていたホップ「ソラチエース」を使った「ニッポニア」など日本の原料にこだわっていることもポイント。

このように軌道に乗っているビール事業ですが、製造の過程で原料の大麦の中には、廃棄処分になってしまうものが出てきます。これが「もったいない」。スコッチウイスキーの知識があった副社長のアイデアで、廃棄する大麦をウイスキー造りに役立てることになったのです。

また、大麦を有効活用するためだけではなく、ウイスキー事業に参入したのにはもうひとつ理由があります。それは、若者のビール離れ。木内酒造では常陸野ネストビールが主力商品になっていましたが、ビール市場が縮小する中、世界でも人気のジャパニーズウイスキー市場に挑戦を決めたのです。

そして、ウイスキー造りがスタート。最初はビール醸造所の一画でのスタートでした。

額田蒸溜所の誕生

こうしてビール醸造所の一角から始まった日の丸ウイスキー。ウイスキーの製造を始めるために蒸溜設備を導入したのは、2003年のことでした。

木内酒造が手掛けるクラフトビール「常陸野ネストビール」はもともと、日本酒の醸造所がある場所で造られていましたが、アメリカなど世界でも評価されたことにより人気が拡大。2006年に、醸造所から約4kmの場所にある額田に最新鋭の設備を備えたビール醸造所「額田醸造所」を建設しました。ちなみに「額田醸造所」は今では、国内で最大級のクラフトビール工場になっているんですよ。

そして、ウイスキーの蒸溜設備もビール工場の新設と共に移設、ウイスキーの製造免許を取得し、2016年からウイスキーの製造を本格スタートさせました。

額田にビール醸造所が移設されてからウイスキーの製造がスタートするまでには10年近くかかっていますが、これは、ビール醸造所を拡大するために大型の投資が必要だったから。ウイスキー事業を温めたまま時は過ぎ、ついに2015年、包装用倉庫の2階を小さな蒸溜所として改装して準備が整ったというわけです。これが「額田蒸溜所」です。

額田蒸溜所では、ポットスチルにコラム式スチルを付設したハイブリッドスチルを採用。このことからもわかるように、木内酒造のウイスキー造りはスコットランドの製造方法を踏襲せず、アメリカのクラフトディスティラリーからヒントを得ています。

これには。木内酒造が求めるウイスキーの完成にはトラディショナルなものではなく、冒険、実験的要素が必要だという想いがあるのでしょう。

公民館がウイスキーの蒸留所に!?

2016年からスタートしたウイスキー造りですが、ジャパニーズウイスキーを追求するため、筑波山が望める茨城県石岡市須釜の旧小幡地区公民館を買い取り、蒸留所として整備しました。

公民館が蒸留所、なかなか珍しい組み合わせですよね。ここにも「もったいない」というキーワードが大きく関わってきます。

旧小幡地区公民館は、東日本大震災で被災して使用できなくなってしまったのです。そこで、この建物を有効活用しようと石岡市が企業誘致を図り、手を上げたのが木内酒造。

そして、この旧公民館をリノベーションして「八郷蒸溜所」が誕生しました。

日の丸ウイスキーの製法の特徴

とことん国産にこだわった日の丸ウイスキー。製法には老舗の酒蔵ならではのアイデアが活かされています。

日の丸ウイスキーならではの製法を紹介しましょう。

さまざまな発酵方法を試行錯誤

日の丸ウイスキーの製造過程では、重厚さとフルーティーさを兼ね備えたウイスキーができる木製発酵槽と、アルコール度数が高くすっきりした味わいに仕上がるステンレス製の発酵タンクを使用しています。

そして、通常ウイスキーの発酵過程では1種類の酵母しか使わないところ、日本酒用の酵母などを使い数百種類も開発しているというのが大きなポイントです。清酒酵母のみで造っているものもあり、ここにも約200年にわたる酒造りのノウハウがつまっているというわけですね。

蒸留設計は日本酒やビール造りの技師が担った

ウイスキー造りは初めてだった木内酒造ですが、自社の強みを活かすためにも、蒸留設計を海外など外部に依頼せず、日本酒やビール造りの技師自らが行いました。

ポットスチルや樽など、必要なものはすべて、世界中のメーカーから自ら選び抜き、自分たちで作り上げていったのです。

味わいとラインナップ

日本の原料を積極的に採り入れて、日本らしさにこだわっている日の丸ウイスキー。老舗の酒蔵が造るウイスキーなので、日本酒の醸造技術が随所に活かされています。その発酵技術により、バニラココナッツのような香りが特徴です。

それでは各ラインナップごとに細かくその特徴を見ていきます。

  • 日の丸ウイスキー The 1st Edition
  • 日の丸ウイスキー ブレンデッド ニューボーン 2022

日の丸ウイスキー The 1st Edition

日の丸ウイスキーが最初に造ったウイスキーです。コラム式スチルの額田蒸溜所、ポットスチルの八郷蒸溜所でそれぞれで蒸留した数種類の原酒をブレンドして熟成させています。

ハチミツのような優しく甘い香りとハーブのような風味が特徴。まだ若いウイスキーなので、その若さも楽しみたいポイントです。すっきりした味わいなのでハイボールにして飲むことをおすすめします。

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日の丸ウイスキー ブレンデッド ニューボーン 2022

ウイスキーやスピリッツを審査する、日本唯一の品評会「東京ウイスキー&スピリッツコンペティション2022」金賞「ジャパニーズニューメイク カテゴリーウィナー賞」をダブル受賞した逸品です。

モルト原酒と茨城県産の小麦を一部使用したグレーン原酒を熟成させています。香りにほんのりと日本酒感を感じるので、和の食卓にも合うでしょう。

日の丸ウイスキー KOME

「World Whiskies Awards (ワールド・ウイスキー・アワード) 2024」にて銀賞を受賞。

酒米を用いて醸造したもろみをポットスチルで蒸留して作り出したライスグレーンウイスキーに、モルト原酒をブレンドした一品。バーボン樽、シェリー樽を用いて3年以上の熟成を行なっています。米由来のフルーティーな香りとモルトウイスキーの融合という、酒造ならではの味わいを楽しめるでしょう。

日の丸ウイスキー The 1st Barrels

「World Whiskies Awards (ワールド・ウイスキー・アワード) 2024」にて、銀賞を受賞。

茨城県那珂市のふるさと納税品としての取り扱いとなっています。

額田蒸溜所で最初に蒸溜したモルト原酒と、八郷蒸溜所で最初に蒸留した国産小麦のグレーン原酒を、それぞれにシェリー樽で熟成させ、ブレンドした一品。個性豊かな2か所の蒸溜所から生まれた原酒をブレンドすることによって、新しいハーモニーが奏でられます。

日の丸ウイスキー Sherry Cask 5年

「World Whiskies Awards (ワールド・ウイスキー・アワード) 2024」にて、銅賞を受賞。

モルト原酒をシェリー樽に詰め、筑波山東麓の豊かな自然の中で5年以上じっくりと熟成させた一品。シェリー樽ならではの複雑な香味を楽しめます。

ネット上での販売は見当たらないですが、日の丸ウイスキーのオンラインショップでは取り扱いがあるようなので、気になる方はチェックしてみてください。

まとめ

日の丸ウイスキーはまだ生まれて間もないウイスキーです。流通量も少ないので、なかなか味わう機会の少ないウイスキーだと思います。茨城県に観光・出張に行ったらぜひぜひ立ち寄って試してみたいウイスキーです。以下のツイッターアカウントで最新情報を発信されていますので、最新情報はツイッターでチェックですね!

私達は様々なウイスキーについて記事にまとめています。ぜひ他の銘柄についても確認してみてください!

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