日本のウイスキー、「イチローズモルト」のご紹介

日本のウイスキー

イチローズモルトは、日本の比較的新しいウイスキーブランドの一つです。

蒸留所の完成は2007年。同じ2007年には「キング オブ ダイヤモンズ」(KING OF DIAMONDS)という銘柄が、ウイスキーマガジン(イギリス)のジャパニーズモルト特集で「ゴールドアワード」を獲得して華々しいデビューを飾りました。以降、ジャパニーズウイスキーの一角として世界で戦うウイスキーの銘柄となっています。

ウイスキーメーカーとしては新興ブランドではありますが、創業者のルーツをたどれば1600年代から酒造を続ける家柄なのです。

そんなイチローズモルトの歴史や製造方法、味わいをまとめました!

編集部
編集部

POINT

  • イチローズモルトは2004年に創業した「ベンチャーウイスキー社」で作られているウイスキー
  • 創業者の肥土伊知郎は、老舗の造り酒屋「東亜酒造」に生まれたものの、家業を継ぐ予定はなかった
  • 東亜酒造は経営難により売却。新たに作った「ベンチャーウイスキー社」で、イチローズモルトを造り始める
  • 「キング オブ ダイヤモンズ」をきっかけにスタートしたトランプ柄の「カードシリーズ」が、世界での人気を勝ちとり、一気に人気が高まった
  • イチローズモルトではミズナラ材を使用した発酵槽を採用しており、これが最大の特徴となっている
  • イスキーの味わいに影響する設備であるポットスチルは、スコットランドのメーカーから輸入され、高い品質を保っている
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イチローズモルトの歴史

イチローズモルトが世界で高く評価されるようになるまでには、創業者の肥土伊知郎(あくといちろう)の起死回生の物語があります。

ここでは、ウイスキーに情熱を注いできた肥土伊知郎のこれまでと共に、イチローズモルトの歴史を紹介しましょう。

実家の造り酒屋を立て直すために

肥土伊知郎は、埼玉県秩父市にある1625年創業の老舗造り酒屋「東亜酒造」の21代目として誕生しました。

学生時代は家業を継ぐ気持ちはなく、東京農業大学を卒業後サントリーに入社。

もともとはウイスキーを造る仕事がしたかったけれど、ウイスキーの技術者は大学院修了者しか採用しておらず、輸入酒のブランドマネージャーや営業職として活躍していました。

しかし、「本当はものづくりがしたい」という想いは募っていくばかり。

そんな中、東亜酒造が経営難から2000年に民事再生法を申請、廃業寸前になってしまいました。

そこで、家業を助けるべく肥土は実家に戻ったのです。

東亜酒造のウイスキー原酒を守り、そして独立へ

肥土は2001年に父親から家業を継いだのですが、業績は回復せず、日の出通商(現在の日の出ホールディングス)に東亜酒造を売却することになりました。

東亜酒造ではウイスキー事業も行っていましたが、日の出通商はウイスキー事業からの撤退を決め、東亜酒造の「羽生蒸溜所」にあったウイスキー原酒は引き取り手がない場合に処分されることになってしまったのです。

400樽もあったウイスキー原酒を処分から救うため肥土は奔走、苦労の末、福島県の笹の川酒造に預かってもらえることになりました。

そして肥土は東亜酒造を離れ、2004年9月に秩父市に「ベンチャーウイスキー社」を設立、これがイチローズモルトのはじまりです。

イチローズモルトの誕生

肥土は笹の川酒造に技術指導者として通い、ウイスキー造りに邁進していきました。

日本中のバーに通い、本場のスコットランドも訪れるなど市場調査とウイスキーの勉強を続け、2007年には秩父市に念願の醸造所を設立。

そして、誕生したのが「イチローズモルト」です。「イチローズモルト」の「イチロー」は創業者の肥土伊知郎からつけられています。

これまで数々の危機を乗り越えてきた集大成のようなウイスキーなのです。

蒸留所建設前にウイスキーを販売していた!

実はベンチャーウイスキー社は2005年に「イチローズモルト ヴィンテージシングルモルト1988」という銘柄を販売開始しました。2007年が蒸留所の設立、2008年から酒造を始めているので、歴史的には違和感を感じますよね?

勘の良い人はお気づきかもしれませんが、前述した笹の川酒造に預けていた400樽のウイスキー原酒を活かしたのがこの銘柄でした。熟成期間が長く、クセの強い味わいでしたが、肥土はそこに面白みを見出し、うまく活用したのです。

当時は無名のウイスキーメーカー。今のようにハイボールブームも来ておらず、ウイスキーが売りにくい時代。そんな時代でもきちんと味で評価を得て、400樽から600本の瓶に詰めたウイスキーを2年かけてすべて販売し、その後のベンチャーウイスキー社を軌道に乗せていきました。

カルト的人気の「カードシリーズ」

冒頭に述べた「キング オブ ダイヤモンズ」(KING OF DIAMONDS)という銘柄をきっかけとし、イチローズモルトはトランプの柄にちなんだウイスキーを販売しておりました。2005年の「キング オブ ダイヤモンズ」が最初で、2014年のジョーカーが最後で全54本のシリーズとなっております。

羽生蒸留所で作られて貴重なウイスキーを使っており、それぞれの銘柄が数百本ずつしか生産されていないため、非常に貴重なウイスキーとなっているようです。そのため、54本セットには香港のオークションで1億円の価格がついて落札されました。

カードシリーズ、見かけたらぜひ一口飲んでみてくださいね!

イチローズモルトの製法の特徴

無名だった埼玉県秩父市の醸造所が造るウイスキーが世界で高く評価されているのは、その製法に大きな特徴があることもひとつの理由です。

イチローズモルトならではの製法を紹介します。

ミズナラ材を使った発酵槽

多くの蒸留所ではステンレスの発酵槽を使っています。そんな中、ミズナラ材を使った発酵槽を使用していることが、イチローズモルト最大の特徴です。ミズナラは比較的高価な木材となるので、通常は後熟の樽のみで使われますが、そのミズナラを大胆に発酵槽で使っています。

「ミズナラ」は日本古来の樹木ですが、この樹木を発酵槽に使っているのは世界でベンチャーウイスキー社の秩父醸造所だけ。

ミズナラを使うことにより、まるでお香のような香りがするウイスキーに仕上がっています。

ポットスチルは本場スコットランドから

ウイスキーは醸造設備のわずかな違いで味が変わってしまいます。

そこで、ポットスチルスコットランドのメーカーから輸入しています。設備に多額の予算を投資していることが特徴です。

秩父産にこだわったウイスキー造り

イチローズモルトは地元の「秩父産」にこだわってウイスキーの醸造を行っています。

原料の大麦やピートも秩父産、秩父蒸留所で製麦から瓶詰まですべて行うなど「100パーセント秩父産」にこだわっているのです。

味わいとラインナップ

イチローズモルトは、寒暖差の激しい秩父の自然の中にある醸造所で造られているので短い熟成時間でもしっかりとフルーティーな風味になっていることが特徴です。

それでは各ラインナップごとに細かくその特徴を見ていきます。

  • イチローズ モルト&グレーンホワイトラベル
  • イチローズモルト ダブルディスティラリーズ
  • イチローズモルト ミズナラウッドリザーブ MWR リーフラベル
  • イチローズモルト 秩父 ザ・ピーテッド 2018
  • イチローズモルト ワインウッドリザーブ リーフラベル
  • イチローズモルト モルト&グレーン ワールドブレンディッド ウイスキー 505
  • イチローズモルト 秩父 オン・ザ・ウェイ 2015
  • イチローズモルト 15年 THE FINAL VINTAGE OF HANYU

イチローズ モルト&グレーンホワイトラベル

世界中で人気のため入手困難なイチローズモルトですが、イチローズ モルト&グレーンホワイトラベルは比較的入手しやすく、イチローズモルトの入門編とされています。ふるさと納税でも簡単に買えます。

柑橘系のみずみずしい香りの後にモルトのコクやオークの余韻が続き、後味はすっきりしていることが特徴です。

ストレートでもロックでもどんな飲み方でも楽しめますが、ハイボールにすると柑橘の香りがより引き立つでしょう。

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イチローズモルト ダブルディスティラリーズ

「リーフシリーズ」と呼ばれる中の一つです。

秩父醸造所と東亜酒造の羽生蒸溜所の原酒をブレンドしていて、2つの異なる樽から生まれた味が魅力です。

若い原酒を使っているのでフレッシュな味わいが特徴で、ハチミツのような甘さも感じられます。

いずれ終売になると予想されているので、その希少性からプレゼントにもおすすめです。

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イチローズモルト ミズナラウッドリザーブ リーフラベル

「リーフシリーズ」と呼ばれる中の一つですね。

ミズナラの樽で熟成させているので、白檀のような華やかな香りと、熟した果実のような風味が楽しめます。

まろやかな甘さと複雑な味わいが特徴で、ストレートやロックで飲むと、この銘柄ならではの濃厚さを楽しめるでしょう。

イチローズモルトを代表する逸品なので、プレゼントにもおすすめです。

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イチローズモルト ワインウッドリザーブ リーフラベル

「リーフシリーズ」と呼ばれる中のラスト一つですね。

モルト100%のウイスキーをフレンチオークでできた赤ワイン樽で熟成させています。

オレンジピールやビターチョコレート、シナモンのようなフルーティーな香りが広がり、複雑でエレガントな味わいが特徴です。

甘みを感じられるので普段はあまりウイスキーを飲まないという方も楽しめるでしょう。

イチローズモルト 秩父 ザ・ピーテッド

ピートを使って麦芽を乾燥させているのでスモーキーな香りがあり、個性的な味わいが特徴です。

完熟する前のバナナのような甘い香りと酸味を感じますが、この特徴は水割りにすることで引き立ちます。アルコール度数も55.5%と高めなので、しっかり腰のある印象です。

加水の割合によりさまざまな味わいになるので、バーでプロの技に任せて楽しむのもよいでしょう。

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イチローズモルト モルト&グレーン ワールドブレンディッド ウイスキー 505

モルトの比率を高めていることが特徴で、ブレンドしている原酒それぞれの味わいが楽しめます。

ほんのりと甘く華やかな香りで、高級感のあるボトルに入っているのでプレゼントにもよさそうです。

しかし、もともとは新型コロナウイルスで大変な状況にあるバーや飲食店を応援するために造られた銘柄。

お店で飲むことで、その想いや空気も含めてしみじみと堪能できそうです。

イチローズモルト 秩父 オン・ザ・ウェイ

秩父醸造所の2009年から2012年までの原酒を使用していて、レモンやミントのような爽やかな香りが特徴です。

イチローズモルトの理想の味を追求するために造られていて、イチローズモルトらしい味わいを楽しめます。

秩父醸造所のエッセンスが詰まっていて、ウイスキー好きにこそおすすめです。

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イチローズモルト 15年 THE FINAL VINTAGE OF HANYU

2000年に稼働をストップさせた羽生蒸溜所の原酒の中から、最低酒齢15年のものを使用して造られました。

長期間熟成されていることによりまろやかな味になっています。

複数の樽の原酒を使っているので複雑な風味になっていることも特徴で、自然な状態にこだわっているので着色等はしていません。

もう二度と造ることはできないため希少価値が非常に高く、300,000円ほどの価格がついています。

なかなか値は張ってしまいますが、このイチローズモルト 15年 THE FINAL VINTAGE OF HANYUこそ、イチローズモルトの原点ではないでしょうか。

まとめ

秩父の名酒「イチローズモルト」についてまとめました。人気のイチローズモルトですが、ホワイトラベルやリーフシリーズあたりは手に入りやすいです。ぜひ試して好きな銘柄を見つけてみてくださいね!

他にも日本の銘柄をまとめてますので、ぜひ読んでみてください!

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