ポールジョン(Paul John)は、インドで造られているシングルモルトウイスキー。インドの記事でもご紹介している通り、インドは世界一のウイスキー消費国です。そんなインドの西海岸よりで作られているシングルモルトウイスキーです。
この記事では、ポールジョンのことを深く知りたい人やポールジョンを今まさに頼もうか買おうか迷っている人の参考になるような情報を提供していきます!
ポールジョンはこんな時に買う・注文すべき
ポールジョンのことを知りたいと思い、この記事を読んで頂いてる皆さん。結局、ボトルを買うべきか、今飲むべきかで迷っていると言う方も多いかと思います。
そんな方の決断をサポートするために、場面ごとに買うべきか、注文すべきかpeatyなりの見解を示したいと思います!代表的なラインナップについて、記載させていただきます。
ポールジョンの歴史
世界一のウイスキー消費大国であるインドですが、シングルモルトウイスキーを造っている蒸留所は少なく、閉鎖的なインド社会ではかなり先進的な取組だと捉えられています。
では、シングルモルトウイスキーのポールジョンの誕生までにはどんな物語があったのでしょうか。
世界で通用するウイスキーを造るために
シングルモルトウイスキー「ポールジョン」を造っているのは、1992年に創業したインドで第4位の酒造メーカー「ジョン・ディスティラリーズ社」で、ウイスキーの他にもワインやブランデーなどの製造も行っています。
創業者は、現在の会長であるポールPジョン氏。
ジョン・ディスティラリーズ社では、モラセスが原料の「オリジナルチョイス」というウイスキーが主力商品で、年間1,080万ケースを販売する人気アイテムをリリースしています。
しかし、世界で通用するウイスキーを造りたいというポールPジョン氏の想いにより、シングルモルトウイスキー造りをスタートさせたのです。
社員をスコットランドに派遣
ジョン・ディスティラリーズ社のあるゴア州は1510年~1961年までポルトガルの統治下にあり、ポルトガルに対して現在でも友好的な感情があります。
そのため、ヨーロッパへ行くことへも抵抗感が低く、社員をスコットランドなどに派遣して蒸留所の勉強をさせることができました。
このことがポールジョンのウイスキー造りに更なる磨きをかけます。
蒸留所を建設
「ジョン・ディスティラリーズ社」では、モラセスを原料としたウイスキー「オリジナルチョイス」が主力商品でした。年間の製造の95%はこの商品となり、インド国内では年間1,000万ケース(1億2千万本)売られています。
しかし、モラセスを使ったウイスキーだけでなく、「世界で通用するウイスキー造りをしたい」という想いからシングルモルトウイスキーに挑戦することにしたのです。
そこで、2008年にゴア州のアラビア海に面したところに蒸留所を建設。(本社はバンガロール内にあるので、蒸溜所とは離れています)
2009年からモルトウイスキー造りをスタートさせ、インドより一足先に2012年10月よりイギリス、ロンドンで「ポール・ジョン・シングルカスク161」の販売をスタートさせました。
その後、世界中に販路を拡大していったのです。
ポールジョンの製法
世界で名だたる賞を続々受賞するなど、高い評価を受けているポールジョンですが、どのように造られているのでしょうか。
インド産の六条大麦を使用
スコットランドや日本などのモルトウイスキーでは二条大麦が使われることが一般的ですが、六条大麦を使用しているというのが特徴です。
六条大麦はでんぷんの含有量が少ないため、アルコール収量は減りますが、タンパク質が多いのでリッチでオイリーな風味に仕上がります。
また、ピートはスコットランドから輸入し、製麦所に依頼して焚いているのがこだわりのポイントだと言えるでしょう。
水は蒸溜所構内の井戸から引いており、ヒマラヤ山脈由来の水を利用しています。
設備はすべてインド製
マッシュタンや発酵槽、蒸溜器などすべての設備をインド製にこだわって揃いていることも特徴です。スコットランドものものを元にし、国内で設備を制作しています。
ポットスチルはグジャラート州にあるナランララ社の特注品です。六条大麦を使っているため、二次発酵後のモロミのアルコール度数が5%前後と低いことが特徴です。
このもろみを15,000リットルのウォッシュスチルと、9,500リットルのスピリットスチルで10時間かけて蒸留します。蒸留後はアルコール度数が上がり、だいたい63.5%まで達します。
熟成中に生じる天使の分け前が多い
その後バーボン樽とバージンアメリカンオーク樽で熟成が行われます。温暖な地域のため熟成の際に生じる「天使の分け前」は増加(8-10%程度が減ってしまうとのことです。)し、熟成のスピードも速い傾向。
だからこそ、複雑でリッチなポールジョンの風味が完成するのです。
味わいとラインナップ
ポールジョンはインドのゴア州で造られているシングルモルトウイスキー。
インドを代表するシングルモルトウイスキーとして知られていて、リーズナブルながらも完成度の高いアイテムが揃っていることで知られています。
- ポールジョン ニルヴァーナ
- ポールジョン ブリリアンス
- ポールジョン エディテッド
- ポールジョン ボールド
- ポールジョン クラシック
- ポールジョン ピーテッド
- ポールジョン クリスマスエディション 2022
- ポールジョンオロロソセレクトカスク
ポールジョン ニルヴァーナ
2019年にリリースされた「ポールジョン ニルヴァーナ」。
「ニルヴァーナ」とはサンスクリット語で「涅槃(ねはん)」を意味し、すべての煩悩が消え去った後の境地を表現しています。
香りは白ブドウやフルーツケーキ、シリアルやキャラメルなど。
キャラメルやトロピカルフルーツ、ハチミツのような味わいです。
購入しやすい価格帯ですが完成度が高く、「ポールジョン」のエントリーモデルとしてぴったりのアイテムだと言えるでしょう。
ポールジョン ブリリアンス
バーボン樽で5~6年熟成させた「ポールジョン ブリリアンス」。
ノンチルフィルタードでボトルに詰められています。
香りはラムレーズンやライム、バニラやスパイスなど。
チョコレートやオレンジ、キャラメルのような味わいです。
権威あるウイスキー評論家ジム・マーレー氏の著書「ウイスキー・バイブル」で94点を獲得するなど、高い評価を受けています。
ポールジョン エディテッド
バーボン樽で5~6年熟成後、ノンチルフィルタードでボトリングされた「ポールジョン エディテッド」。
ハチミツやココア、エスプレッソのような香りです。
味わいは、ドライフルーツやチョコレートケーキ、ココアパウダーやキャラメルなど。
ジム・マーレーの著書「ウイスキー・バイブル」で96.5点を獲得、2017年SWSCではダブルゴールド受賞するなど高い評価を受けているアイテムです。
ポールジョン ボールド
バーボン樽で5~6年熟成した後、ノンチルフィルタードでボトリングされた「ポールジョン ボールド」。
桃の缶詰や青りんご、オレンジピールやブラウンシュガーの香り。
味わいは、コーヒーやライム、マンゴーのようなニュアンスを感じます。
ジム・マーレー氏の著書「ウイスキー・バイブル」で95.5点を獲得、2017年のSWSCにてダブルゴールドを受賞するなど数々の賞を受賞した高い評価を受けているアイテムです。
ポールジョン クラシック
バーボン樽で7年間熟成後、ノンチルフィルタードでボトリングした「ポールジョン クラシック」。
りんごのコンポートやスポンジケーキ、ピーナッツバターのような香りです。
味わいは、ダークチョコレートやトロピカルフルーツ、シナモンやパプリカなど。
ジム・マーレー氏の著書「ウイスキー・バイブル」で95点を獲得、その他さまざまな賞を受賞しているアイテムです。
ポールジョン ピーテッド
バーボン樽で7年間熟成後、ノンチルフィルタードでボトリングした「ポールジョン ピーテッド」。
ココアやジンジャークッキー、アプリコットのような香りを感じます。
味わいは、アプリコットやパッションフルーツ、ハニートーストやタバコのようなニュアンス。
ジム・マーレー氏の「ウイスキー・バイブル」にて96点を獲得、その他数々の賞を受賞しています。
ポールジョン クリスマスエディション 2022
2017年から毎年リリースされているクリスマス限定のボトルである「ポールジョン クリスマスエディション 2022」。
焼りんごや桃、スパイスのような香りが特徴です。
味わいはダークチョコレートやプラムケーキ、バタースコッチやヘーゼルナッツなど。
日本には120本限定で入荷しているレアなアイテムです。
ちなみに最新版は2023となります。
ポールジョンオロロソセレクトカスク
ポールジョンの特別版としてリリースされた「ポールジョンオロロソセレクトカスク」。
オロロソ樽で熟成されていて、濃厚な香りと甘さを楽しめるアイテムです。
香りは桃やアプリコット、ブラッドオレンジ。
チョコレートやナッツ、スパイスのような味わいです。
まとめ
ポールジョンは、インドが誇るべき世界的なシングルモルトウイスキーの先駆者です。インドの気候や文化を取り入れた独自の製法が際立っています。この製法は、スコットランドのモデルに従いつつも、六条大麦、スコットランドから輸入したピート、ヒマラヤ山脈の水など、インドの要素を組み合わせています。
独自の醸造プロセスやインドならではの気候条件が、ポールジョンウイスキーに独特の風味と複雑さをもたらしました。その結果、世界中で高い評価を得ることになりました。温暖な気候がもたらす高速熟成と、独自の製法が生み出す複雑でリッチな味わいは、ウイスキー愛好者に新たな体験を提供しています。
なかなか見かける機会は少ないですが、見かけたらぜひ飲んでみてください。