リンクミルトンダフ(Miltonduff)は、スコットランドのスペイサイド地方で造られているシングルモルトウイスキー。バランタインのキーモルトとして使われていることもあり、シングルモルトとしてはそこまで見かけることは多くない銘柄です。
この記事では、ミルトンダフのことを深く知りたい人やミルトンダフを今まさに頼もうか買おうか迷っている人の参考になるような情報を提供していきます!
ミルトンダフはこんな時に買う・注文すべき
ミルトンダフのことを知りたいと思い、この記事を読んで頂いてる皆さん。結局、ボトルを買うべきか、今飲むべきかで迷っていると言う方も多いかと思います。
そんな方の決断をサポートするために、場面ごとに買うべきか、注文すべきかpeatyなりの見解を示したいと思います!代表的なラインナップについて、記載させていただきます。
ミルトンダフの歴史
スコットランドのスペイサイド地方で造られている「ミルトンダフ」。その歴史を振り返ってみましょう。
修道院で始まった蒸留所
ミルトンダフ蒸留所は、1824年にアンドリュー・ピアリーとロバート・ベインの2人によって政府公認の蒸留所として建てられました。
もともとは修道院があった場所で、製粉工場などに形を変え、蒸留所となったのです。
蒸留所の設立以前にも、修道士たちが同じ場所で密造酒を造っていましたが、合法的に造られるようになりました。
ちなみに蒸留所は、当初は工場を意味する「ミルトン」という名前で呼ばれていましたが、その後ダフ族がオーナーとなったことで「ミルトンダフ」と呼ばれています。
蒸留所はマレイ州の中心地であるエルギンから近い場所にあり、良質な大麦が作られる場所として有名です。
そして、ピート層をくぐり抜けた水が流れるブラックバーンという川が流れていて、ウイスキー造りに適している土地でした。
ハイラムウォーカ一社の傘下になる
1866年に、ウィリアム・スチュアート社に買収され、その後、1895年 トーマス・ユール社に買収されます。矢継ぎ早にオーナーが変わっていきましたが、この中で1つの転機が訪れます。
1936年にカナダのハイラムウォーカ一社に買収されました。アメリカ禁酒法時代に、ハイラムウォーカー社はアメリカへの密輸によって大きな利益をあげていました。増えていく需要に対応するために、スコットランドでの事業拡大を試みたのです。
ハイラムウォーカー社があげていた利益により、ミルトンダフだけではなく、ジョージ・バランタイン社も買収していました。ミルトンダフ買収後、その運営は直前に買収していたジョージ・バランタイン社が行うことになりました。
これを機にバランタインのキーモルトとして使われるようになります。
ローモンドスチルの導入
1964年には蒸留所に2基のローモンドスチルが導入されました。これもバランタイン社が企画したものでした。
「ローモンドスチル」とは円筒型のネックが特徴のポットスチルで、円筒の部分に入っている仕切り板を動かすことで、還流効果を微調整できるスチルです。
あえて韓流降下を下げることで、コクのあるヘビーなウイスキーに仕上がるという特徴があります。カフェスチルと通常のポットスチルの中間のようなことができるスチルですね。
ローモンドスチルが導入された理由は、別ラインのシングルモルトブランド「モストウィー」をスタートさせるためでした。
しかし、1981年にローモンドスチルが撤去されたため、今ではなかなか味わえないものとなっています。
現在のオーナーはペルノリカール社
1987年〜2005年までアライド社がミルトンダフ蒸留所を運営していましたが、2005年以降はアライド社がペルノリカール社と合併したことにより、ペルノリカール社がオーナーとなりました。
ペルノリカール社のウイスキー部門は、シーバスリーガル社が担当しています。そのため、移行はシーバスリーガル社により実質的に運営されています。
2022年には、シーバス社より大規模な投資計画が発表され、2025年にミルトンダフにも新たな設備が導入される予定です。
ミルトンダフの製法
フルーティーで飲みやすいけれど、しっかり個性も感じられるミルトンダフ。生産量は年間550万リットルで、ペルノ・リカールのグループ中でも、グレンリベットの次に大きな生産量を誇ります。
一体どのように造られているのでしょうか。
ノンピーテッドの麦芽を使用
ミルトンダフ蒸留所では、ノンピーテッドの麦芽を使用しています。
また、仕込み水には敷地内を流れている「ブラックバーン」と呼ばれる小川の水を使っていることが特徴です。
糖化に用いるマッシュタンは、1バッチあたり8トンのグリスト容量があるステンレス製のフルロイタータンを使用しています。
ポットスチルはストレートヘッド
発酵槽はステンレス製のものが18基設置されています。
発酵時間は48時間程度と標準程度の時間のため、乳酸発酵があまり生じません。
そのため、重めのウイスキーが完成します。
またポットスチルはすべてストレートヘッドで、初溜3基、再溜3基の計6基を設置。
初溜はエクスターナルヒーティング式、再溜はスチームケトル式を採用していることが特徴です。
「エクスターナルヒーティング式」とは、蒸溜器の外で加熱後、中に戻して蒸溜する方法のことを指します。
大規模な熟成庫
ミルトンダフ蒸留所には大規模な熟成庫があり、伝統的なダンネージ式のウェアハウスと、貯蔵容量の大きいラック式のウェアハウスの両方が混在しています。
熟成はアメリカンオーク樽やシェリー樽を中心に行われており、ニューポットは加水で63.5%の度数に調整した後、ウェアハウスで熟成させるという工程です。
ミルトンダフ蒸留所はビジターセンターがない
残念ながら、ミルトンダフ蒸留所は外部開放がされておらず、見学することのできない蒸留所です。
味わいとラインナップ
ミルトンダフはスコットランドのスペイサイド地方で造られているシングルモルトウイスキー。
バランタインのキーモルトとして有名ですが、シングルモルトウイスキーにも名作があることで知られています。
- ミルトンダフ15年 バランタインシングルモルトシリーズ
- ミルトンダフ蒸溜所ラベル 1994
- ミルトンダフ12年
- ミルトンダフ11年
- ミルトンダフ21年
ミルトンダフ15年 バランタインシングルモルトシリーズ
1980年代~1990年代に販売されていた「ミルトンダフ15年 バランタインシングルモルトシリーズ」。
オフィシャルボトルとして売られていて、バランタインのキーモルトを瓶詰めしたものです。
香りはフローラルやシトラス、シナモンやバニラクリームなど。
シトラスやバニラ、ウエハースやレモンのような味わいです。
飲みやすいですが、しっかり個性も感じられるアイテムだと言えるでしょう。
ミルトンダフ蒸溜所ラベル 1994
シングルモルトスコッチウイスキーのインディペンデントボトラーとして有名な「ゴードン&マクファイル社」が販売している「ミルトンダフ蒸溜所ラベル 1994」。
「蒸留所ラベル」というネーミングは、蒸留所公認のアイテムであるという証であり、ゴードン&マクファイル社だけが付けられる名前です。
ゴードン&マクファイル社が用意した樽に詰めてミルトンダフ蒸留所で熟成させた後、ゴードン&マクファイル社でボトリングされています。
香りはフローラルやバニラ、パイナップルなど。
赤リンゴや洋梨、オレンジやミルクチョコレートのような味わいです。
ミルトンダフ12年
1980~1990年代にかけて流通していたオフィシャルボトルの「ミルトンダフ12年」。
フローラルやシトラス、焼きたてのパンやミルクキャラメルのような香りが特徴です。
味わいはシトラスやアップル、ミルクキャラメルにピートのようなニュアンス。
グリーントール瓶にシールを貼ったものと、シルクスクリーンのものと2種類があります。
ミルトンダフ11年
バーボンバレルで熟成させた「ミルトンダフ11年」。
香りはカスタードクリームやイチジク、ラムレーズンやナッツなど。
メープルシロップやローストアーモンド、カカオやチェリーのような味わいです。
ミルトンダフ21年
スコットランドのインディペンデント・ボトラーである「キングスバリー社」が手掛ける「ミルトンダフ21年」。そのため、こちらはオフィシャルボトルではないです。
無加水でボトリングされていて、ミルトンダフらしい個性を楽しめるアイテムです。
香りはリンゴや洋梨、ハチミツやトフィ―など。
バタースコッチやダークチョコレート、甘いスパイスのような味わいです。
まとめ
スコッチウイスキーのミルトンダフについてまとめました!シングルモルトでの流通はそこまで多くないので、見かけたらぜひ飲んでみてください!