レダイグ(Ledaig)は、スコットランドのトバモリー蒸留所で作られているシングルモルトウイスキー。スコットランドのマル島にある「トバモリー蒸留所」で作られています。
島の中で一番人口が多い町が「トバモリー」で、その地にこの蒸留所があるため、トバモリー蒸留所と呼ばれています。実は同じくシングルモルトの「トバモリー」という銘柄も作っている蒸留所です。
レダイグはこんな時に買う・注文すべき
レダイグのことを知りたいと思い、この記事を読んで頂いてる皆さん。結局、ボトルを買うべきか、今飲むべきかで迷っていると言う方も多いかと思います。
そんな方の決断をサポートするために、場面ごとに買うべきか、注文すべきかpeatyなりの見解を示したいと思います!代表的なラインナップについて、記載させていただきます。
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レダイグの歴史
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スコットランドのマル島で造られている「レダイグ」。
昨今、高い評価を受けているブランドですが、今に至るまではどのような歴史があったのでしょうか。
もともとはビールの醸造所だった
レダイグは、スコットランドのマル島にあるトバモリー蒸留所で造られています。トバモリー蒸留所では、その名を冠した「トバモリー」というウイスキーも作っています。トバモリーは一般的にノンピートのウイスキーで、レダイグはヘビリーピートのウイスキーを作っています。
このトバモリー蒸留所は、1798年に海運業を営んでいたジョン・シンクレア氏が設立しました。
当時のイギリスはフランスと戦争中で、穀物を使用するウイスキーの蒸留所の新たな建設は制限されているという状況でした。
ジョン・シンクレア氏は、1797年の4月に「ウイスキー醸造」を申請しますが、残念ながら申請は通りませんでした。ただ、ビールの醸造所としては認可が下りるという不思議な事態となったのです。
そのため、ビール工場として稼働しつつ、ウイスキーの蒸留も違法に行っていました。
ちなみに、現在とは異なり、この当時のビール工場の名前は「トバモリー蒸留所」ではなく「レダイグ蒸留所」。
これは、醸造所のある土地の名前に由来しており、「レダイグ」はゲール語で、「安全な避難所」を意味しています。静かな港湾に面した立地だったため、このように呼ばれていました。
閉鎖している期間が長かった
その後、1823年に国からウイスキーの蒸留所として正式に認可されるまで、違法状態での運営を続けていました。
ウイスキーの蒸留所としてはスコットランドでも古い蒸留所と言えますが実はその前半の年月は違法状態にあり、正式に稼働していた期間の短い蒸留所だったのです。
ようやく正式な認可が出ますが、1837年には生産を停止したと言われています。1844年、1849年、1851年と、蒸留所自体が売りに出されます。(おそらく売れなかったため、何度も改めて売りに出されていたのでしょう)
1876年にようやく買い手がつき、ニール・マクナブ・キャンベル氏が蒸留所を買収します。彼は蒸留所の設備に対して投資を行い、1879年から再び製造を開始します。しかし彼らの経営も長くは続きませんでした。その後も長く経営が続くことはなく、1883年、1888年、1916年と、繰り返しオーナーが変わります。
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アメリカの禁酒法などの影響もあり、1928年以降も、40年以上も稼働がストップしています。
シングルモルトウイスキーの製造を開始
レダイグ蒸留所として稼働していましたが、1970年代から「トバモリー蒸留所」と呼ばれるようになりました。
当時のトバモリー蒸留所はブレンデッドウイスキー用に原酒を造っていました。閉鎖や再開を繰り返していた蒸留所ですが、1993年にバーンスチュワート社が買収。
これを機に、シングルモルトウイスキーが売り出されるようになったのです。
設備投資によって変化
過去のレダイグは、風味にばらつきがあったりブランドの方向性が固まっていなかったりしたこともあり、低迷していました。
しかし、バーンスチュアート社が、同じくトバモリー蒸留所で造っているノンピーテッドの「トバモリー」とのすみわけを行いブランドを確立しました。同時に積極的に設備投資を行ったことから洗練されたアイテムが続々と誕生。
バーンスチュアート社の投資により、味が安定し、今では数々の賞を受賞するなど、高い評価を受けています。
2012年にも製造を停止
直近では2012年にも一時的に製造が止まっていました。乾燥した日が続き、降雨量が不足したため、水源が枯渇したことが理由でした。過去の停止とは異なり、ウイスキーの品質と一貫性を保つための一時的な製造停止となりました。
レダイグの製法
アイランズモルトらしさを感じられるレダイグ。
一体どのように造られているのでしょうか。
ヘビリーピートタイプの麦芽を使用
麦芽は、フェノール値35ppmのピーテッドタイプを使用しています。
大麦は、アイラのポートエレンのものです。
トバモリー蒸留所で造られているもうひとつのブランド「トバモリー」はノンピートタイプなので、ここでしっかりとブランディングが行われていると言えるでしょう。
トバモリー蒸留所では、レダイグとトバモリーを半分ずつ、ほぼ均等に造っています
尚、仕込み水は、ミニッシュ湖や近くの湖の水を使用しています。
オレゴンパイン製の糖化槽
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オレゴンパイン製の糖化槽が4基あり、それぞれ4.5トンの容量があります。
発酵は56時間から100時間以上という比較的長い時間をかけています。これにより、果実味のある風味が生まれるのです。
蒸溜へのこだわり
ポットスチルは初溜2基、再溜2基の計4基。
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通常、初溜の方に大量のスピリッツを入れて再溜に向かうと少量になる場合が多いですが、レダイグの場合は再溜の容量の方が大きいことが特徴です。
これは、時間をかけてゆっくり蒸留を行うため再溜でも多くの液体が残っているからだと考えられるでしょう。
蒸留所に熟成庫がない
トバモリー蒸留所は、過去のオーナーが熟成庫を売却してしまったことにより、熟成庫がありません。
そのため、現在のオーナーであるバーンスチュワート社が所有しているアイラ島のブナハーブン蒸留所の熟成庫に移して、熟成を行っています。
ライン切り替えをしながら作っている
同じ蒸留所でノンピートのトバモリーと、ピートのあるレダイグを作っています。同じ蒸留所、同じラインで作っているので、それぞれの味が混ざらないようにする必要があります。
そのため、作るものを切り替える際にはライン切り替えをする必要があるのがこの蒸留所です。とくに切り替えの際に、味や香りが混ざらないよう、きちんと大がかりな洗浄を行っています。なんと2週間もの期間を清掃に当てているのは驚きです。
味わいとラインナップ
レダイグはスコットランドのマル島で造られているシングルモルトウイスキー。
「トバモリー」というシングルモルトを造っているトバモリー蒸留所が手掛けるもうひとつのブランドですが、トバモリーとは違い、アイランズモルトらしい塩気や力強さを感じるアイテムが揃っています。
- レダイグ 10年
- レダイグ 18年
- レダイグ 9年 ボルドーワインカスク
- レダイグ リオハカスクフィニッシュ
- レダイグ 19年 オロロソシェリーカスクフィニッシュ
- レダイグ 20年 モスカテルフィニッシュ
- レダイグ 1974
- レダイグ 20年(旧ボトル)
- レダイグ11年
- レダイグ16年
レダイグ 10年
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レダイグのスタンダードボトルである「レダイグ 10年」。
数々の賞を受賞していて、世界中で高い評価を受けています。
香りは海藻やレモンピール、ミントチョコレートやピートなど。
胡椒やドライフルーツ、バニラや潮のような味わいです。
スモーキーな香りをしっかり感じられることが特徴。
初めてレダイグのアイテムを飲む方におすすめです。
レダイグ 18年
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バーボン樽で熟成後、シェリー樽で熟成を行った「レダイグ 18年」。
香りは海藻やブラックペッパー、ベリーやメープルシロップなど。
オレンジやコーヒー、塩キャラメルやタバコのような味わいです。
ウイスキー・オブ・ザ・イヤーも受賞しています。
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レダイグ 9年 ボルドーワインカスク
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ボルドーの赤ワイン樽で熟成させた「レダイグ 9年 ボルドーワインカスク」。
香りは梅やビスケット、スモークチキンなど。
ブラックベリーやスコーン、オレンジやイチゴジャムのような味わいです。
限定品のため、バーなどで出会えたらぜひ試してみてください。
レダイグ リオハカスクフィニッシュ
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バーボンカスクで熟成後、リオハの赤ワイン樽でカスクフィニッシュした「レダイグ リオハカスクフィニッシュ」。
赤ブドウやシナモン、ローズや胡椒のような香りが特徴です。
味わいはラズベリーやダークチョコレート、チェリーなど。
レダイグらしい個性を楽しみつつ、赤ワインのニュアンスもしっかり感じられる風味です。
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レダイグ 19年 オロロソシェリーカスクフィニッシュ
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6年間バーボン樽で熟成後、オロロソシェリー樽で13年間熟成させた「レダイグ 19年 オロロソシェリーカスクフィニッシュ」。
1998年に蒸溜した原酒を使っていて、2,400本限定でリリースされた限定アイテムです。
香りはドライフルーツやレモン、ベーコンや胡椒など。
バニラやフルーツケーキ、シナモンのような味わいです。
レダイグ 20年 モスカテルフィニッシュ
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バーボン樽で熟成させた後、スペインの酒精強化ワイン「モスカテルワイン樽」で後熟させた「レダイグ 20年 モスカテルフィニッシュ」。
オレンジやレモンピール、スモークチキンのようなスモーキーな香りが特徴。
味わいは、モスカテルワインならではのフルーティーな甘さやアプリコット、スモークチキンやブラックペッパーのニュアンスを感じます。
レダイグ 1974
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1990年台前半に流通していた「レダイグ 1974」。
1970年代に蒸留されたものだと言われています。
香りはシトラスや干し草、クッキーやいぶりがっこなど。いぶりがっこを知らない海外の方が造り、結果的にいぶりがっこっぽくなるの面白いですよね。
ライチや杏仁豆腐、ポン菓子やユーカリのような味わいです。
レアなアイテムなので、バーなどで見かけたらぜひ試してみましょう。
レダイグ 20年
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1970年代に蒸留され、1990年代にボトリングされた「レダイグ 20年(旧ボトル)」。
バーンスチュワート社が、トバモリー蒸溜所をリニューアルする以前に造られた原酒を使用しています。
香りは焼きたてのパンやレモンピール、ラムレーズンやキャラメルなど。
レモンピールやタバコ、抹茶、バーベキューのようなスモーキーなニュアンスも感じる味わいです。
1970年代のレダイグは、設備の劣化等の理由から完成度の低いアイテムが多い傾向があります。
そのため、現行のオフィシャルアイテムの方が良品が揃っていますが、過去のものも飲み比べてみるとさまざまな発見があるでしょう。
レダイグ11年
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シェリー樽で熟成させた「レダイグ11年」。
香りはしょうゆやピート、麦芽やカンロ飴など。
シェリーや魚介のだしのようなニュアンスを感じる味わいです。
こちらもレアアイテムなので、意識的に探してみると良いと思います。
レダイグ16年
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シェリー樽で熟成させた「レダイグ16年」。
タバコやオレンジ、磯やスモークの香り。
味わいは、シェリーやスモークなどの中に赤ワインのようなニュアンスも感じます。
ヘビーピートタイプでしっかりスモーキーですが、フルーティーな風味も感じられるでしょう。
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まとめ
レダイグについてまとめました。あまり見かけることは多くないウイスキーなので、見かけたら試してみてくださいね。