スコッチウイスキー、グレンスコシアのご紹介【キャンベルタウンのウイスキー】

シングルモルトを知ろう!

グレンスコシア(Glen Scotia)は、スコッチウイスキーの一種です。スコットランドの有名なウイスキー産地のひとつであるキャンベルタウンで作られています。

この記事では、グレンスコシアを詳しく紹介していきます。グレンスコシアのことを深く知りたい人、グレンスコシアを今まさに頼もうか買おうか迷っている人の参考になるような情報を提供していきます!

編集部
編集部

POINT

  • グレンスコシアはキャンベルタウンで製造している3つの蒸留所の中の一つで作られているウイスキー
  • 1930年に一度創業を停止しましたが、買収によって1933年から創業を再開しています
  • 再開以降もオーナーがコロコロと変わりましたが、2014年に転機が訪れ、近年人気が高まっています
  • 2014年以降は特に甘さと香り、潮加減のバランスがちょうどよいウイスキーになってきており、今大注目のウイスキーのひとつです
  • 2023年には新しいシリーズである「グレンスコシア アイコンズ・オブ・キャンベルタウン」が発売開始されました
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グレンスコシアはこんな時に買う・注文すべき

グレンスコシアーのことを知りたいと思い、この記事を読んで頂いてる皆さん。結局、ボトルを買うべきか、今飲むべきかで迷っていると言う方も多いかと思います。

そんな方の決断をサポートするために、場面ごとに買うべきか、注文すべきかpeatyなりの見解を示したいと思います!代表的なラインナップについて、記載させていただきます

グレンスコシアの歴史

スコットランドのキャンベルタウンにあるグレンスコシア蒸留所。

キャンベルタウンはかつて「ウイスキーの首都」と呼ばれるほどウイスキー産業が盛んで、一時は約30カ所もの蒸留所がありました。

ニッカウヰスキー竹鶴政孝氏がウイスキー造りを学びに訪れたことでも知られていて、ニッカウヰスキーの蒸留所はキャンベルタウンのスプリングバンク蒸溜所を参考にして造られたとも言われています。

そんなキャンベルタウンですが、ウイスキー産業は徐々に不振に。

現在稼働しているのはグレンスコシアスプリングバンクグレンガイルの3つの蒸留所しかありません。

グレンスコシア蒸留所の歴史は、この栄枯盛衰の中にあったのです。

キャンベルタウン最盛期に創業したものの…

グレンスコシア蒸留所が設立されたのは1832年スチュアート・ガルブレイス社が創業者です。

当時のキャンベルタウンはウイスキー産業の最盛期で、すでに24カ所の蒸留所が稼働していました。

キャンベルタウン自体は炭鉱業が栄えており、安価な燃料がありました。その燃料を使い、航路でグラスゴーなどのイギリスの都市に向けて輸送していました。キャンベルタウンでは、炭鉱業によってウイスキー産業が支えられていたのです。

しかし、1923年にドラムレンブル炭鉱が掘り尽くされてしまい、炭鉱が閉鎖になってしまいます。キャンベルタウンには大打撃でした。

さらに、世界恐慌やアメリカの禁酒法などに追い打ちをかけられ、キャンベルタウンの蒸留所は次々と閉鎖に追い込まれました。

グレンスコシア蒸留所はなんとか踏みとどまっていましたが、1930年についに閉鎖してしまいます。

この時、オーナーのダンカン・マッカラム氏が借金を理由に、キャンベルタウンの入り江「キャンベルタウン・ロッホ」に身を投げたのは有名な話です。

今でもスコットランド民謡として語り継がれています。

次々とオーナーが交代

1933年ブロッホ・ブラザースがグレンスコシア蒸留所を買収し、操業が再開されました。

そして、ハイラム・ウォーカー社、アマルガメイテッド・ディスティラーズ・プロダクト(ADP)社とオーナーが次々に交代。

アマルガメイテッド・ディスティラーズ・プロダクト社は蒸留所の大規模な改修も行いましたが、蒸留所自体が閉鎖という事態に陥りました。

1989年にADP社の親会社となったギブソン・インターナショナル社が蒸留所を再開したものの、グレン・カトライン・ボンデッド・ウェアハウス社が1994年に蒸留所を買収。

このように、かなり短いスパンでオーナーが変わっていったのです。

2014年に転機が訪れた

次々とオーナーが変わったグレンスコシア蒸留所ですが、2014年にはロッホローモンド社がオーナーになりました。

これが、グレンスコシア蒸留所の転機となったのです。

じつは、ロッホローモンド社のオーナーは中国の投資会社「ヒルハウス」。(テンセントなどの有名な中国IT企業への投資をしている会社です)

豊富な資金をもとにグレンスコシア蒸留所に投資し、蒸留所をリニューアルしました。

新たにビジターセンターも造り、今では観光地としても人気になっています。

グレンスコシアの製法の特徴

バニラのような甘い香りにフルーティーさ、そこに潮のニュアンスもあるグレンスコシア。

ロッホローモンド社が設備投資したことにより、よりバランスの良い味わいになっています。

ここからは、グレンスコシアの製法の特徴を紹介していきましょう。

スコットランド産の麦芽を使用

グレンスコシア蒸留所で使われている麦芽は、すべてスコットランド東部のもの。

仕込み水は、クロスヒル湖の水と、蒸留所の地下80mからくみ上げた地下水を使っています。

時間をかけて糖化・発酵

ステンレスの糖化槽を使用し、約8時間糖化。

コールテン鋼でできた発酵槽6基で約70時間発酵させています。

コールテン鋼はサビや腐食に強い材質ですが、今はステンレスを使うことが一般的になっているので、コールテン鋼を使用しているのは非常に珍しいです。

ストレートヘッド型のポットスチル

ポットスチルは初溜用のウォッシュスチル1基、再溜用のスピリットスチル1基の計2基。

いずれもストレートヘッド型です。

ウォッシュスチルでは約9時間、原酒がアルコール度数63%になるまで蒸溜を行っています。

ボトリングはノンチルフィルタードを採用

熟成はバーボン樽で行うことがほとんどですが、シェリー樽ラム樽も使用しています。

そして、グレンスコシア の最大の特徴がボトリング。

2014年よりボトリングの工程で、冷却ろ過をしない「ノンチルフィルター」を採用しています。

常温のままなので、ウイスキーの味をそのまま楽しめる仕上がりになっていることが特徴です。

味わいとラインナップ

スコットランドキャンベルタウンで造られているシングルモルトウイスキー

かつてウイスキー産業が盛んだったキャンベルタウンで、今や3カ所しか残っていない蒸留所のうちのひとつがグレンスコシアです。

潮の香りとフルーティーさ、甘さのバランスが良く、今後ウイスキー業界をけん引していくのでは?との期待をさせてくれます。

それでは各ラインナップごとに細かくその特徴を紹介していきましょう。

  • グレンスコシア キャンベルタウンハーバー
  • グレンスコシア ダブルカスク
  • グレンスコシア ビクトリアーナ
  • グレンスコシア 10年
  • グレンスコシア 15年
  • グレンスコシア 16年
  • グレンスコシア 18年
  • グレンスコシア 25年
  • グレンスコシア 45年
  • グレンスコシア 1832 キャンベルタウン

グレンスコシア キャンベルタウンハーバー

ファーストフィルのバーボン樽のみで熟成し、ノンエイジでボトリングしたグレンスコシア キャンベルタウンハーバー

グレンスコシアの入門編といえるアイテムです。

潮気やバニラ、シナモンのような甘さにクローブのスパイシーさも感じる香り。

カスタードや青りんご、ピートの余韻もある味わいです。

甘さと塩気のバランスが良く、完成度の高いアイテム。

比較的購入しやすい価格なのもうれしいポイントです。

ハイボールで飲むのがおすすめ。

グレンスコシア ダブルカスク

ファーストフィルバーボンバレルで熟成した後、ペドロシメネスシェリーカスクで12ヶ月間追熟したグレンスコシア ダブルカスク

プリンやトフィーの甘い香りの後に、青りんごや桃、ミントのニュアンスも。

味わいはカスタードクリームやブラウンシュガー、加水すると塩キャラメルのような風味になります。

IWSC 2019」で金賞を受賞していて、世界的にも評価されているアイテムです。

グレンスコシア ビクトリアーナ

バーボン樽で熟成させた原酒を厳選されたオーク樽でフィニッシュ、カスクストレングスでボトリングしたグレンスコシア ビクトリアーナ

キャラメルやダークチョコレート、削った木材のような香り。

味わいはハチミツやマーマレードジャム、トフィなど。

加水していないカスクストレングスなので、グレンスコシアならではの風味をしっかり感じられます。

度数も51.5%と高めで濃厚。

水割りで飲むと、より香りが広がりやすいです。

グレンスコシア 10年

ノンピートモルトの原酒をファーストフィルのバーボン樽で10年間熟成させたグレンスコシア 10年

2014年に世界で6,000本限定でリリースされました。

潮やバニラ、柑橘、ピートスモークの香り。

ココナッツやオレンジ、ホワイトペッパー、ほんのり潮の味わいを感じます。

ストレートで飲むのがおすすめです。

グレンスコシア 15年

アメリカンオーク樽で熟成させた後、シェリー樽でフィニッシュさせたグレンスコシア 15年2014年にリリースされました。

香りはオレンジピールやダークベリーの中に潮のニュアンスも。

キャラメルやメロン、メイプルシロップのような味わいで、クリーミーさも感じます。

ストレートで飲むのがおすすめです。

グレンスコシア 16年

バーボン樽で熟成させたグレンスコシア 16年

免税店向けにリリースされています。

バニラやキャラメル、トースト、桃やオークの香り。

ラムレーズンやヘーゼルナッツ、洋梨のような甘い味わいですが、クローブなどのスパイスやレモンような酸味も感じます。

1,000ml入りのボトルなので、少しお得感があるのもポイント。

グレンスコシア 18年

バーボン樽で熟成させた後、オロロソシェリー樽で1年間追熟したグレンスコシア 18年

グレンスコシアのフラッグシップ的なアイテムです。

パイナップルやバニラ、洋梨の奥にホワイトペッパーや干し草の香り。

キャラメルやバナナ、ドライフルーツの甘さに加え、スモーキーさを感じる味わいです。

フルーティーでスパイシーな、グレンスコシアらしさを堪能できる1本。

グレンスコシア 25年

グレンスコシア 25年は、最高級のアメリカンオークバーボン樽で約24年熟成した後、ファーストフィルバーボン樽で12カ月追熟させています。

グレンスコシアのオフィシャルの中では最も長い熟成期間で造られたアイテム。

バニラやオレンジ、りんごのような甘くてフルーティーな香りです。

味わいは、アプリコットジャムやバニラシロップ、徐々にミントやオークの余韻も。

ストレートで飲むと、グレンスコシア 25年らしさを引き出してくれるでしょう。

グレンスコシア 45年

グレンスコシア 45年は多くの工程を経て完成した稀少なアイテム。

その工程は下記のとおり。

1973年12月に蒸溜された原酒を、リフィルバーボン樽に詰め、約30年以上熟成

2011年ファーストフィルバーボン樽に詰め替えてさらに熟成

2019年ノンチルフィルタリングでボトリング

世界でなんと150本しか販売されていません。

香りはりんごやマスカット、洋梨やピートの中にハーブのニュアンスも感じます。

すりおろしたりんごやパイナップル、クローブのような味わい。

サラッとした口当たりですがオイリーなテクスチャーです。

かなり高額なので、バーなどでもし出会えたらじっくり楽しみましょう。

グレンスコシア 1832 キャンベルタウン

ピーテッド麦芽を使用し、アメリカンオークで熟成させた後、ペドロヒメネスシェリー樽でフィニッシュしたグレンスコシア 1832 キャンベルタウン

免税店向けにリリースされたアイテムですが、新型コロナウイルス感染症の影響で免税店での販売が落ち込んだことにより、特別に日本向けにボトリングして販売されています。

キャラメルやハチミツ、レーズンやピートの香りが特徴。

糖蜜やドライフルーツのような甘さの中にシナモンのスパイシーさやビターチョコレートの苦みも加わった味わいです。

スモーキーでピート香も強いので、玄人向けと言えるでしょう。

グレンスコシア アイコンズ・オブ・キャンベルタウン シリーズ

2023年12月、グレンスコシア アイコンズ・オブ・キャンベルタウン シリーズの第1弾として、「No.1 マーメイド」が発売を開始しました。

グレンスコシア蒸溜所があるキャンベルタウンのシンボルとして有名なのが、キリスト教とケルト文化が融合してできたケルト十字である「マーケットクロス」。このマーケットクロスが建てられているキルキヴァンの教会には、壁面にさまざまなレリーフが施されています。

そのレリーフのひとつであり、ウイスキー産業がさかんであった1800年代によく目撃されたマーメイドから着想を得たボトルです。

「パロ・コルダド」というシェリー樽でフィニッシュさせた12年熟成のシングルモルトウイスキーとなっています。甘くナッツ感のある味わいで、グレンスコシアらしい潮っぽさも持ち合わせています。マーメイドと潮の香り、海を感じさせる一本ですね。

次はどんなモチーフが扱われるのかが楽しみなシリーズです。

まとめ

グレンスコシアについて紹介しました。歴史は深いもの蒸留所ではありますが、近年立て直しをすすめており、変化が面白いブランドです。機会があればぜひイギリスにある蒸留所にも訪れてみたいですね。

スプリングバンクやキルケランといったスプリングバンクのウイスキーと一緒に楽しんでみてください!

キャンベルタウンでは現在、新たに2つの蒸溜所の造成計画も立てられています。そんなキャンベルタウンのウイスキーの歴史をもっと知りたい場合、以下の記事も読んでみてください!

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