オーバンは、スコットランドの「西ハイランド」と言われるエリアで作られるシングルモルトウイスキーです。
日本ではディアジオ ジャパン社が取り扱っております。同社により、オーバンは「クラシックモルトシリーズ」と呼ばれる地域ごとの代表的なシングルモルトに選ばれています。(「アイラ」エリアの「ラガヴーリン」や「アイランズ」エリアの「タリスカー」など6エリアの6種のウイスキーが選出されています)
それでは、オーバンを詳しく紹介していきます。オーバンのことを深く知りたい人や、オーバンを今まさに頼もうか買おうか迷っている人の参考になるような情報を提供していきます!
- オーバンは、しっかりとしたスモーキーな香りを感じられるウイスキー。ハイランドのウイスキーではありますが、アイラモルトが好きな方にもおすすめできますね。
- 採石業を営む港町で作られています。(ウイスキーで港町といえばスモーキーな香りですよね。)
- 1794年から蒸溜をスタート。スコッチの中でも最古の蒸溜所のひとつです。
- 当初はその立地から、輸送に苦労しておりましたが、鉄道が通ったことから広く普及しました
- クラシックモルトシリーズに選出されたことでより人気が高まり、現在に至ります
オーバンはこんな時に買う・注文すべき
オーバンのことを知りたいと思い、この記事を読んで頂いてる皆さん。結局、ボトルを買うべきか、今飲むべきかで迷っていると言う方も多いかと思います。
そんな方の決断をサポートするために、場面ごとに買うべきか・注文すべきかpeatyなりの見解を示したいと思います!代表的なラインナップについて、記載させていただきます!
味わいとラインナップ
オーバンは、スコットランド・ハイランド地方で造られているシングルモルトウイスキーで、現在非常に注目されているブランドです。
オーバンの蒸留所は港町にあるため、土地の影響からか、潮っぽさを感じるボトルが多いです。一方で、ハイランドらしいフルーティな風味も感じられます。
それでは各ラインナップごとに細かくその特徴を見ていきます。
・オーバン 14年
・オーバン ディスティラーズエディション ダブルマチュアード
・オーバン リトルベイ
・オーバン 18年 リミテッドエディション
・オーバン21年 1996 リミテッドエディション
・オーバン21年 2013 リミテッドエディション
・オーバン21年 2018 リミテッドエディション
・オーバン1969 32年
・オーバン ベイ・リザーブ ナイツウォッチウイスキー/ゲーム・オブ・スローンズ
オーバン 14年
オーバン 14年は、オーバンのラインナップの中で最もスタンダードなアイテムです。
乾燥したみかんの皮やライム、紅茶の香りが特徴で、柑橘系の酸味の後にはちみつやクリームなどの甘さを感じます。
オーバンの造られた港町をを感じる潮気やスモーキーさもポイント。
少しクセがあるので、初心者向きではなく、ある程度ウイスキーに親しんでいる人におすすめです。
ストレートで飲むと、オーバン 14年らしい風味をより感じられるでしょう。
オーバン ディスティラーズエディション ダブルマチュアード
UD社(ユナイテッド・ディスティラリーズ社、現在のディアジオ社)のクラシックモルトを構成する6つの蒸溜所の各マスターディスティラー監修の下、造られたアイテムです。
「ダブルマチュアード」とは「違う樽で2回熟成する」という意味。
オーバン ディスティラーズエディション ダブルマチュアードは、ボトリングの約3ヶ月~半年前から、スペイン・コルドバ南方のフィノタイプの酒精強化ワイン「モンティラ・フィノ・シェリー」の古樽で熟成させ、風味を加えていることが特徴です。
「モンティラ・フィノ・シェリー」は極甘口のブドウ品種「ペドロ・ヒメネス」を使っています。この甘口のシェリー酒の熟成に使った樽で熟成させることにより、ふくよかな甘みがプラスされます。
レーズンやオレンジピール、はちみつの香りが特徴。まるでドライフルーツのような味わいです。
そして、甘いだけでなくビターな風味もあり、白コショウなどスパイスの香りを感じられるのもポイント。
甘さとビター、スパイシーな風味のバランスが良く、ハイボールでもこの特徴をしっかりと感じられます。
オーバン リトルベイ
オーバン リトルベイは、2015年に免税店向けに発売されたアイテム。
シェリー樽、アメリカン・ホグスヘッド樽、ニューオーク樽の3種類の樽で熟成させた原酒をブレンドしています。
フレッシュなオレンジやシトラス、バニラ、白ブドウの香りが特徴。
ケーキやオレンジ、コショウのスパイシーな味わいを感じることもできます。
オーバンらしい風味はありますが、クセが少ないのでウイスキー初心者も飲みやすいでしょう。
ハイボールで飲むのがおすすめです。
オーバン 18年 リミテッドエディション
アメリカ市場向けに発売されたオーバン 18年 リミテッドエディション。
オーバンのスタンダードなアイテムと言える「オーバン 14年」と同じ方向性の味わいですが、長期熟成させているので重厚感があります。
洋梨やオレンジ、ダンボールやわら半紙のような紙の香りが特徴。
オレンジマーマレードやはちみつ、塩キャラメルのような甘さを感じます。
750mlと、アメリカ規格の少し多めのボトルに入っていることも特徴です。(通常ボトルは、700ml)
日本ではなかなか入手困難なので、運良くバーで出会えたらぜひ試してみてください。
じっくりとストレートで楽しむことをおすすめします。
オーバン21年 1996 リミテッドエディション
21年間熟成させ、オフィシャルから発売されたオーバン21年 1996 リミテッドエディション。
飲んだ瞬間はドライな潮風、次第にトーストやマシュマロのような香りがします。
クリーミーでしっかりした甘い味わいが特徴。
価格が高く、ボトルで購入するのはハードルが高いので、バーなどでゆったりストレートで堪能すると良いでしょう。
オーバン21年 2013 リミテッドエディション
2013年に発売された、樽出しそのままの「カスクストレングス」タイプ。
水を足していないのでアルコール度数が58度と高くなっています。
パイナップルや白桃のような香りで、バナナやパイナップル、バニラのような濃厚な甘い味わい。
クセが強いので、初心者向けではありません。
こちらも、ストレートで飲むことをおすすめします。
オーバン21年 2018 リミテッドエディション
2018年にオフィシャルから発売された「カスクストレングス」タイプです。
リフィルヨーロピアンオークバットで熟成されていて、アルコール度数は57.9%。
白桃やマンゴスチン、ハチミツの香りが特徴です。
凝縮されたパイナップルやハチミツのようなどっしりと甘い味わいの後、リンゴのフレッシュな味やショウガやコショウのようなスパイシーな味わいも広がります。
しっかり甘さを感じるので、食事を楽しんだ後、バーなどでじっくりストレートで楽しむとよさそうです。
オーバン1969 32年
オーバン1969 32年は世界でなんと6,000本しかないプレミアムなアイテム。
オーバンの特徴と言えるオレンジピールの香りの中に、塩気、クリーミーさも感じられます。
アルコール度数55.1%で、絹のようなテクスチャーが特徴。
熟成期間が長いので重厚感があり、玄人好みのアイテムです。
とても貴重でかなり高価格になっているので、バーなどで自分へのご褒美に飲むのにぴったりでしょう。
オーバン ベイ・リザーブ ナイツウォッチウイスキー/ゲーム・オブ・スローンズ
ディアジオ社とアメリカのケーブルテレビ放送局「HBO」がコラボし、誕生した限定ボトル。
人気の海外ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」の第8シーズンとその最終シーズンを記念して8つのスコッチウイスキーがリリースされていて、そのうちの1つがこのオーバン ベイ・リザーブ ナイツウォッチウイスキー/ゲーム・オブ・スローンズです。
オレンジピールやミルクチョコレートのような香りと、リンゴや洋梨、レモンやミカンのような爽やかな味わいが特徴。
ドラマファンで集まってちょっと華やかな鑑賞会のお供にするのも良いでしょう。
もちろん、ドラマを知らなくても楽しめるアイテムです。
オーバンの歴史
オーバンは、他の蒸留所がほとんどないスコットランドの西ハイランド地方で製造されているシングルモルトウイスキー。
ゲール語で「小さな湾」という意味を持ち、立地している町の名前が蒸留所・ブランドの名前になっています。
オーバンはスコットランドで最古の蒸留所と言われていて、今、とても人気が高まっているブランドです。
小さな港町に蒸留所が誕生
オーバン は、スコットランド南西部のアーガイル・アンド・ビュートにある町。
人口は少ないですが、西ハイランドでは観光地として知られています。
大西洋の荒波の力でできた有名な洞窟「フィンガルの洞窟」のあるスタッファ島への交通の拠点でもあることから、島への観光目的で訪れる人も多いのです。しかし、以前は今のようなにぎわいはなく、小規模な漁業や採石業などを営む港町でした。
ちなみに、メンデルスゾーンの交響曲第三番「スコットランド」の序曲は、「フィンガルの洞窟」という曲名です。それだけメンデルスゾーンが影響を受けたということが伝わってきます。
そんなオーバンが発展したきっかけがウイスキー。
この町は蒸留所の誕生と共に育っていったのです。その始まりが、1793年です。造船業や鉱業などを広く手掛けるスティーブンソン兄弟が蒸留所の「オーバン」を設立。背後に崖がある立地のためのため大規模な蒸留所は建設できず、小規模な蒸留所が誕生しました。
その後、スティーブンソン兄弟はビール工場も建設し、1794年から本格的に蒸留がスタート。
そして、スティーブンソン兄弟のさまざまな事業の成功と相まって、シングルモルトウイスキーの「オーバン」も発展、世界に輸出するようになりました。
オーバンの町には現在「スティーブンソン兄弟」という名前の通りがあることからも、スティーブンソン兄弟の功績がわかるでしょう。
製造免許も早くから取得していたので、オーバンは今では、スコットランドで最古の蒸留所のひとつとなっています。
オーナーは変わっても昔のままの姿で
スティーブンソン兄弟が始めたオーバンは、3世代に渡ってスティーブンソン家が所有していました。
そして、1866年に地元のビジネスマン「ピーター・カームスティ」に買収され、1883年にはジョンウォルターヒギンに売却されたのです。
この間にもオーバンの評価は高まっていましたが、蒸留所の立地から輸送が難しく、なかなか発展しにくい状況でした。
そんな中、1888年にグラスゴーから鉄道が開通したことをきっかけに、一躍脚光を浴びることに。
その後もオーバンのオーナーは何度も変わり、1925年にはDCLに、1930年にはSMDに売却されました。
そして現在では、MHDモエヘネシーディアジオ社が所有しています。
オーナーが多々移り変わったオーバンですが、1980年代に改修工事が行われたものの、外観が創業当時のままで残っていることが魅力のひとつです。
UD社のクラシックモルトシリーズに抜擢
UD社(ユナイテッド・ディスティラリーズ社、現在のディアジオ社)がオーナーになったことが、オーバンが世界的に飛躍する転機となりました。
その理由は、1987年にクラシックモルトシリーズに抜擢されたからです。
クラシックモルトシリーズとは、UD社が発売しているシングルモルトウイスキーの中から名産地別にピックアップしたもので、それぞれのエリアの特徴を表したアイテムがラインナップされています。
オーバンはその特徴的な立地から他のハイランドモルトにはない立ち位置となり、ウイスキーファンから愛されるようになりました。
オーバンの特徴
寂れた港町だった「オーバン」の町の発展とともに世界的人気を得た「オーバン」。
海に近いからこそできる特徴的な味わいが魅力です。
ここからは、オーバンの製法の特徴を紹介します。
原料には地元のものを使用
オーバンの原料にはライトリーピーテッドと呼ばれる大麦麦芽を使用。
この大麦若葉は、イギリス・スコットランドの南西部に位置する都市「グラスゴー」から、指定されたモルト業者によって運ばれています。
そして、1回の仕込みに約7トンの大麦麦芽を使用するというのも特徴。
小規模な蒸留所であれば1トン程度の場合も多いので、これは、スコッチモルトの蒸留所としてはかなり多い量です。
また、仕込み水にはグレネベリー湖の水を使用しています。
ステンレス製の糖化槽を採用
糖化槽はステンレス製で、4つのヨーロピアンラーチ製の発酵槽で発酵させています。
発酵時間は、平均60時間と言われる中、オーバンは110時間と長いのも特徴です。
発酵時間が長くなると乳酸発酵が進むので、独特の甘さやフルーティーな味わいが増した仕上がりになります。
ランタン型のポットスチルで蒸留
オーバン蒸留所は小規模で、ポットスチルは小さいサイズのものが2基しかありません。
初溜1基、再溜1基のみで、ランタン型のものを採用しています。
ランタン型はくびれがあるのでストレートヘッド型よりも外気に触れる面が広く、蒸気が冷却されて液体に戻りやすくなるという効果があります。
そのため、華やかで軽快な風味の原酒になっています。
まとめ
オーバンについてまとめてみました。バーへ行き、オーダーがついついアイラモルト一辺倒担ってしまう人におすすめしたいなと思います。同じようなスモーキーさを他のエリアのウイスキーで楽しめます。
ハイランドは東西南北それぞれで少し異なる風味のウイスキーを楽しめるのが特徴です。是非ハイランド内のウイスキーの飲み比べもしてみてくださいね。