ブッシュミルズは、アイルランドのアントリム州で造られているアイリッシュウイスキー。
この記事では、ブッシュミルズのことを深く知りたい人やブッシュミルズを今まさに頼もうか買おうか迷っている人の参考になるような情報を提供していきます!
POINT
- ブッシュミルズはアイルランドのアントリム州で造られている世界最古の蒸溜所で、1608年に建てられた。
- 蒸溜免許はイングランド国王ジェームズ1世からサー・トーマス・フィリップスに与えられ、現存する最古の蒸溜所とされる。
- 蒸溜所は1784年に正式に稼働し、スコットランドのチャールズ・ドイグが再建時の設計を担当した。
- ブッシュミルズ蒸溜所のオーナーは過去に複数回変更され、現在はアサヒビールが日本国内で販売している。
- ブッシュミルズ蒸溜所は2008年に創業400年を記念して記念紙幣を発行し、アイルランドで愛されていることが示された。
- ブッシュミルズの製法は伝統的なモルトウイスキーで、アイルランド産のノンピート麦芽とセント・コロンバの泉からの水を使用し、3回蒸留された後に様々な樽で熟成されている。
ブッシュミルズはこんな時に買う・注文すべき
ブッシュミルズのことを知りたいと思い、この記事を読んで頂いてる皆さん。結局、ボトルを買うべきか、今飲むべきかで迷っていると言う方も多いかと思います。
そんな方の決断をサポートするために、場面ごとに買うべきか、注文すべきかpeatyなりの見解を示したいと思います!代表的なラインナップについて、記載させていただきます
ブッシュミルズの歴史
アイルランドのアントリム州で造られているブッシュミルズ。
ブッシュミルズ蒸溜所は世界最古の蒸溜所と言われていて、ウイスキーの歴史を語る上では重要な存在です。
ブッシュミルズは世界最古の蒸溜所
ブッシュミルズ蒸溜所は1608年に建てられました。
当時のイングランド国王であるジェームズ1世が、アントリム州の領主だったサー・トーマス・フィリップスに蒸溜免許を与えたという記録が残されていて、これが事実だとすると世界最古の蒸溜所になります。
日本では慶長13年にあたり、1600年の関ケ原の戦いが終わり、江戸幕府ができて数年後という時代。このことからも、いかに古い蒸留所かということが実感できるでしょう。
1784年から正式に稼働
1784年に蒸溜所が建設されましたが、1885年に蒸溜所が火災で焼失してしまいます。
再建する際には、スコットランドの測量技師のチャールズ・ドイグに依頼し、設計を行いました。チャールズ・ドイグとはスコットランドの有名な蒸溜所をいくつも手掛けた人物です。正確な数はわかりませんが、100以上の蒸留所を手掛けた人物と言われています。
チャールズ・ドイグの建築物はキルンと呼ばれる麦芽を乾燥させる塔が特徴的でした。そのため、ブッシュミルズ蒸溜所内にはスコットランド風のキルンが設置されています。
画像の左側に見える2つの塔がキルンです。
オーナーが次々に変更
1923年にはベルファストの酒商だったサミュエル・W・ボンドが蒸溜所を買収しました。
その後、ペルノリカール社の傘下になり、2005年にはディアジオ社に売却。2014年に、今度はディアジオ社が大手テキーラメーカーのクエルボ社に売却したのです。
そして、現在では日本国内での販売はアサヒビールが行っています。
記念紙幣が発行された
2008年には、ブッシュミルズ蒸溜所の創業400年を祝う記念紙幣が発行されました。このことからも、アイルランドでブッシュミルズが愛されていることがわかるでしょう。
Bushmillsは2022年から新ボトルに切り替え中
2022年から徐々に新ボトルに切り替えを行っています。2022年現在、まだまだ旧ボトルでの販売を多く見かける気がしています。
ブッシュミルズの製法の特徴
世界最古の蒸溜所と言われ、長い歴史のあるブッシュミルズ蒸溜所。その製法も、伝統的なモルトウイスキーならではのこだわりが詰まっています。
ここからは、ブッシュミルズ蒸溜所の製法の特徴を紹介していきましょう。
大麦麦芽はすべてアイルランド産
ブッシュミルズ蒸溜所で使われている大麦麦芽は、すべてアイルランド産のものです。
そして、ノンピート麦芽を使用することにより、スムースな口当たりを実現。仕込み水は蒸溜所の近くを流れるブッシュ川の水源「セント・コロンバの泉」から引いていて、質の高い水のおかげでクリアな味わいになっています。
伝統の3回蒸留
ブリッグス製のマッシュタンを使用し、ステンレス製の発酵槽が8基設置されています。また、ネックが細長い銅製の小型のポットスチルを使用していることも特徴です。
そして、最も大きな特徴はアイリッシュウイスキーの伝統である「蒸溜を3回行う」こと。蒸留を繰り返すことにより、よりクリアなアルコール部分のみが抽出されます。雑味が取れて、軽やかな味わいになるのです。
さまざまな樽で熟成
熟成はアイテムに合わせて、アメリカンオークのバーボン樽、シェリー樽、ポートワイン樽、マディラワイン樽などさまざまな樽が使用されます。
また、原料である大麦の処理からボトリングまで蒸溜所で一貫して行っていることも特徴です。
味わいとラインナップ
ブッシュミルズは、世界最古の蒸溜所と言われていて、世界中にファンの多いブランドです。
それでは各ラインナップごとに細かくその特徴を紹介していきましょう。
- ブッシュミルズ
- ブッシュミルズ ブラックブッシュ
- ブッシュミルズ レッドブッシュ
- ブッシュミルズ シングルモルト10年
- ブッシュミルズ シングルモルト12年
- ブッシュミルズ シングルモルト16年
- ブッシュミルズ シングルモルト21年
- ブッシュミルズスキームシップコレクション バーボンカスク
- ブッシュミルズスキームシップコレクション シェリーカスク
- ブッシュミルズスキームシップコレクション ポートカスク
- ブッシュミルズ32年コーズウェイ コレクション
- ブッシュミルズ 2008 ジュピル カスク コーズウェイ コレクション
- ブッシュミルズ 2011 ソーテルヌカスク コーズウェイコレクション
ブッシュミルズ
「ブッシュミルズ」は、ブッシュミルズのスタンダードボトル。
「ホワイトブッシュ」とも呼ばれています。
3回蒸溜したモルト原酒とグレーン原酒をブレンドしていて、モルト原酒の比率は50%。バニラやクレームブリュレ、キャラメルの香りが特徴。リンゴや洋梨、ハチミツのような味わいです。
スムースな口当たりでバランスが良く、加水してもおいしく飲めるため、ハイボールで飲むのがおすすめです。
ブッシュミルズ ブラックブッシュ
「ブラックブッシュ」と呼ばれる「ブッシュミルズ ブラックブッシュ」。オロロソシェリー樽とバーボン樽で最長7年間熟成させたモルト原酒を80%以上使用し、グレーンウイスキーとブレンドしています。バニラやレーズン、ベリーの香り。
バニラやコーヒー、フルーツケーキのような味わいです。華やかで重厚な風味で、余韻が長く続くことが特徴。
ブッシュミルズ レッドブッシュ
ファーストフィルのバーボンバレル原酒を使用した「ブッシュミルズ レッドブッシュ」
日本にはほとんど入荷していない希少なアイテムです。バーボン樽熟成ならではのバニラやスパイスの香りが特徴。
なかなか出会えないので、バーで見かけたらぜひ試してみてください。
ブッシュミルズ シングルモルト10年
ブッシュミルズのシングルモルトウイスキーの中ではスタンダードなタイプの「ブッシュミルズ シングルモルト10年」。
アイリッシュの伝統製法に則り、3回蒸溜したスピリッツをバーボン樽で10~13年熟成させた原酒を使用しています。
ハチミツやシトラスフルーツ、バニラの香り。ハチミツやバニラ、チョコレートのような甘い味わいが特徴です。
ウイスキー初心者の方から愛好者の方まで幅広く楽しめる味わいです。
ブッシュミルズ シングルモルト12年
2019年3月にリリースされた「ブッシュミルズ シングルモルト12年」。
アイルランド産にこだわった原料を使い、伝統的な3回の蒸溜を経てバーボン樽やオロロソシェリー樽で熟成させた原酒をヴァッティングしています。
ドライフルーツやスパイス、アップルパイの香りが特徴。ハチミツやバニラ、熟した果実のような濃厚な味わいです。やさしい口当たりなので、ウイスキー初心者にもおすすめ。
ブッシュミルズ シングルモルト16年
オロロソシェリー樽とバーボン樽で長期間熟成させた原酒をヴァッティングした後、6ヶ月~9ヶ月ポートワイン樽で熟成させた「ブッシュミルズ シングルモルト16年」。
レーズンやローストナッツ、パンケーキのような香りで、ダークチョコレートやメープルシロップのような味わいです。
非常に完成度が高く、リッチな風味を楽しめます。ロックで飲むのがおすすめ。
ブッシュミルズ シングルモルト21年
オロロソシェリー樽とバーボン樽で19年以上長期熟成させたモルト原酒をヴァッティング後、マディラワイン樽で2年間熟成させた「ブッシュミルズ シングルモルト21年」。
ドライフルーツやナッツ、リコリスやオレンジピールの香り。ドライフルーツやミルクチョコレート、ナッツのような味わいです。
ロットナンバーが入っていて、化粧箱入りなのでギフトにもおすすめ。
ブッシュミルズ スチームシップコレクション バーボンカスク
ブッシュミルズがアメリカへの輸出をスタートした際に使っていた蒸気船の処女航海125周年を記念し、2016年に免税店向けにリリースされた「蒸気船シリーズ(STEAM SHIP COLLECTION)」。
その3部作のうちのひとつが「ブッシュミルズスチームシップコレクション バーボンカスク」です。品質の高いアメリカンホワイトオークのバーボン樽を使用して熟成させていて、リッチでスムースなテクスチャーが特徴。
スパイスやクレームブリュレのような香りで、オレンジピールやハチミツ、ダークチョコレートなどのニュアンスを感じる味わいです。
ブッシュミルズ スチームシップコレクション シェリーカスク
「ブッシュミルズスチームシップコレクション シェリーカスク」も、「蒸気船シリーズ」3部作のうちのひとつ。
シェリー樽で10~14年熟成させたシングルモルトです。
ジャムやナッツの香り、パイナップルやシナモン、チョコレートのような味わい。
ブッシュミルズ スチームシップコレクション ポートカスク
「蒸気船シリーズ」3部作のうちのひとつである「ブッシュミルズスチームシップコレクション ポートカスク」。
ポートワインの産地であるポルトガルのドウロ渓谷にあるワイナリーの中から選りすぐりの「ルビーポートワイン」の樽を使用して熟成しています。
ベリーやアーモンド、チョコレートの香りが特徴。
ハチミツやシナモン、スモモの味わいです。フルーツのジューシーさと、スパイスの風味が見事にマッチしています。
ブッシュミルズ32年コーズウェイ コレクション
「ブッシュミルズ32年コーズウェイ コレクション」は、ブッシュミルズ蒸留所の近くにある「ジャイアンツ・コーズウェイ」にちなんだ「コーズウェイコレクション」のひとつ。
ラ メゾン ド ウイスキーのために特別に造られていて、ポートカスクで熟成させています。
ブッシュミルズ 2008 ジュピル カスク コーズウェイ コレクション
「ブッシュミルズ 2008 ジュピル カスク コーズウェイ コレクション」も、「コーズウェイコレクション」のうちのひとつ。
オロロソシェリーカスクとバーボンカスクで熟成後、フランス・ジュピユのオークで作られた樽で追熟させています。
ブッシュミルズ 2011 ソーテルヌカスク コーズウェイコレクション
「コーズウェイコレクション」のひとつの「ブッシュミルズ 2011 ソーテルヌカスク コーズウェイコレクション」。
オロロソシェリーカスクとバーボンカスクでそれぞれ7年以上熟成させた後、ボルドーのソウトナイ地方のソーテルヌカスクで2年追熟させています。
ソーテルヌワインならではの、ハチミツのような風味を感じるシングルモルトウイスキーです。
まとめ
アイリッシュウイスキーのひとつ、ブッシュミルズについてまとめました。
文中でも述べたように、アイリッシュウイスキーは3回蒸留が特徴的です。その雑味の少ないクリアな味をぜひ楽しんでみてください!
アイリッシュウイスキーについては他の記事でもまとめていますので、合わせて読んでみてください!