日本のウイスキー「山崎」の歴史・味・特徴などを解説!

シングルモルトを知ろう!

こんにちは。Peaty編集部です。

ウイスキー好きなら誰もが知る銘柄「山崎」。最近は世界的に大ブームとなった影響で品切れ、品薄となっていることが問題となっています。個人が買うことが難しくなり、「飲むことも難しくなりつつある」ウイスキーの一つです。

とはいえ、まだまだお店では見つけることができます。そんな貴重な山崎のウイスキーをより一層楽しむために、本日は山崎についてまとめました。

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ジャパニーズウイスキー「山崎」とは?

山崎は、日本産のウイスキーの代表格として知られています。今では日本国内のみならず、世界中に愛好者のいる銘柄です。

プレミアムウイスキーとしても知られいるだけあり、高価です…。なかなか日常的に気軽に買えないからこそ、プレゼント用や自分へのご褒美などにとてもおすすめです!筆者も大仕事を終えた日は近くのお店で山崎を1杯だけいただいてます。

山崎の味わい

山崎の味わいの特徴は、「ミズナラ樽」を一部使っていることに由来して、広がりある甘みと、柔らかな口当たりがあることです。ブランデーのような柔らかくフルーティな香りと、バニラやはちみつのような余韻が続く口当たりの良い味です。とても飲みやすく、さまざまなフレーバーが綺麗にまとまっているような印象があります。

一般的には、アルコール感が強いと言われる熟成年数の縛りがないノンエイジ商品でもアルコール臭がほとんど無くウイスキー初心者におすすめです。

山崎蒸留所の歴史とこだわり

山崎を手掛けている山崎蒸留所は、日本国内で最も歴史のある蒸留所です。蒸留所について知ることは、銘柄について知ること。そこでここでは、山崎蒸留所の歴史と製法へのこだわりなどについて紹介します。

山崎蒸留所の基本情報

山崎蒸留所は、大阪府三島郡本町山崎にあります。

日本名水100選にも入っている「離宮の水」が湧き出る名水地・水無瀬神宮が近くにあり、お酒造りにはとても適した土地だと言えます。ここから湧き出る質の良い水を活かして、山崎というウイスキーが作られています。(ちなみに「離宮の水」は大阪で唯一の100名水!)

また、山崎蒸留所は日本ではじめてのモルトウイスキーの蒸留所としても有名です。とても歴史があり、周辺の風景も良いことから見学ツアーはウイスキーファン以外にも人気があります。

山崎蒸留所の創業秘話

山崎蒸留所が建てられたのは、1923年です。創業者は、当時の寿屋(現・サントリー)社長の鳥井信治郎。彼はスコッチの製造法を学ぶ過程で、土地の重要性に目をつけました。

「良い原酒は良い水が生み、良い熟成は良い自然環境なしにはあり得ない」という信念で全国に候補地を探し、そこから選ばれたのが山崎です。その信念に基づいて山崎という土地を見ていくと、名水地でもあり自然に恵まれた場所でもあり、信念にとてもぴったりだったということがわかります。

蒸留所をつくると、鳥井さんは竹鶴政孝を山崎蒸留所長に任じました。この初代所長の竹鶴政孝が、後のニッカウイスキー創業者です。(ニッカウイスキーは現在、日本のウイスキー市場の約3割を占めており、サントリーと合わせて9割以上のシェアを占めております。)

実は、竹鶴さんは日本では北海道がウイスキーづくりに適していると訴えかけていました。ウイスキーの本場スコットランドと同じ緯度に位置しているからです。

しかし、鳥井さんは輸送コストがかかることと、消費者に工場見学をしてもらいたいということから北海道に蒸留所を作るのに難色を示していました。そこで、先述の信念と交通の便の良さから竹鶴さんに場所を探させ、結果として山崎に決まったという話があります。

余談ですが、山崎蒸溜所初代所長の竹鶴政孝は、2014年に放送された朝ドラ「マッサン」の主人公となっています。

そして1929年に山崎蒸留所ではじめてつくられたのが、「サントリー」というウイスキーです。丸瓶に白いラベルで、「白札」と呼ばれていました。戦後は「ホワイト」と呼ばれるようになります。

山崎蒸留所の苦労

山崎蒸留所がやっとの思い出つくりあげた日本初のウイスキー「白札」は、輸入品をありがたがる当時の日本人にはあまり受けませんでした。

それでも諦めず、鳥井さんはトライアンドエラーを繰り返しながら、理想のウイスキーを追い求めたんです。

1937年に、とうとう傑作が産まれます。角瓶の誕生です。

山崎蒸留所も稼働開始から10年以上経過しており、原酒の貯蔵量も充実していたため、深く熟成した豊かな香味の個性のある原酒が揃うようになっていたんです。

そうして日本人の繊細な味覚に合うジャパニーズウイスキー、角瓶が誕生しました。今でも亀の甲羅のような模様のボトルで、主にハイボールで親しまれていますね。

実は、山崎より角瓶の方が歴史が深いんです。

さらに角瓶は大人気になり、その後サントリーは「オールド」「ローヤル」などの銘酒を輩出していきました。この頃になると、日本にウイスキー文化が根づいてきていました。「オールド」は「だるま」と呼ばれて親しまれていますね。

一方、竹鶴さんは10年の契約期間を勤め上げ、当初訴えかけていた北海道でのウイスキー製造計画を動かします。それが今も有名な竹鶴になったのですが、それはまた別の話です。

ただ、一緒に仕事をしていた二人が別の道で手掛けた2つの銘柄が、今なお日本を代表するウイスキーとして親しまれているのは心が熱くなるものがあります。

世界に誇るジャパニーズウイスキー「山崎」の誕生

山崎が誕生したのは、角瓶誕生からおよそ50年後の1984年です。サントリーは、シングルモルトウイスキー「山崎12年」を発売しました。

この頃のシングルモルトは、世界でも限られた好事家だけが楽しむものだったんです。水や環境、職人のこだわり、蒸留所の特性がダイレクトに伝わることから贅沢な品として考えられていました。

実際、長い間「山崎」はお金に余裕のあるウイスキー好きが嗜むものであり、一般的な銘柄ではなかったんです。角瓶などの方が、安定的に生産量と売上を伸ばしていました。それは山崎に限った話ではなく、ジャパニーズウイスキーのシングルモルト全般に言えることです。

2012年にはノンエイジの山崎が新登場しました。それでも、山崎が一般に広く浸透し親しまれるまでにはならなかったんです。

ところが、朝ドラ「マッサン」にて竹鶴政孝の生涯にスポットライトが当たったことにより、ジャパニーズウイスキーが2015年頃から流行しはじめます。

一時期はどこの酒屋にも山崎や竹鶴が並び、バーだけでなく居酒屋でも扱う店があったほどです。

生産量の推移を示す公式なデータは見つけられませんでしたが、価格の推移を考えると2015年をきっかけとして品薄になってきていることがわかります。

たとえば山崎25年のAmazonの新品価格ですが、2013年は14万8000円あたりが相場でした。2014年は15万2230円です。2015年には36万円になり、2016年も引き続き36万円が相場でした。このあたりは流行をきっかけに高騰したと見られます。2015年と2016年とで価格相場が変わらなかったことを見ると、この頃は生産量が比較的安定していたのでしょう。

2017年からは、徐々に上がっていきます。2020年には82万円にもなり、2021年は80万円程度です。

山崎25年は現行のラインナップの中で最も高価なものではありますが、ここまで釣り上がることはこれまでありませんでした。需要に対して明らかに供給が足りていない状態が続いています。エイジングが必要なので、仕方がないかもしれません。ノンエイジの平均価格も2014年に比べると5000円ほど上がっており、生産量が落ちたのだろうことがわかりますね。

さらに、需要の高まりにより、2022年4月1日出荷分から値上げされることが決まっています。山崎ノンエイジ(700ml)の定価が4200円から4500円に、12年は同容量で8500円から1万円になるんです。

ただ、公式サイトによれば、蒸留量自体は増えているようです。蒸留量が生産量に結びつくには、時間がかかります。

あと何年かすれば、ノンエイジの生産量は再び上がるでしょう。10年も経てば、山崎12年の生産量も上がり、価格も落ち着いてくるかもしれません。

そのときには市場価格の高騰も落ち着いてきて、どこでも定価で買えるようになるのではないでしょうか。

現在の山崎蒸留所の評価は?

現在、山崎の評価は割れている傾向があります。

世界的に人気を博しており、過去に限定的に販売されたものはオークションなどでの取引価格が年々釣り上がっています。国内でも特別な日には山崎12年を買うなど、プレミアムウイスキーとして高く評価されています。

あわせて蒸留所の評価も高くなっております。こだわりを感じる味やパッケージなどが評価されています。シェリー樽やミズナラ樽を駆使し、熟成感のある原酒が魅力だと考えられているんです。主に、アジア圏では、高く評価されています。

一方で、値段に見合った味ではないという評価もあります。

すでに述べたように、山崎の価格は高騰しており、ノンエイジすらも1万円に迫りそうなほどです。2014年には3500円程度で買えたことを考えると、価格に見合わないと感じるのも無理はないでしょう。

さらに、日本国内のウイスキー好きはスコッチにこだわる人も多いです。限られた愛好家たちが飲む山崎が、現在はかえってウイスキーにはそこまで造詣が深くないという人が好むようになっている傾向があります。

また、原酒不足により構成比率が変わっている印象は否めません。ノンエイジはアルコール感が過去より若干強くなり、荒さが目立つようになってきています。

山崎の特徴とは?

山崎蒸留所は、水と樽にこだわってウイスキー作りをしているので、水と樽の味わいが山崎の特徴です。

まず、水から説明します。創業者が追い求めた名水と良い環境をしっかり守りながら、現在もつくり続けられています。

山崎のは、硬度が94度あります。ちなみに、100度が軟水と硬水の境目と言われており、山崎の水は軟水の中でも高い硬度を持っております。この高い硬度により、山崎らしい複雑な風味と重厚な甘さを生み出しています。

滑らかな軟水の特徴と、若干硬めな水による個性の演出、そして複雑で重厚な風味になりやすい水質…。これら混ざり合い、山崎の基礎をつくっています。

続いて、樽です。

山崎に使われる一般的な樽は、ホワイトオーク。これは多くのウイスキーで使われています。

ただ、ミズナラ樽やシェリー樽も使うんです。この樽に使う木材のかけあわせによって、山崎の「白檀や伽羅のような香り」をつくっています。白檀は高級扇子にも使われており、お香のような日本的な香りです。「ジャパニーズウイスキー」としての個性にもなっています。ミズナラの樽はサントリー全体でもわずか数千個しかありません。(以下の写真のように、Noの部分を囲ってあるのがミズナラ樽となるようです。)

ホワイトオークの素直さ、ミズナラ樽やシェリー樽の香木のようなキャラクター。これらの個性の異なる原酒を掛け合わせているのが、山崎のこだわりです。

山崎のラインナップを紹介! 味や特徴とは?

山崎には、現在ノンエイジ、12年、18年、25年と4つのラインナップがあります。他にも過去に限定で販売された銘柄がいくつかあるんです。山崎の現行ラインナップと過去ラインナップの味や特徴について、説明しましょう。

山崎(ノンエイジ)

さまざまなお店で見かける、山崎のレギュラーボトルです。日本国内だけでなく、世界中のバーでも見かけるようになりました。アルコール度数は43度。

山崎蒸留所の伝統のミズナラ樽貯蔵モルトに、ワイン樽貯蔵のモルトなど、さまざまな原酒をかけ合わせて作られています。ノンエイジでありながらも複雑な風味がするのは、そのためです。

色は少し赤みがかった琥珀色。

山崎らしい滑らかな口当たりで、はちみつやバニラ、ドライマンゴーなどを思わせる風味が余韻として口に広がります。基本的には華やかな香りなのですが、その奥にはいちごのようなフルーティな香りが潜んでいます。さくらんぼにも近いでしょう。この甘さはミズナラ樽に由来するものでしょう。フルーティさは、ワイン樽からですね。

山崎らしさを感じるのには、最適なボトルです。

価格は高騰しているものの、ようやく普通に手に入るようにはなりました。居酒屋などでも角ハイボールと差別化するために、このボトルのハイボールが置かれていることが多いです。

飲み方は、ストレートよりはロックが合います。ハイボールにすると味の複雑さは隠れてしまいますが、甘い風味がより強くなるのが特徴です。

山崎に限らず、サントリーのウイスキーはハイボールやトワイスアップなど、割る飲み方がよく合います。

最初はハイボールなどから気軽に入り、より山崎本来の味わいを楽しみたくなったらロックで飲むと良いでしょう。

山崎12年

山崎12年は、山崎のエイジングボトルの中では最も広く親しまれています。特に、ウイスキー通からの評価が高いです。

ワイン樽とミズナラ樽に加えて、シェリー樽で熟成した原酒をヴァッティングしています。山崎蒸留所でつくられた原酒を総じて投入したようなウイスキーであり、奥深さは随一です。

アルコール度数はレギュラーと変わらず、43度。

それでいて、レギュラーよりもアルコール感がおさえられています。山崎の優しい飲み口を最も強く感じることができるので、ウイスキー初心者にも特別な日に飲むお酒として人気です。

ストレートで飲むと、奥深い香木の香りにシェリーたる由来のレーズンや青りんごのような風味が余韻として広がります。鼻から抜けるときに、熟したモモや柑橘を思わせるフルーティさも感じられるのが面白いところです。

全体的に、とても複雑で繊細な味わいになっています。異なる特徴を持つ原酒を、よくこれだけのバランスでヴァッティングしているなと関心せざるを得ません。少しでも何かが変われば、バランスが崩壊しかねない危うさも感じます。

ロックで飲むと、ストレートより樽由来の渋みが感じられるようになるんです。上品な甘さの奥に、スパイシーさがあります。氷がとけてくると、フルーティさが顔を出してくるんです。スパイシーさと相まって、お香っぽさが出てきます。

トゥワイスアップは、味のまとまりがより良くなる印象です。上品で複雑な味わいはそのままなのですが、全体的に柔らかくなるため食中酒としてもよく馴染むようになります。

ハイボールは、ハッキリ言って好みが分かれるでしょう。フルーティさを強調してくれる一方で、複雑さが感じにくくなります。

山崎18年

山崎18年は、レギュラーや12年とは大きな違いがあります。

まず、原酒はシェリー樽とミズナラ樽で熟成した物のみを使っているということです。ホワイトオーク、ワイン樽などは使っていません。

さらに、これらをヴァッティングした後に、シェリーバットの小樽でたっぷり後熟させています。後熟は混合した後に風味を安定させるため、しばらく寝かせることです。これにより、円熟味が生まれます。

香りはミズナラに由来するミントのような清涼感のあるバニラと、シェリー樽由来のドライレーズンのような風味が前面に出ているんです。

口当たりは熟成したブランデーのような濃厚かつビターなもの。ビターとは言っても、ドライマンゴーのような甘さも含まれています。さらに、余韻としてナシやマスカットを思わせる爽やかさ・みずみずしさも同居しているんです。

これら複雑な風味が、後熟によってまとまっています。

フルボディですが、想像よりも軽いです。この手の製法のウイスキーにしては、飲みやすい部類に入ります。

おすすめの飲み方は、ストレートとトゥワイスアップです。

ストレートで飲めば、しなやかで深みが感じられます。上述の個性をよりダイレクトに楽しめるので、まずはストレートで飲むのがおすすめです。

トゥワイスアップにすると、甘い風味が増してより飲みやすくなります。複雑な味は若干鳴りを潜めるものの、それでも余韻は濃厚です。氷を入れると、お寿司など日本食によく合います。

多少水の量が多くなっても味が崩れないのも、良いところです。

山崎25年

山崎25年は、長期熟成シェリー樽の原酒を厳選した希少なボトルです。色は赤褐色で、これはシェリー樽で長期熟成された証となっています。

清算は年間千数百本のみと限られており、山崎の中でも特にプレミアムなボトルです。

香りはブランデーに漬け込んだイチゴのような甘みとスモーキーさ、ビターチョコやレーズンなどを思わせるビターな風味が強い傾向があります。とてもふくよかな香りで、さまざまな要素がギュッと凝縮されたような印象。

ビター感は、長期熟成によるものでしょう。

ストレートで飲むと、はちみつのようなトロッとした飲み口が楽しめます。そこからドライフルーツのような風味を感じ、続いていちごジャムのような豊かな甘い風味が広がるんです。鼻からはビターチョコのようなふくよかな香りが抜けていきます。

まるで果実酒のような風味です。他のウイスキーではなかなか味わえないので、まずはストレートで飲むことをおすすめします。

ロックはとても飲みやすいです。最初は山崎25年本来の豊かな香りや旨味、トロリとした飲み口を味わえます。加水されるごとに甘みが増すと同時に、さらりとした飲み口に変わっていくのがとても楽しいです。

夜のゆったりとした時間を楽しむために飲むのであれば、ロックが良いでしょう。

トゥワイスアップも、おすすめです。ロックよりさらに甘みが増します。トロリとした口当たりは感じられなくなるものの、甘いお酒が好きな人にはぴったりです。

ハイボールは他の飲み方とは大きく変わり、さっぱりとしています。食中酒として優秀で、特に日本食との相性が良いです。複雑な味は感じにくくなるものの、ほんのり甘くビターな香りが感じられます。たまには、日本酒ではなく山崎28年で食事を彩るのも良いかもしれませんね。

山崎50年

山崎50年は、2005年に50本だけ販売された限定品です。当時の価格は、100万円。とても高価ではあるものの、すぐに売り切れました。未だに求める人が多く、オークションなどに出品されたとしても競争率が高くなかなか手に入りません。そのうえ、出品する人も少ないです。

ネットオークションが行われた際は、5000万近い価格で落札されていました。

空き瓶すらも10万円以上で買い取られています。

2012年には3度目の発売となり、150本に拡張されました。現在飲めることがあるとしたら、このとき販売されたボトルでしょう。

山崎50年は、50年以上熟成させたミズナラ樽の原酒を使っているのが特徴です。主な構成成分は、1960年と1961年に蒸留された原酒となっています。

熟成された果実のような甘い香りが強く、同時にミズナラ特有の香木のような香りも強いです。個性が強いさまざまな風味が複雑に混ざり合い、奇跡的に調和しています。力強く深いテイストで、余韻がいつまでも続くのではないかと感じられるほどです。

一口飲むだけで、しばらく口の中が多幸感に満たされます。

色は非常に濃いです。赤みが強く、光りにかざすと鮮やかなエンジ色になります。ボトルを眺めているだけでも楽しいです。

飲んでみると、まず重厚な香りが鼻孔をくすぐります。これまで感じたことのないほどの深い円熟香に、トロッとした粘り気。スワリングすると、甘く深い樹脂系の香りが前面に出てきます。伽羅の香がとても強いです。

なにか食べ物に例えるとすれば、ビターな生チョコとアーモンドでしょう。どちらもウイスキーのつまみとして嗜まれるものですが、山崎50年だけでもう完成されます。

飲むと、まずはトロリとした強い粘りのある口当たりを感じるんです。その直後、優雅で滑らかな伽羅の香りが力強く、口全体に広がっていきます。その奥に白檀の香りがほのかに出てきて、そこにチョコにアーモンドやココナツを足したような濃厚な味わいが追いかけるような印象です。

徐々に、完熟プラムを煮詰めたようなピューレっぽさも出てきます。

フィニッシュは深いコクがあり、ゆったりとした余韻が非常に長く続くのが特徴的。

旨味が非常に強く、少量をゆっくり時間をかけて味わうことになるでしょう。

飲める場にもし出くわしたとしたら、迷わず飲んでみてほしいと感じさせられます。

山崎ミズナラ

山崎ミズナラは、山崎の多彩なモルト原酒を楽しんでもらうために限定販売されたシングルモルトシリーズです。その第4弾にあたります。

山崎を語るうえで、ミズナラ樽を欠かすことはできません。日本ならではと言えるミズナラ樽で熟成されたモルト原酒だけを厳選し、ボトリングしています。

色は赤みがかった琥珀色で、香木や伽羅を思わせるオリエンタルな風味が特徴です。アルコール度数は48%で、冷却濾過をしていない生のままとなっています。

香りは、シナモンやココナッツ、砂糖パウダーのかかったバター風味の揚げパンのようです。そこに伽羅のお香のような香りがしっかりと、香ってきます。さらにレモンピールのような酸味、樽由来の苦味、リンゴのようなフルーティさも楽しめるんです。

ミズナラと言えばどんぐりですが、そこに由来したような灰汁までもがそのまま楽しめます。

加水すると甘さがより強く濃厚になり、奥に潜む香木らしさが心地よく香るようになるのも特徴的です。若干、生姜のような辛みも加わります。

後味は苦味や辛味が無く、甘いりんごのよう。フィニッシュには、ベリー感が少しだけ顔を出します。この余韻がとても素晴らしく、ゆったり飲みたくなるお酒です。

他のウイスキーでは味わえない、ミズナラ樽原酒のシングルモルトを楽しめる貴重なボトルだと言えます。

実は、現在も山崎蒸留所のテイスティングバーで楽しめるので、気になる人は蒸留所の見学をしてみると良いでしょう。なお、テイスティングバーは有料なので注意が必要ですよ。

山崎シェリーカスク

山崎シェリーカスクは、2009年・2010年・2012年・2013年などさまざまな年代に限定で販売されたウイスキーです。山崎ミズナラと同じく、シングルモルトシリーズの一員にあたります。

名前の通り、使われているのはシェリー樽で熟成された原酒です。それをさらに厳選して、ボトリングしています。

色は鮮やかな茶褐色で、アルコール度数は48%です。箱が同じ色になっているところが、芸が細かくて好印象。

香りは焼いた青唐辛子や焼き筍などのような、おこげのニュアンスがあります。そこに、とても甘酸っぱいいちごジャムなどのような甘みと酸味が香りが強く感じられるのが特徴です。山崎特有の香木らしさは若干控えめではあるものの、しっかり感じられます。

香木らしさは主にミズナラ由来なのだと、よくわかる香りです。逆にイチゴのような香りは、シェリー樽由来なことがハッキリわかります。山崎ミズナラと飲み比べると、山崎の香りと味の原点が見えてくるでしょう。

飲むと、まず温かい舌触りを感じます。血液のような鉄の風味、金柑のような甘みと酸味が強いです。そこにビターココアのような苦味と濃厚さが、感じられます。若干渋みもありますよ。

中味は甘みと酸味が強いですが、同時にまろやかさも感じます。とてもバランスが良いです。

熟成感は若干若めで、10年から13年頃の印象があります。

それでいて、しっかり熟成香があるのが魅力です。

総じて完成度が高く上品で、万人受けするでしょう。

公式サイトで山崎の抽選販売をチェック!

ヤマザキでは山崎LIMITED EDITIONというシリーズを出しており、このシリーズは毎年新しいものを出しています。例えば2023年であれば、山崎LIMITED EDITION 2023というウイスキーを販売中です。

公式サイトで毎年上半期に抽選販売を行っています。抽選販売の情報は適宜更新しますので、以下のページをチェックしてみてください!

まとめ

これまで、山崎について詳しく説明してきました。過去にはさまざまな限定ボトルも販売され、一時期はレギュラーボトルすらも入手困難になった人気銘柄です。今はレギュラーボトルの入手性は高くなってきています。

山崎の魅力はこだわり抜かれた水と樽に由来する原酒の豊かさであり、それらをバッティングすることで生まれる複雑な味と香りです。

ミズナラ樽など日本特有の樽を用いた原酒と、ワイン樽やシェリー樽など複数の原酒とをかけ合わせた複雑な味わいは山崎蒸留所の創業以来のこだわりを強く感じます。職人気質な人間が、長い時間をかけこだわり抜いてつくったのだろう印象があるんです。

そして、ウイスキー初心者でも飲みやすいところにも大きな魅力があります。

おすすめラインナップは、山崎レギュラーボトルと山崎12年です。これら2つが、最も山崎の個性的な味と歴史を感じることができます。

価格が高騰しているものの、贅沢を楽しみたいときのプレミアムウイスキーとして1本持っておくと日常が華やかになるのではないでしょうか。

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