ラフロイグは、スコットランドのアイラ島で作られるシングルモルトです。
正露丸のようなヨード香や強いピート香、そして円熟したフルーティーさも感じられるウイスキーです。
そのため、「アイラの女王」であるボウモアと並んでラフロイグは「アイラの王」と呼ばれています。
それでは、ラフロイグを詳しく紹介していきます。ラフロイグのことを深く知りたい人やラフロイグを今まさに頼もうか買おうか迷っている人の参考になるような情報を提供していきます!
- ラフロイグは、スコットランドのアイラ島で作られているシングルモルトウイスキー。
- ヨード香やピート香のスモーキーさと、ふんわりとやってくるバニラのような香りが特徴。少しクセのある風味ではあるものの、ハイボールにすると飲みやすくなる。個性を楽しむならストレートがおすすめ。
- 特徴あるスモーキーな香りを生み出しているのは、ヘザーとコケ類・海藻を含んだ比較的水分量の多いピート。さらに、現在数少ない蒸溜所でしか使われていない、フロア守るティングも理由のひとつ。
ラフロイグはこんな時に買う・注文すべき
ラフロイグのことを知りたいと思い、この記事を読んで頂いてる皆さん。結局、ボトルを買うべきか、今飲むべきかで迷っていると言う方も多いかと思います。
そんな方の決断をサポートするために、場面ごとに買うべきか・注文すべきかpeatyなりの見解を示したいと思います!代表的なラインナップについて、記載させていただきます!
味わいとラインナップ
ラフロイグはとにかく癖が強いことで有名なウイスキーで、スモーキーな香りや正露丸のような香りが特徴です。
それでは、各ラインナップごとに細かくその特徴を見ていきます。
- ラフロイグ10年
- ラフロイグ セレクトカスク
- ラフロイグ QAカスク
- ラフロイグ クォーターカスク
- ラフロイグ ロア
- ラフロイグ カーディス15年
- ラフロイグ アンカンモア
- ラフロイグ トリプルウッド
- ラフロイグ PX CASK
- ラフロイグ 1815 レガシーエディション
- ラフロイグ18年
- ラフロイグ25年 カスクストレングス・エディション
- ラフロイグ30年
- ラフロイグ15年 200周年記念ボトル
ラフロイグ10年
ラフロイグ10年はバーボン樽で10年以上熟成した原酒を使って作られているウイスキーで、ラフロイグのスタンダード品でもあります。
とにかく香りはスモーキーです。ピート香やヨード香をこれでもかというくらいに感じることができます。またモルト由来のまろやかなバニラの香りも感じられます。
ナッツのようなオイリーな口当たりに、正露丸のような風味やピート感も感じられ、最後はふんわりと優しいバニラの風味も味わえるのが特徴です。
ラフロイグのクセのある男らしい味わいを堪能したい方はストレート、初心者の方はまずはハイボールで飲むのがおすすめです。
ハイボールは、お肉料理や海鮮などと一緒に食中酒として飲むと相性抜群ですよ!
ラフロイグ セレクトカスク
ラフロイグ セレクトカスクは、さまざまな樽を使っているのが特徴のノンエイジのウイスキーです。
まず、以下の3つで熟成させた原酒をブレンドします。
- ペドロヒメネスのシェリー樽
- ヨーロピアントークのシェリー樽
- バーボン樽
その後、アメリカンオークの新樽でさらに熟成させて完成です。
複数の樽の風味を感じられるため複雑で新しい味わいを楽しめるのが特徴です。
特にペドロヒメネスのシェリー樽は、熟成することで甘さを強く感じられるウイスキーになります。
ラフロイグ特有のピートの香りの奥に干しブドウの甘さも感じられます。味わいは、スモーキーさとシェリー樽由来の甘さを楽しめます。他のラフロイグにはあまり見られない甘さや爽やかさが特徴です。
ハイボールにするとさらに爽やかさが増して初心者でも飲みやすい味わいになります。お値段はだいたい4,000円~6,000円前後のため、プレゼントや自宅のストック用に購入するのもおすすめです。
ラフロイグ QAカスク
ラフロイグ QAカスクは、免税店向けに販売されていたウイスキーです。バーボン樽でブレンドした後にアメリカンホワイトオークの新樽で後熟させて作られています。
ラフロイグ特有のピート香やヨード香に加えて新樽を使っていることによるウッディな香りを楽しめます。
ちなみにQAというのは、ラテン語のQuercus Alba(アメリカンホワイトオーク)という意味です。
すでに販売終了しているため、バーなどで見かけた時はぜひ飲んで欲しい一本です。
ラフロイグ クォーターカスク
ラフロイグ クォーターカスクは、バーボンで熟成させた原酒をファーストフィルのバーボン樽を分解して再度作ったクォーターカスクで熟成しているウイスキーです。
スモーキーなピート香や、シトラスのような香りも感じられます。味わいは、スモーキーの奥にフルーティーな風味、フィニッシュにはバニラやキャラメルのような味わいも楽しめます。
おすすめはロックです。ピート香はもちろん、フルーティーな香りも引き立つためゆっくり風味を楽しめます。また、ハイボールにしてお肉料理などと一緒に楽しむのもおすすめです。
ラフロイグ ロア
ラフロイグ ロアは、ダブルマチュアードという原酒とモルト原酒をバーボン樽で後熟させて作られているウイスキーです。
ダブルマチュアードとは、二回熟成をしている原酒のことで、ヨーロピアンオークの新樽で熟成した後に、ファーストフィルのバーボン樽でさらに熟成しています。
香りはスモーキーな香り、潮の香りが強く、口に含むとまろやかな甘さやナッツのようなオイリーさ、最後にはフルーティーで芳醇な味わいも感じられます。
フロイグ ロアは、ラフロイグのラインナップの中でも特に個性が強いウイスキーです。この個性を楽しみたい方はストレートがおすすめです。
購入しようとすると1万円以上するため、特別な時の一本にするかバーなどで飲むのが良いでしょう。
ラフロイグ カーディス15年
ラフロイグ カーディス15年は、15年以上の原酒を使って作られているウイスキーです。ファーストフィルのバーボン樽で熟成した後にフィノを貯蔵していた樽で再度熟成させて作られています。
ラフロイグには「フレンズ・オブ・ラフロイグ クラブ」という1994年に設立されたファンクラブがあり、年に一回このファンクラブ向けに販売される限定品です。ちなみにカーディスというのは、ゲール語で友情という意味です。ファンクラブ向けのウイスキーにはぴったりのネーミングですね。
香りはピート香やバニラなどの甘い香り、口に含むと滑らかでコクのある甘さを楽しめます。
ラフロイグの個性をしっかり楽しめるため、ラフロイグの個性が好きな方はストレートがおすすめです。入手困難な銘柄なので、バーで見かけたら飲んでみてください。
ラフロイグ アンカンモア
ラフロイグ アンカンモアは、免税店向けに販売されているダブルマチュアードのウイスキーです。
海に一番近くにある熟成庫で、ファーストフィルのバーボン樽で熟成された原酒をヨーロピアンオークのシェリー樽にて後熟させて作られています。
ラフロイグ特有の強めのヨード香にドライフルーツのようなフルーティーな香り、口に含むとまろやかさとスモーキーさを感じられ、フィニッシュにはウッディな香りが長く続きます。
ハイボールもおすすめですが、ロックで飲むとスモーキーさと甘さをバランスよく楽しめます。こちらも値段が高騰しているため、バーで飲むのがおすすめです。
ラフロイグ トリプルウッド
ラフロイグ トリプルウッドは、バーボン樽で熟成した後にクォーターカスクで熟成し、さらにオロロソシェリー樽で熟成させているウイスキー(クォーターカスクのオロロソフィニッシュ)です。
ノンエイジですが、味わいや風味から10年前後の原酒を使っているのではないかと言われています。
香りは、強めのアルコール臭やスモーキー感、そしてほのかにシェリー樽由来の香りを感じます。口に含むとドライフルーツの甘さやバニラの風味、最後はスパイシーさと甘さの余韻が長く続きます。
おすすめの飲み方は断然ストレートです。クセの強いウイスキーのためストレートでピーナッツなどのおつまみと一緒に少しずつ楽しむのが良いでしょう。
ラフロイグ PX CASK
ラフロイグ PX CASKはラフロイグ トリプルウッドの後継品として発売されたウイスキーです。熟成を3回もしている特別なウイスキーで、メーカーズマークのファーストフィルのバーボン樽で7年熟成した後、クォーターカスクで後塾させ、さらにペドロヒメネスの空樽で熟成させて作られています。手間をかけて熟成されているのが特徴です。
香りはピート香と潮の香りにドライレーズンのような香りもします。口に含むと海藻の味わいやドライフルーツ、バニラの風味も感じられます。フィニッシュは中くらいで優しいオークの香りを楽しめます。
おすすめの飲み方はストレートで、個性が強めのウイスキーなので、飲む人を選ぶ銘柄といえます。
ラフロイグ 1815 レガシーエディション
ラフロイグ 1815 レガシーエディションは、2017年4月から免税店向けに販売されているウイスキーです。ラフロイグ蒸留所のマネージャーであるキャンベル氏が手がけたウイスキーです。
スモーキーな香りに加え、ドライフルーツの香りも感じられます。ハチミツやスパイシーな風味も感じられます。フィニッシュは、ナッツのようなオイリーな風味が短めに楽しめます。
個性を楽しむにはストレートで飲むのがおすすめですが、少し刺激を抑えたいという方はトワイスアップやロックもおすすめです。
ちなみにネーミングにある1815はラフロイグ蒸留所ができた年で、レガシーは遺産という意味です。
ラフロイグ18年
ラフロイグ18年は、18年以上熟成させた原酒を使って作られているウイスキーです。
香りは長期熟成のためなめらかでフルーティーな香りや塩キャラメルの香りでアルコールアタックも抑えめです。口に含むとスモーキーさやオークの風味にビターチョコのようなほろ苦い味わい、奥には柑橘系の爽やかさも感じられます。
18年熟成の味わいを楽しむにはストレートかロックがおすすめです。ラフロイグのラインナップの中でも比較的飲みやすいので、ラフロイグ10年は少し刺激が強かったという方にもおすすめなウイスキーです。バーなどでじっくり飲むのが良いでしょう。
ラフロイグ25年 カスクストレングス・エディション
ラフロイグ25年 カスクストレングス・エディションは、25年以上熟成させた原酒を使ってカスクストレングス(加水していないもの)でボトリングして作られています。
原酒は、ファーストフィルのバーボン樽とオロロソシェリー樽のものを使用しています。
ラフロイグのヨード香やピート香はもちろん、25年もの長期熟成からくる芳醇なバニラの香りも感じられます。口に含むと柑橘系のフルーティーな風味も楽しめる豊かなウイスキーです。
おすすめの飲み方はストレートかロックです。ロックで飲むとさらにフルーティーさが感じられます。長期熟成のため、飲みやすく初心者でもロックやストレートで楽しめます。
ラフロイグ30年
ラフロイグ30年は、30年以上熟成させた原酒を使って作られているウイスキーで、ラフロイグの最高級ランクの銘柄です。カスクストレングスでボトリングされています。
香りは、プラムや酸味が強めのカカオ、オレンジピールのようなフルーティーな香りも感じられます。味わいは、ヨードやスモークなどがしっかり感じられ、奥にほんのりバニラの甘みも楽しめます。余韻はかなり長めで、ラフロイグ特有の男らしさと甘さが心地よく続きます。
贅沢で複雑な味わいは、ストレートでそのまま楽しんでいただくのがおすすめです。30年熟成でもラフロイグらしい癖は健在です。
値段も高騰しているため、記念日などの特別な日に飲んだりバーで楽しんだりするのがおすすめです。
ラフロイグ15年 200周年記念ボトル
ラフロイグ15年 200周年記念ボトルは、ラフロイグ蒸留所の200周年記念で販売されたボトルで日本限定3,000本というかなり希少価値の高いウイスキーです。1985年に人気に火がついたラフロイグ15年のレシピをベースに作られています。
香りは、ラフロイグ特有のヨード香やピート香、そして酸味の効いたフルーティーさも感じます。味わいはスモーキー、そしてパイナップルのようなフルーティーさ、余韻にはレモンのようなフレッシュさも感じられます。
おすすめはやはりストレートです。ラフロイグのしっかりした味わいと熟成したフルーツの味わいをじっくり楽しんでください。希少価値が高いため、バーで探すのがおすすめです。
ラフロイグの歴史
次にラフロイグの歴史を紹介します。
ラフロイグは、1815年にジョンストン兄弟によって設立されました。1810年にアイラ島ラフロイグ地域へ移住後、家畜の仕事と同時進行でウイスキー製造を始めました。作り出してからすぐに人気になり1815年に本格的に蒸留所として稼働しました。
ジョンストン兄弟の子孫が運営を続けていましたが、1887年にハンター家によって買収されました。その後、ハンター家により経営がされていましたが、当時のハンター家当主イアンハンターの遺言により経営権が1954年に「ベッシーウィリアムス」と言う女性に移ります。
スコッチウイスキーで最初に女性のオーナーとなったベッシー・ウィリアムス氏は、元々イアンハンターの秘書でした。二人の出会いは何とも偶然でした。
ベッシーは、グラスゴー大学薬学部を出た後、職がなかなか見つからず速記ができる秘書としてアルバイトの日々を送っていました。不況により、薬剤師としての働き口がありませんでした。
そんな中、たまたまベッシーはアイラ島に旅行に行き、1つの商店に立ち寄ります。その商店でベッシーは、イアンハンターの秘書が病気で、代わりに速記ができる人を探しているという話を聞きました。
ベッシーはイアンハンターの秘書に応募し、臨時秘書として、一時的に働きます。働く中で、イアンハンターのウイスキー造りにまっすぐな人柄に惹かれてそのままアイラ島に残ることになります。イアンハンターのそばで働く中で、1946年にラフロイグ蒸留所の蒸留責任者になります。
ウイスキー作りは全くの素人でした。
経営権が移った後、ベッシーは多くの改革を行いました。蒸留所の大改修、フロアモルティングの導入、テネシー産バーボン樽の導入など今のラフロイグのレシピのベースを作ったりしました。
薬品っぽいラフロイグを薬学部出身の彼女が造っていたのは面白いですね。(たまたまだと思いますが。。。)
そのため、ラフロイグの200年を超える歴史の中でも特にベッシーの活躍は素晴らしいものだったと言われています。ちなみに、ベッシーはお酒をあまりのまなかったそうで蒸留所の責任者として働いている間もほぼ飲まなかったようです。
その後、様々な会社がラフロイグ蒸留所を買収しましたが、現在はビームサントリー社がオーナーとなっています。
ラフロイグの製法の特徴
最後にラフロイグの製法の特徴を解説します。
ラフロイグは、アイラ島のラフロイグ地域に蒸留所を構えており、ポートエレン蒸溜所とアードベッグ蒸溜所の間に位置しています。ラフロイグという言葉はゲール語で「広い湾のそばの美しい窪地」という意味を持っており豊かで質の高いピートと美しい海に囲まれています。
ラフロイグの特徴はなんといっても強い個性のあるピート香やヨード香です。これらを作り出しているのが、ヘザー(ツツジ科)とコケ類・海藻を含んだ比較的水分量の多いピートです。
また、ラフロイグでは伝統的なフロアモルティングを採用しているのも特徴です。フロアモルティングはモルトを攪拌して空気に触れさせる作業のやり方の1つです。時間もコストもかかるため、現在は数える程の蒸溜所しか採用していない製法です。
フロアモルティングで攪拌したモルトをヘザーやビートで乾燥をさせます。この乾燥に30時間ほどかけるため、その間に特徴的なスモーキーな香りを産みだします。
ちなみに、ウイスキーの世界では、フェノール値(別名ピート値)という指標でスモーキーさを測られることがあります。ピートを使って乾燥させた後の麦芽をのフェノール値を測ります。ラフロイグは40~45ppmと言われています。キルホーマンは、50ppmで、アードベックは、55ppmと言われています。
ただこの値は、ピートの燻煙で乾燥させた大麦麦芽を使って測るものです。完成品としてのウイスキーの液体で図るものではないので、スモーキーさの基準の一つにはなりますが、完成品の香りとは直結しません。ラフロイグはスモーキーなウイスキーですが、そのスモーキーさはぜひ飲んで確かめてみてください!
まとめ
ラフロイグについてまとめました。独特なスモーキーさにより、これを飲んでウイスキーが嫌いになってしまう人もいるみたいですが、この記事を読んでいただいているようなウイスキー好きの方ならぜひいちど試してみてください!「アイラモルト、アイラ島のウイスキー」を語りましょう!
アイラ島のウイスキーもスコッチウイスキーの一種です。スコッチウイスキーを知りたい方は以下の記事からどうぞ!