こんにちは。Peaty編集部です。
スペイサイドウイスキーとは、スコットランドのスペイサイドという地方で作られているウイスキーを指します。
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いわゆるスコッチの中でも「華やかな味」が特徴といわれています。
この記事ではそんなシングルモルトの王道、スペイサイドウイスキーを紹介いたします。
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POINT
- スペイサイドはスコットランドの「ハイランド」と呼ばれるエリアの一部
- スペイサイドには、ウイスキーの売上1位~3位を誇る蒸溜所が集まっている
- 古くから環境面が製造に適していたこと、そして酒税法から逃れて密造しやすかったことからウイスキー作りが盛んに行われた
- スペイサイドモルトの特徴は、華やかな味わいと、甘い香り。とてもクセが少ないので、初心者の方やウイスキーに馴染みのない方にもおすすめできるウイスキーが多い
スペイサイドについて – Speyside-
スペイサイドは、スコットランド北部ハイランド地方にあるスペイ川を中心としたエリアです。スペイサイドには、スコッチウイスキー売上1位〜3位の蒸留所が存在しています。
東京都ほど小さなエリアに、スコッチのモルトウイスキー蒸留所の半数以上が集約していると言われています。スコットランドの中の「ハイランド」という地方の中にスペイサイドは位置します。「ハイランド」自体もスコッチウイスキーの産地として有名な場所の一つです。
しかし、スペイサイドはスコッチにとって重要なエリアのため、独立して「スペイサイドのウイスキー」と言われます。ウイスキーを語る場合は「ハイランド」と「スペイサイド」を分けて考えるのが一般的なのです。(ちなみに、スペイサイドは街や島ではないので、ハイランドとの境界線はしっかり決まっているわけではありません。)
ちなみに、スペイサイドは更に細分化でき、以下の8つに分類することができます。
- スペイ川中・下流地域
- フォレス地区
- エルギン地区
- キース地区
- バッキー地区
- ローゼス地区
- ダフタウン地区
- リベット地区
スペイサイドでウイスキー作りが盛んな理由
ハイランドやローランドに比べると面積が小さいエリアであるスベイサイドが、他をしのぐほどウイスキーで栄えた要因は2つあります。
1つ目は、ウイスキー造りに適した環境が揃っていたことです。
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大麦の一大産地であること、スペイ川のきれいな水、澄んだ空気、ピート、熟成に適した冷涼な気候などウイスキー造りに重要な要素が揃っていました。
2つ目は、ウイスキーの密造がしやすい地域であったことです。
1707年、イングランドとスコットランドが合併した際、イングランド政府がウイスキーに高額な酒税を課しました。
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その結果、谷が多く緑の溢れる地域で地理的に隠れやすかったスペイサイドが密造の場所として選ばれました。
この出来事がきっかけでウイスキーの貯蔵に樽を用いることや、大麦麦芽の乾燥にピートを使用することが始まったとされています。政府から逃れるためにとった行動が、現在のウイスキーにとって重要な基盤になっています。
やがて1823年の酒税法改正により「密造時代」は終了し、1824年にスペイサイドのグレンリベット蒸留所が政府公認第一号とされたのをきっかけに、政府公認の蒸留所がスペイサイドでどんどん増えていきました。
ちなみに、スペイサイドの蒸留所は「グレン(=谷)」がつくものが多いことからも谷が多い地域であることがうかがえます。
スペイサイドのウイスキーの特徴
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スペイサイドウイスキーの特徴はバランスに優れていることです。
お花などの華やか(エステルとも表現されます)な香りと甘くフルーティーな味わいで一般的には飲みやすく、ウイスキー初心者にも試しやすいものが多く造られています。
スコッチの中ではアイラモルトと反対の特徴をもっています。(アイラモルトは一般的に煙く男らしい味わいと言われています。)
代表する蒸留所とそれぞれの特徴
1)ザ・グレンリベット蒸留所 – The Glenlivet –
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1707年のウイスキーの増税後、初の「政府公認蒸留所」として有名な蒸留所です。酒税法が改正された後の1824年に創立。2014年からは次に紹介するグレンフィディックを抜いて、シングルモルトウイスキー売上世界1位のウイスキーを製造しています。
名前の前に「ザ」がついているのを不思議に思う方もいるかもしれません。その理由は、他の「グレンリベット蒸留所」と区別をするためにつけられました。
1800年代後半、品質が高く、評判となっていたグレンリベットのシングルモルトにあやかろうと「グレンリベット」と名前をつける蒸留所が乱発しました。本家のグレンリベット蒸留所は、裁判所に訴え、勝訴し、本物であることを示すためにグレンリベットの前に「ザ」をつけるようになりました。
ザ・グレンリベット蒸留所はスペイサイドの中でも良水や空気が揃っている地域にあります。その環境を存分に活かすため、ノンピートで香りをよりエレガントなものに仕上げています。
代表的な銘柄は、ザ・グレンリベット12年です。
ノンピートでフルーティーな香りと芳醇な甘さが飲みやすく、初心者でも試しやすいシングルモルト。ストレートでも、ハイボールでも美味しくいただけます。人気が高い理由も納得です。
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グレンリベットについては以下の記事で取り上げておりますので、よかったら一緒に読んでみてください。
2)グレンフィディック蒸留所 – Glenfiddich –
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1887年に創立し、当初から現在までファミリー経営で伝統と品質を守り続けいている蒸留所です。世界で初めてシングルモルトを発売したのもこの蒸留所になります。
蒸留から瓶詰めまですべてを自社で行なっており、そのこだわりのファミリー経営で世界でも人気を誇る素晴らしい味わいと品質に繋がっているのではないでしょうか。
代表的な銘柄は、グレンフィディック12年です。
特徴は、洋梨のようなフルーティーな香りと軽やかな上品な口当たりで、フルーティーでクセが少なく女性にもおすすめのウイスキーです。
また、グレンフィディックの特徴であるボトルのロゴと三角形の形にはそれぞれ意味があります。鹿のロゴは、グレンフィディック(=鹿の谷)という意味を表現しています。ボトルの三角形は、「水・麦芽・風土」の3つを表しています。グレンフィディックの絶妙な味わいは、この3つの要素がが三位一体となり完成することを表現するために、考案されたデザインです。
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グレンフィディックについても別の記事でまとめております。ぜひ合わせて読んでみて下さい!
3)マッカラン蒸留所 – Macallan –
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マッカランは日本でも非常に人気なウイスキーのため、一度は名前を聞いたことがある人が多いのではないでしょうか。1824年創立で歴史も長く、政府公認第2号蒸留所としても有名です。
この蒸留所のポットスチルはスコットランドでも最大級で、蒸留器はスペイサイド最小のものを使用しています。この小さな蒸留器により滑らかなクリーミーさが生み出されています。
樽は材木から自社栽培したものを手作業で一から作っており、さらにシェリー樽熟成にしていることで独特な甘い香りが楽しめます。シェリー樽熟成を代表する銘柄となっています。
原料・製造方法・貯蔵全てにおいてこだわりが詰まったウイスキーは世界でもとても高い評価を得ています。
代表的な銘柄は、マッカラン12年です。
こだわりが詰まったシェリー樽で熟成されたウイスキーは、華やかでフルーティーな香りと滑らかな口当たりです。スパイシーさも感じられ、高級感のある名酒で「シングルモルトのロールスロイス」として表されます。日本でも見かけることが多いマッカラン。これからウイスキーに挑戦してみたい方はぜひ一度お試しください。
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4)グレンファークラス蒸留所 – Glenfarclas –
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1836年創立、長い歴史の中でファミリー経営を続けている数少ない蒸留所の1つです。
ウイスキー好きで知られるイギリス初の女性首相サッチャー首相が好んでいたことでも知られる蒸留所です。ちなみに、グレンファークラスとは、緑の草の生い茂る谷間という意味となります。
特徴は、スペイサイドでも最大級のポットスチルを使い、伝統的な直火の製法を続けていることです。(現在は、蒸気によって熱を与える製法が多い)
また、全てシェリー樽で造られておりとても濃厚な香りと味わいを楽しめます。ベンネリス山の麓に蒸留所がありこの山の湧き水を水源としています。
代表的な銘柄は、グレンファークラス12年です。フルーツを彷彿させるシェリー香とカラメルやレーズンのような濃厚な味わいでスパイシーさもあり絶妙なバランスを楽しめます。5,000円以内で購入できるのでコスパも良いウイスキーです。
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グレンファークラス蒸留所のコスパの良さという意味では、グレンファークラス105もおすすめの銘柄です。
カスクストレングスで1リットル1万円以内で購入ができるのでコスパ最強とも言われています。イギリス初の女性首相サッチャー首相が好んでこの銘柄を飲んでいたと言われていますです。
シェリー樽熟成のウイスキーが好きな方におすすめです。
グレンファークラスについては以下の記事でまとめています。今でも家族経営を続けている蒸溜所のその歴史をご確認ください!
スペイサイドウイスキーフェスティバル
スペイサイドでは毎年、ウイスキーフェスティバルを行っています。2023年は 4/26~5/1の日程で行われるようです。
スペイサイドにある多数の蒸溜所だけではなく、バーやスペイサイド内の名所などでこの期間に500以上のイベントが開催されます。英語ページですが、以下から詳細を見れますのでその期間にイギリスを訪れる方は参加されてはいかがでしょうか。
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まとめ
スペイサイドについてまとめました。いかがでしたでしょうか。スコッチ全体についてもっと知りたい!世界のウイスキーについてもっと知りたい!と言う場合はぜひ以下の記事も参考にしてみてください。
2023年夏には、今まで日本では未発売であった「ブレイズ・オブ・グレンリベット」もついに初上陸となりました。「ブレイズ・オブ・グレンリベット」が属する「シックレット スペイサイド」から、ロングモーンの独立というニュースも入ってきています。
長い歴史を持ちながらも、常に進化を続けるスペイサイドのウイスキー。ぜひ一度味わってみてくださいね。