グレングラント(GLENGRANT)は、スコッチウイスキーの一種です。スコットランドの有名なウイスキー産地のひとつであるスペイサイド地方で作られています。
この記事では、グレングラントを詳しく紹介していきます。グレングラントのことを深く知りたい人、グレングラントを今まさに頼もうか買おうか迷っている人の参考になるような情報を提供していきます!
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POINT
- グレングラントは1840年にグラント兄弟によって創業された蒸溜所
- 首の部分が細長いポットスチルを使う、蒸溜所に電灯をつけるなど、当時としては他にない取り組みをする先進的な蒸溜所
- 現在はイタリアのカンパリ社によって運営されているため、イタリアで多く飲まれている
- 雑味のない軽い味わいを目指した製法をしているため、非常に飲みやすい銘柄が多い
グレングラントはこんな時に買う・注文すべき
グレングラントのことを知りたいと思い、この記事を読んで頂いてる皆さん。結局、ボトルを買うべきか、今飲むべきかで迷っていると言う方も多いかと思います。
そんな方の決断をサポートするために、場面ごとに買うべきか・注文すべきかpeatyなりの見解を示したいと思います!代表的なラインナップについて、記載させていただきます!
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味わいとラインナップ
スコットランドのスペイサイド地方で造られているグレングラント。
蒸留所のオーナーはイタリアのカンパリ社で、イタリアでは「ウイスキーといえばグレングラント」というほど知られている銘柄です。
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日本ではあまり知られていませんが、世界的なウイスキーの賞を受賞したことが何度もあり、高い評価を受けています。
それでは各ラインナップごとに細かくその特徴を紹介していきましょう。
- グレングラント アルボラリス
- グレングラント メジャーリザーブ
- グレングラント 5年
- グレングラント 10年
- グレングラント 12年
- グレングラント 16年
- グレングラント 18年
- グレングラント 25年
- グレングラント 30年
グレングラント アルボラリス
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グレングラントの創業180周年を記念し2020年にリリースされたグレングラント アルボラリス。
アルボラリスは「木漏れ日」という意味で、蒸留所の隣にある庭園に光が降り注いでいる様子にインスパイアされて、名付けられました。
フレッシュで爽やかなフルーツ、ハチミツやバニラのような香り。
味わいもフルーティーでほんのり甘く、クセがないのでウイスキー初心者にもおすすめです。2,500円程度で購入できるというコスパの良さから、SNSやYouTubeなどでも度々取り上げられていた人気のアイテムです。
ハイボールで飲むとさっぱり飲みやすく、ストレートならグレングラント アルボラリスならではのフルーティーな風味を感じられます。
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グレングラント メジャーリザーブ
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グレングラントの看板ともいえる「グレングラント メジャーリザーブ」。
りんごやマスカット、レモンピールのような爽やかでフルーティーな香りが特徴。
味わいはりんごの甘さとシリアルの香ばしさに、アーモンドのナッティな風味がプラスされています。
グレングラントの全シリーズの中で、最もフレッシュで軽やかなアイテムです。
残念ながら国内では終売になってしまったので、見かけたら購入しておきましょう。
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グレングラント 5年
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グレングラント 5年はイタリアで最も人気のあるアイテム。
柑橘や青草のような香りです。
味わいは初めは青りんごやハチミツ、徐々にシリアルの香ばしさ、最後はカカオのような苦みも感じます。
爽やかで軽いウイスキーなので、暖かい日に明るいうちから飲むのにも向いているでしょう。
イタリアに優先販売されてしまうので、国内ではなかなか見かけることができない銘柄です。お店などで出会えたらぜひ飲んでみてください。
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グレングラント 10年
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前述したグレングラント 5年よりリッチな味わいになったグレングラント 10年。
「ウイスキーバイブル2017」で、ベストシングルモルトスコッチウイスキー(10年以下熟成部門)に5年連続で選出されている注目のアイテムです。
青りんごや洋梨にバニラビーンズやバタースコッチが加わることにより、濃厚な香りになっています。
味わいは、バニラクリームフィナンシェ。口あたりは飲みやすいですが、ボディには厚みがあるのが特徴です。
ハイボールで飲むのがおすすめ。
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グレングラント 12年
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2016年にリリースし、その年の「インターナショナル・ワイン・アンド・スピリッツ・コンペティション2016」で金賞をとったグレングラント 12年。
さらに、2017年のサンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティションでダブルゴールド賞も受賞していて、グレングラントのフラッグシップ的な存在です。
ノンピートモルトを使い、バーボン樽とシェリー樽で12年以上熟成させた原酒を使用、透き通った明るいゴールドの色合いが特徴。
青りんごやレモンのようなフルーティーさと、バタースコッチやバニラのような甘くて香ばしい香りで、華やかな印象です。
味わいはバナナやバニラ、ローストしたアーモンドや麦芽クッキー、オレンジピールを感じさせます。水割りで飲むと香りが際立つのでおすすめです。
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グレングラント 16年
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バーボン樽で16年以上熟成させた原酒を使用したグレングラント 16年。
洋梨やシトラス、バニラ、天津甘栗など、さわやかでほっこりする香りです。
味わいは、レモンケーキや麦芽ウエハースなどスイーツのような印象。
クセがないので、ウイスキー初心者も飲みやすいでしょう。
こちらも残念ながら終売になっているので、バーなどで運良く出会えたら味わってみてください。
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グレングラント 18年
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2016年にリリースされたグレングラント 18年。
原料はノンピートの大麦麦芽のみ、主にバーボン樽で18年以上熟成した原酒を使っています。
「ウイスキーバイブル2017」スコッチウイスキー部門の最高賞である「スコッチウイスキー・オブ・ザ・イヤー」を受賞。
熟れたリンゴやシナモン、ウエハースのような香りで華やかな雰囲気です。
味わいはキャラメルや枝つきのレーズン、バニラクリーム。
リッチな風味ですが親しみやすく、スペイサイドウイスキーならではの味わいを楽しめます。
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グレングラント 25年
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バーボン樽で熟成させた後、シェリー樽で追熟したグレングラント 25年。
1981年にチャールズ皇太子とダイアナ妃の結婚を記念して、世界で800本限定でリリースされたレアなアイテムです。
ヘザーハニーの香りと、レーズンの味わい、わずかにピート香も感じます。
全体の風味には、シェリー樽のニュアンスが強く出ていることが特徴です。
今では入手するのが難しくなっていますが、ボトラーズ(独立瓶詰業者)などが独自にヴァッティングしたアイテムが流通しています。
グレングラント 30年
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グレングラントの開業150周年を記念して、1990年にリリースされたグレングラント 30年。
ブルーベリーや刈ったばかりの湿った草のような新鮮な香りが特徴です。
味わいは、アプリコットやなめし皮、キャラメルの後に黒こしょうや唐辛子のようなスパイシーなニュアンスも。
長期熟成させているので、香りは濃厚で深みのある立体的な仕上がりになっています。
加水して飲むのがおすすめ。
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グレングラントの歴史
スコットランドのスペイサイド地方、スペイ川下流の街にある「ローゼス」にあるグレングラント蒸留所。
小さな町ですが昔からウイスキー造りが盛んで、グレンロセスやスペイバーン、グレンスペイなどの蒸留所もあります。
ウイスキーの町で造られたグレングラントがイタリアを代表するブランドになるまでには、バイタリティ溢れる創業者の息子の存在がありました。
スペイサイドに鉄道を敷いた創業者
グレングラントは1840年に創業。
創業者はジェイムズ・グラントとジョン・グラントの兄弟で、兄は法律家、弟は穀物商でした。
弟のジョンはアベラワー蒸溜所で蒸溜技術を学んでいて、政府から蒸留所設立の許可が下りるまでは違法にウイスキー造りを行っていました。
また、少し余談ですが、兄のジェイムズはスペイサイドに鉄道を敷いた人物としても知られています。鉄道が通ったことで、大量のウイスキーを輸送できるようになり、スペイサイドの蒸留所に大きな恩恵があったのです。
このことにより、ジェイムズは貴族の仲間入りを果たすことになりました。
知識と行動力のある兄弟がタッグを組んだことにより、グレングラントはさまざまな革新的な取組を行っていました。例えば、スコットランドの蒸留所で初めて電灯を導入したのもグレングラント蒸留所でした。
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破天荒な息子が大活躍
ジェイムズ・グラントとジョン・グラントの兄弟2人が他界した後、グレングラント蒸留所を継いだのが、兄のジェイムズの息子で、父と同じ名前の息子ジェイムズ。
恵まれた環境で育ったからか、自由奔放で自分の気持ちの赴くままに生きているような人物でした。
3回結婚していて子どもは8人、旅行好きでアフリカやインドなどを飛び回る日々。
スコットランドで初めてロールスロイスに乗った人としても知られています。
一見、破天荒で自由な印象のジェイムズですが、好奇心旺盛で、じつは仕事への熱い思いもありました。グレングラント蒸留所の特徴でもある首が細長いポットスチルを開発したのもジェイムズでした。
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また、1897年には蒸留所の向かいに「グレングラントNo.2」と名付けた新しい蒸留所を建設。
建設後は家族で経営していましたが、1953年にグレンリベットと合併し、その後「キャパドニック」と改名されましたが今は閉鎖されています。
オーナーがカンパリ社に変更
グレングラント蒸留所はその後、1977年にシーグラム社、2001年にペルノ・リカール社にオーナーが変更になりました。
2006年から現在までイタリアのカンパリ社が運営しています。そして、イタリアで一番飲まれるシングルモルトに成長したのです。そのシェア率はなんと70%。イタリアでウイスキーといえば、グレングラントとまで言われています。
グレングラントの製法の特徴
好奇心旺盛で金銭的な余裕もあったジェイムズ・グラントにしかできなかったこだわりが、製法の随所にも散りばめられています。
ここからは、グレングラントの製法の特徴を紹介していきましょう。
黒い仕込み水
グレングラントの製法の大きなポイントが仕込み水。
グレングラント蒸溜所の背後にあるグレングラント川の水を使用しているのですが、この水はコーヒーのような黒い色をしていて「ブラックバーン」とも呼ばれています。
この黒い色の秘密はピート。
何層にも折り重なるピートの層を抜けた水が、ピート色に着色されているのです。
この水が、グレングラントの爽やかな風味に影響しています。
オレゴンパイン製の発酵槽を使用
オレゴンパイン製の発酵槽を10基使用し、生産能力は年間約620万リットル。
これは、スペイサイドの蒸留所の中では多い生産量です。
ポットスチルが最大の特徴
グレングラント蒸留所の最大の特徴がポットスチルの形。
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一般的なバルジ型のスピリットスチルと、仏舎利塔のような変わった形のウォッシュスチルの2種類を使っているのですが、細長く背の高いポットスチルを使用すると雑味のある重いスピリッツを省けるのでライトなウイスキーに仕上がります。
このポットスチルを開発したのが息子のジェイムズ。
当時のスペイサイドのウイスキーはヘビーな味わいのウイスキーが多い中、世界ではライトな味わいが求められていると考えたことがきっかけでした。
これも、世界中を自由に旅していたジェイムズならではの発想でしょう。
精溜器をすべてのスチルに設置
仏舎利塔のような形のポットスチルで蒸留を行った際、軽い蒸気のみを集めることができる精溜器をすべてのスチルに設置しています。
精溜器に通すことにより、アルコールの蒸気が精溜器の銅に触れるので、金属反応で雑味を取り除いてくれる効果があるのです。
グレングラントでは2回の蒸留のたびに精溜器を通すので、雑味のないフルーティーで華やかな味わいに仕上がっています。
まとめ
グレングラント(GLENGRANT)についてまとめました。コスパに優れたウイスキーといえます。家でも試しやすいので、ぜひ買ってみてくださいね!
他のスペイサイドのウイスキーについてもまとめてますので合わせて読んでみてください!