グレンマレイ(Glen Moray)は、スコッチウイスキーの一種です。スコットランドの有名なウイスキー産地のひとつであるスペイサイドで作られています。
この記事では、グレンマレイを詳しく紹介していきます。グレンマレイのことを深く知りたい人、グレンマレイを今まさに頼もうか買おうか迷っている人の参考になるような情報を提供していきます!
POINT
- グレンマレイはスペイサイドで作られているウイスキーです
- 1910年には一度停止しましたが、1922年から現在のグレンモーレンジィ社に買収され、営業を再開しました
- 現グレンモーレンジィ社の努力により様々な改修がされ、効率的な生産が可能になりました
- 現在は別のオーナーになっていますが、現オーナーの努力によって様々な樽の原酒が整えられ、豊富な種類のシングルモルトを楽しめます
グレンマレイの歴史
スコットランドのスペイサイド地方中心部エルギンにあるグレンマレイ蒸留所。
今や世界で注目される蒸留所に成長しましたが、その歴史には新たなオーナーとの運命的な出会いと、次々と代わるオーナーの経営方針に翻弄される日々がありました。
前身はビール工場だった
グレンマレイ蒸留所が設立されたのは1897年。地元の実業家が創業しました。
じつはグレンマレイ蒸留所の前身は1828年に設立されたビール工場で、工場を改装して造られたのです。
ビールとウイスキーの製造工程には似ている部分もあり、ビール工場がウイスキーの蒸留所になることは珍しいことではなかったようで、他にも同じような変身を遂げた蒸留所が存在しています。
ちなみにグレンマレイ蒸留所は、ビール工場の前は処刑場だったというエピソードも。
世界恐慌の影響で閉鎖へ…
グレンマレイ蒸留所が設立された数年後、世界恐慌の影響でスコッチウイスキー業界は不況のあおりを受けてしまいます。
多くの蒸留所が閉鎖を余儀なくされる中、1910年についにグレンマレイ蒸留所も製造中止となってしまいました。
新たなスタート
1920年にマクドナルド&ミュア社がグレンマレイ蒸留所を買収、1923年に蒸留所が復活しました。
じつはこの時、マクドナルド&ミュア社はもうひとつ別の蒸留所とどちらを買収するか検討していたそうで、この時選ばれていなかったらグレンマレイ蒸留所はまた違った運命になっていたでしょう。
マクドナルド&ミュア社はフロアモルティングをサラディンボックス式(サラディン式とは?)の製麦に切り替えたり、ポットスチルを導入するなど生産量を上げる施策を行ったり、多くの改修を行ないました。
その後、1996年にマクドナルド&ミュアー社は「グレンモーレンジィ社」に改名。
次々と交代するオーナー
グレンモーレンジィ社は2004年にフランスのモエ・ヘネシー・ルイ ヴィトンに買収されました。
モエ・ヘネシー・ルイ ヴィトンは、グレンマレイ蒸留所にビジター用施設を作るなど積極的な戦略を行ないましたが、思ったように認知度が上がらず2008年に売却されました。実は、グレンマレイは元ルイヴィトンとも言えますね。面白いですね。
その後、フランスの飲料会社「ラ・マルティニケーズ・バルディネ」が新たなオーナーとなり今に至ります。
ラ・マルティニケーズ・バルディネはシングルモルトブームの波に乗り、ラインナップを増やすなどした結果、年間生産量は以前の倍程度に成長しました。
グレンマレイの製法の特徴
リーズナブルでバラエティ豊かなラインナップがそろうグレンマレイ。
先進的な製法を取り入れ、効率良くウイスキー造りをしていることでも知られています。
ここからは、グレンマレイの製法の特徴を紹介していきましょう。
地元の水を使用
グレンマレイの仕込み水は、蒸留所の近くを流れるロッシー川の水を使用しています。
麦芽はマレイ州のものが中心で、ノンピーテッドとピーテッドが半分ずつです。
シングルモルトはもちろん、ブレンデッドの原酒用にも使われています。
積極的な設備投資
グレンマレイ蒸溜所には以前から糖化槽1つ、発酵槽5つがありました。
しかし、ラ・マルティニケーズ・バルディネがオーナーになってからは発酵槽が6槽追加され、2016年にはさらに8槽追加。
セミロイター式のマッシュタンも導入するなどし、生産量は以前の倍になったのです。(セミロイター式についてはこちらから)
ラ・マルティニケーズ・バルディネは綿密な生産拡大計画を立てており、糖化棟と蒸溜棟をコンピューター管理するなど先進的な手法も取り入れていることが大きな特徴。
熟成はバーボン樽中心
約80%はバーボン樽で熟成させていますが、ワイン樽で後熟させるアイテムなどが豊富にあるため、さまざまなタイプと大きさの樽を取り揃えています。
蒸留所には貯蔵庫が10棟ありますが、ダンネージ式とパレット式の両方を採用した新たな貯蔵庫を2棟建設中です。
グレンマレイはこんな時に買う・注文すべき
グレンマレイのことを知りたいと思い、この記事を読んで頂いてる皆さん。結局、ボトルを買うべきか、今飲むべきかで迷っていると言う方も多いかと思います。
そんな方の決断をサポートするために、場面ごとに買うべきか、注文すべきかpeatyなりの見解を示したいと思います!代表的なラインナップについて、記載させていただきます
味わいとラインナップ
グレンマレイは、スコットランドのスペイサイド地方で造られているシングルモルトウイスキー。
シングルモルトウイスキーは価格の高いものも多いなか、2,000円前後で入手できるアイテムも多く、家飲みにぴったりなブランドとしても知られています。
リーズナブルなだけでなく、飲みやすくておいしい幅広いラインナップがそろっていることも魅力。
日本ではあまり知られていませんでしたが、世界的な評価の高まりとともに取り扱う店舗も増え、注目されています。
それでは各ラインナップごとに細かくその特徴を紹介していきましょう。
- グレンマレイ クラシック
- グレンマレイ クラシック ポートカスクフィニッシュ
- グレンマレイ クラシック シェリーカスクフィニッシュ
- グレンマレイ クラシック シャルドネカスクフィニッシュ
- グレンマレイ クラシック カベルネカスク
- グレンマレイ クラシック ピーテッド
- グレンマレイ 12年
- グレンマレイ 15年
- グレンマレイ 18年
- グレンマレイ 1992 25年 ケイデンヘッド
- グレンマレイ マスタリー
グレンマレイ クラシック
グレンマレイ クラシックは、グレンマレイのフラッグシップ的なアイテム。
バーボン樽で熟成させた原酒を使用しています。
フレッシュなハーブや塩、若草のような香りが特徴。
味わいは潮のようなスパイシーさがあり、アルコールの刺激は弱めなのでライトで飲みやすいです。
ウイスキー初心者の方にもおすすめです。
金額もリーズナブルなので、毎日の家飲みにぴったり。
グレンマレイ クラシック ポートカスクフィニッシュ
前述したグレンマレイ クラシックを8か月間ポート樽でフィニッシュしたグレンマレイ クラシック ポートカスクフィニッシュ。
グレンマレイ クラシックをベースに、バラの花やラムレーズンなどの甘い香りをプラスした印象で、レモンやスパイスなどの味わいです。
ハイボールで飲むと、甘さが引き立ち、ポート樽ならではの風味を楽しめます。
グレンマレイ クラシック シェリーカスクフィニッシュ
グレンマレイ クラシック シェリーカスクフィニッシュもグレンマレイ クラシック ポートカスクフィニッシュと同様の造り方で、グレンマレイ クラシックをシェリー樽で熟成させています。
シェリー樽由来の甘い香りとベリー、ダークチョコレートやバニラのニュアンスも。
洋梨やバニラ、オレンジピールの味わいで、後半にフルーティーな風味が強くなります。
加水して飲むとフルーツのみずみずしさが感じられる味わいになるでしょう。
グレンマレイ クラシック シャルドネカスクフィニッシュ
グレンマレイ クラシックを シャルドネ樽で熟成させたグレンマレイ クラシック シャルドネカスクフィニッシュ。
バニラや洋梨、シナモンなど、酸味がありフルーティーな香りが特徴です。
樽香がしっかり感じられる味わいで、レモンピールやレーズンのニュアンスも。
飲み口がすっきりしているので、初心者も飲みやすいアイテムです。
ストレートで飲むのがおすすめ。
グレンマレイ クラシック カベルネカスク
グレンマレイ クラシックをカベルネ・ソーヴィニヨンの樽で約14か月熟成させたグレンマレイ クラシック カベルネカスク。
はちみつやトフィー、りんごの香り。
バニラやスパイス、ダークチョコレートの味わいです。
赤ワインの風味を感じる、リッチでフルーティーなアイテム。
ロックで飲むとグレンマレイ クラシック カベルネカスクらしさを存分に楽しめるのでおすすめです。
グレンマレイ クラシック ピーテッド
ピーテッドモルトを使って造られたグレンマレイ クラシック ピーテッド。
ピート香をしっかりと感じられ、スポンジケーキやダークチョコレートの香りも。
バニラのクリーミーな甘さの後にドライフルーツのフルーティーな味わいを感じます。
ハイボールで飲むのがおすすめ。
ピーテッドウイスキーの入門編としてもぴったりのアイテムです。
グレンマレイ 12年
12年熟成した原酒を使用したグレンマレイ 12年。
バーボン樽で熟成させた原酒をファーストフィル、セカンドフィル、サードフィル、それぞれ6:3:1の比率でヴァッティングしています。
そして、白ワインのシュナン・ブランの樽で後熟させていることが特徴。
バニラやシトラスなどのフルーティーな香りで、洋梨や白ブドウ、バニラのような味わいです。
ロックで飲むとグレンマレイ 12年らしい個性を引き出してくれます。
グレンマレイ 15年
アメリカンオーク樽とシェリー樽で熟成させた原酒を使ったグレンマレイ 15年。
過去にラインナップにあったグレンマレイ16年の後継的な立ち位置のアイテムです。
グレンマレイ16年より高い比率でシェリー樽の原酒をヴァッティングしています。
バニラやラムレーズン、ハチミツ、オレンジの香り。
味わいはバナナやダークチョコレートのような濃厚な甘さの中にレモンのさわやかな風味を感じます。
コクがあって飲み応えがある、シングルモルトファンにおすすめの1本。
グレンマレイ 18年
オフィシャルリリースされている中で、ハイエンドモデルとなるグレンマレイ 18年。
最高級のアメリカンオークバレルで熟成させています。
バニラや生クリーム、メイプルシロップの濃厚な甘い香り。
メイプルシロップやりんごの奥に白い花やホワイトペッパーのニュアンスを感じる味わいです。
高価格帯なので、バーなどでゆっくり楽しむと良いでしょう。
グレンマレイ 1992 25年 ケイデンヘッド
ホグスヘッドで25年熟させたカスクストレングスのグレンマレイ 1992 25年 ケイデンヘッド。
黄桃やホワイトチョコレートの香り、シロップ漬けの洋梨やシナモンのようなスパイスを感じる味わいです。
甘い風味が特徴なので、食後にゆっくり楽しむのにぴったり。
グレンマレイ マスタリー
グレンマレイ マスタリーは、蒸留所の創設120周年を記念してボトリングされました。
シェリー樽・マデイラ樽・ポート樽など5種類のヴィンテージ原酒から造られていて、1,000本限定の稀少価値の高いアイテムです。
花の蜜やアプリコット、メイプルシロップの香り。
アップルパイやヘーゼルナッツ、濃厚なカスタードクリームの味わいの中にナツメグやシナモンのスパイスの風味も感じます。
なかなか出会えないアイテムなので、もしも飲む機会があれば、ゆっくり時間をかけて味わいましょう。
まとめ
グレンマレイは、まだそこまで日本では知られていないブランドかなーと感じていますが、安くて美味しいブランドのひとつ。これを機に、ぜひ1本買ってみておうちで飲んでみてください!
スペイサイドではグレンマレイ以外にも多くのブランドが作られています。世界的に有名なブランドの多いエリアですね。そんなスペイサイドモルトについて知りたい方は以下の記事も読んでみてください!
スペイサイドモルトについては他にもまとめてますので、合わせて読んでみてください!