バスカーは、アイルランドのロイヤルオーク蒸溜所で造られているウイスキーです。
この記事では、バスカーのことを深く知りたい人やバスカーを今まさに頼もうか買おうか迷っている人の参考になるような情報を提供していきます!
- バスカーはアイルランドにあるロイヤルオーク蒸溜所で造られるウイスキーの銘柄。
- ロイヤルオーク蒸溜所は、ポットスチル・モルト・グレーンの3種類のウイスキーを同蒸溜所内で製造できる、アイルランド唯一の蒸溜所。
- 地元産の原料と伝統製法、そして最新鋭の技術が融合したアイリッシュウイスキーといえる。
- 日本でも人気が高く、多くのスーパーや、コンビニでも扱っている。手に入れやすい銘柄。
ウイスキー バスカーの歴史
ウォルシュ夫妻による「ウォルシュ・ウイスキー社」の設立
バスカーの歴史を語るにあたり、外せないのが「ウォルシュ・ウイスキー社」です。
「ウォルシュ・ウイスキー社」は、バーナード・ウォルシュとローズマリー・ウォルシュ夫妻によって1999年に設立された家族経営の会社でした。彼らが目指したのは、「19世紀のアイルランドのウィスキー蒸留のレシピを再現すること」でした。
19世紀はアイリッシュウイスキーの黄金時代。彼らは、過去を尊重しつつも、バーナードとローズマリーは現代の嗜好に合わせた真に革新的な新しい表現を導入し、ウィスキーを現代風に進化させようとしました。
そこで生まれたのが、「アイリッシュマン(The Irishman)」と「ライターズティアーズ(Writers’ Tears)」というブランドでした。「ロンドン インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ」や、「ジムマーレイ ウイスキーバイブル」などで高評価を受けているウイスキーでした。
これらのウイスキーの原酒は、ミドルトン蒸留所で作られていました。アイリッシュウイスキーがお好きな方はわかるかと思いますが、ミドルトン蒸留所といえば、「ジェムソン(JAMESON)」ですよね。
ウォルシュ・ウイスキー社は、自前の蒸留所を持っておらず、ウイスキーの原酒はミドルトン蒸留所で作っていたんですね。
ちなみに、「アイリッシュマン(The Irishman)」と「ライターズティアーズ(Writers’ Tears)」は、今もウォルシュ・ウイスキー社から生産されていますが、原酒はミドルトン蒸留所で作られています。
イルヴァサローノ社の投資により、ウォルシュ・ウイスキー社の蒸留所が設立
そんなウォルシュ・ウイスキー社は、2013年に自社の蒸留所を設立します。その時に資金面で援助したのがイタリアの多国籍企業である「イルヴァサローノ社」でした。
イルヴァサローノ社(Illva Saronno)は、1947年、レイナ家によって設立されたイタリアの多国籍企業です。元々1600年代よりスピリッツ製造には携わっていたレイナ家でしたが、ウイスキー事業に乗り出したのは最近のこと。
CEOのアウグスト・レイナ氏がアイリッシュ・ウイスキーへの事業拡大を目指したことをきっかけに、ウォルシュ・ウィスキー社の蒸留所建設に投資をします。
なんと、イルヴァサローノ社2500万ユーロ(36億円)の資金を提供し、ウォルシュ・ウィスキー社の蒸留所建設を支援します。この蒸留所は「ウォルシュ蒸溜所」と名付けられました。
蒸留所の建物はカーロウにあるアーグリン・グリーブ家の敷地内(18世紀に建てられた邸宅です)に建設され、2015年10月に3つのフォーサイス社製の銅製ポットスチルが設置されました。
最初の生産は、2016年3月27日、イースターの日曜日に行われました。それ以降、この蒸留所では、モルト、ポットスチル、グレーンの3種類のアイリッシュウィスキーを生産しています。
イルヴァサローノ社によるウォルシュ蒸溜所の買収
2019年に、50%の株式を保有していたイルヴァサローノ社が全株式を取得し、蒸留所の完全所有権を取得しまず。その際に「ロイヤルオーク蒸溜所」を名を改めました。
なお、ウォルシュ・ウイスキー社はそれ以降蒸留所からは撤退しています。ウォルシュ・ウイスキー社のHPでは「自社蒸留所を一時的に持ったことは、私達のウィスキーの旅における重要なマイルストーン」と言っています。
まだ歴史の浅い蒸溜所ではありますが、3つのポットスチルと3つのカラムスチルを備えた2つの生産ラインを備えた規模の大きな蒸留所です。(アイルランド内で6番目の規模)
現在アイルランドにおいて唯一、モルト・ポット・グレーン ウイスキーという3種類のウイスキーの製造ができる蒸溜所でもあります。
ロイヤルオーク蒸留所は、2020年に初の製品ライン「バスカー」シリーズをリリースしました。バスカーは誕生から新しい銘柄ですね。歴史に対して、すでに国内外で賞を受賞するような人気のある銘柄にまで成長しています。
バスカーは日本でも人気
日本では、2021年から株式会社ウィスク・イーが輸入総代理店となり、販売が開始されています。ウィスク・イーは、アラン蒸溜所の輸入代理店としてスタートした会社で、スプリングバンク・キルホーマンなど多様なブランドを取り扱っています。
バスカーは、2021年10月の発売後、日本ではそのトロピカルな味わいがハイボールに合うと人気になり、2023年には日本で一番売れたアイリッシュウイスキーとなっています。
また、2024年7月にはシングルシリーズのリニューアルが発表されており、これからの動向も目が離せない銘柄です。
製法の特徴
地元産にこだわり、蒸留所近くから集めた原料を使用
原料には地元産のものを使うことを心がけ、蒸溜所から半径40km以内で調達しています。
水はアイルランドの地下を流れる天然水を使用。
また、自社内での精麦まではしていないものの、同じく半径40km以内にある精麦業者によって精麦された大麦を使用しています。
アイリッシュウイスキーでは、精麦されたモルトと未発芽の大麦を使用するのですが、バスカーも同様です。
アイリッシュの伝統的な製法に則り、モルト自身が持つジアスターゼ(アミラーゼ)による糖化、酵母の作用による発酵を促します。
伝統に則った製法
伝統と革新の融合を掲げてウイスキー製造を行っているロイヤルオーク蒸溜所には、3基のポットスチル(単式蒸溜機)と4基のカラムスチル(連続式蒸溜機)が備えられています。
これらを使い分けることで、モルト・ポット・グレーンという3種のウイスキーを作り上げているのです。
アイリッシュウイスキーの製法の特徴である3回蒸留により、より不純物が取り除かれたポットスチルウイスキー、2回蒸留のモルト、そしてグレーンウイスキーが作られています。
自社のワイン樽を使った熟成
熟成に使用する樽もこだわり、マルサラ樽、バーボン樽、シェリー樽を揃えています。
ロイヤルオーク蒸溜所を運営するイルヴァサローノ社は、そもそもリキュール製造で世界的に有名な企業で、ワインなどの製造も行っています。
それらのワインの樽をウイスキー作りに役立てているのです。
特にバスカーの特徴であるマルサラ樽に使用されているのは、イルヴァサローノ社の老舗トップブランドである「フローリオ」のもの。
ここにも、自社の伝統的ブランドと新進気鋭のウイスキー部門との融合を見ることができます。
マスターブレンダーには、エドリントン社の元マスターブレンダーで、知る人ぞ知る名手ジョン・ラムゼイ氏を招き、丁寧に作られた原酒の魅力が活きる調合を実現。
シェリー樽でのダブルエイジ製法を用いています。
ボトリングは、より魅力を引き出せる高めのアルコール度数である46.3%を設定しています。
味わいとラインナップ
- バスカー トリプルカスク トリプルムース
- バスカー シングルモルト
- バスカー シングルグレーン
- バスカー シングルポットスチル
バスカー トリプルカスク
「バスカー トリプルカスク」はバスカーのいわゆる定番品で、一番見かけやすいウイスキーです。緑バスカーですね。
これから紹介した3種のウイスキーを絶妙なバランスでブレンドして出来上がったのが、「バスカー トリプルカスク」です。
シングルグレーンをベースに、シングルモルトとポットスチルを配合したこの一品は、口に含むと南国フルーツとバニラの甘い香りに始まり、複雑な味わいが口いっぱいに広がります。
モルトの香ばしさ、トフィーの甘さやシナモンといったスパイシーさ、ダークチョコレートの風味など複層的な魅力の数々が、フィニッシュまでまろやかかつバランス良く続きます。
その驚くほどの滑らかさの秘密はロイヤルオーク蒸溜所にある3つの樽すべてを使った丁寧な熟成にあり、まさにバスカーの魅力を存分に味わえる一品といえるでしょう。
WWA2024銀賞の評価を受けた、世界的に人気のあるウイスキーです。
バスカー シングルモルト
バスカー シングルモルトは、2回蒸留ののち、アメリカンオークのバーボン樽とオロロソシェリー樽を用いて熟成された一品です。
フルーティな華やかさとともに、松の風味や麦の香ばしさも感じられ、複雑かつ贅沢な味わいです。
一口でチョコレートの風味が口の中に広がり、まろやかで甘い余韻がフィニッシュまで続きます。
WWA(ワールド・ウイスキー・アワード)2024やWSC2021で金賞を受賞し、世界的にも評価の高いウイスキーとなっています。
バスカー シングルグレーン
バスカー シングルグレーンは、アメリカ産のバーボン樽とカンティーナフローリオ1833のマルサラ樽を使用し熟成されます。
淡いストロー(麦わら)の色をした、繊細な味わいの一品です。
バニラやキャラメルの甘さとオークがフィニッシュまで豊かな余韻を漂わせ、その色のように干し草の風味もほのかに感じられます。
WSC(ワールド・スピリッツ・コンペティション)2021での銀賞など、複数の賞を受賞しています。
バスカー シングルポットスチル
モルトとノンモルトを原料として用い、3回蒸留を経て作られる「バスカー シングルポットスチル」は、まさにアイリッシュウイスキーの呼び名にふさわしい一品です。
口に含むと、スパイスとペッパーの風味が感じられ、続いてトフィーのような甘さなどが多層的に広がります。
一口口にするたびに花や蜂蜜、オークやクローブのような香りを鮮やかに感じられ、フィニッシュに向けては、リッチさやスパイシーさの余韻が長く残ります。
まとめ
バスカーについてまとめました。バスカーはぜひハイボールで飲んでほしいウイスキーです。爽やかで、華やかな味わいを楽しむことができ、なんといってもコスパも抜群です。ぜひご自宅に1本おいてみてください!