キルホーマン(Kilchoman)は、スコットランドのアイラ島で作られるシングルモルトウイスキーです。
この記事では、キルホーマンを詳しく紹介していきます。キルホーマンのことを深く知りたい人や、キルホーマンを今まさに頼もうか買おうか迷っている人の参考になるような情報を提供していきます!
POINT
- キルホーマンは「ウイスキーの聖地」こと、スコットランドのアイラ島にて作られるウイスキー
- ウイスキー作りの歴史の深いアイラ島で作られているが、キルホーマン蒸留所自体は2005年に建てられた新しい蒸留所
- 歴史は浅いものの、多様なラインナップが揃っており、色々な味わいを楽しめるのが特徴
- 大麦の栽培からボトリングまで、全ての工程を自社で行うことにこだわっていることがキルホーマンの特徴
キルホーマンはこんな時に買う・注文すべき
キルホーマンのことを知りたいと思い、この記事を読んで頂いてる皆さん。結局、ボトルを買うべきか、今飲むべきかで迷っていると言う方も多いかと思います。
そんな方の決断をサポートするために、場面ごとに買うべきか・注文すべきかpeatyなりの見解を示したいと思います!代表的なラインナップについて、記載させていただきます!
味わいとラインナップ
キルホーマンは「ウイスキーの聖地」と呼ばれるスコットランドのアイラ島で造られているシングルモルトウイスキー。
2005年にできたばかりの新しい蒸留所で、ウイスキー造りのすべての工程を自社で行っているという特色があります。
アイラモルトらしい力強いピート感やスモーキーさがあり、バラエティ豊かなアイテムがそろっているというおもしろさもポイントです。
それでは各ラインナップごとに細かくその特徴を紹介していきましょう。
- キルホーマン マキヤーベイ
- キルホーマン サナイグ
- キルホーマン ロッホ・ゴルム
- キルホーマン INAUGURAL 100% ISLAY
- キルホーマン シングルカスクシリーズ
- キルホーマン フィノシェリーカスク
- キルホーマン マデイラカスク
- キルホーマン ポートカスク
- キルホーマン ソーテルヌカスク
- キルホーマン スモールバッチ No1
- キルホーマン 2010 ヴィンテージ
- キルホーマン STRカスク
- キルホーマン アンビュラック9年
- キルホーマン カサド
- キルホーマン ブランブル リキュール
キルホーマン マキヤーベイ
キルホーマン マキヤーベイは、キルホーマンのレギュラーボトル。
3~5年熟成させた原酒をヴァッティングし、バーボン樽とオロロソシェリーバットで熟成しています。
ミックスフルーツやバニラの甘い香りと、麦の独特な香りも感じます。
味わいは、シトラスフルーツやバニラのような濃厚な味わいが強めに出ていることが特徴です。
熟成年数は少ないですが、麦のニュアンスをしっかり感じられることがポイント。
ロックで飲むと、キルホーマン マキヤーベイならではの風味を感じやすくなるでしょう。
キルホーマン サナイグ
オロロソシェリー樽で熟成させた原酒を70%使用したキルホーマン サナイグ。
前述したキルホーマン マキヤーベイはバーボン樽の特徴が良く出たアイテムですが、キルホーマン サナイグは、オロロソシェリー樽の特徴を活かしたアイテムになっています。
ちなみに「サナイグ」とは、キルホーマン蒸溜所から北西に位置する小さな入り江のこと。その名の通り入り江を感じさせる一本になっています。
キャラメルやマーマレード、重厚感のあるピートスモークの香りが特徴。
塩キャラメルやチョコレート、パイナップルのような甘くて濃厚な味わいです。
フルーティーさとスモーキーさのバランスが良く、ウイスキー初心者にもおすすめ。
少し加水して飲むと良いでしょう。
キルホーマン ロッホ・ゴルム
100%シェリー樽を使用していて、年に1回リリースされるキルホーマン ロッホ・ゴルム。
キルホーマンで造られるウイスキーの約80%はバーボン樽で熟成させたものなので、シェリー樽のみを使用しているのはレアケースです。
シェリー樽ならではのドライフルーツと、シナモンに、キルホーマンらしい潮風が香ります。
ダークチョコレートや塩キャラメル、プラムなど味わいにもシェリー樽の特徴が出ています。ストレートで、チョコレートやポテトチップスなどの軽いおつまみと一緒に楽しむのがおすすめ。
キルホーマン INAUGURAL 100% ISLAY
キルホーマン イノーギュラルは、2009年に発売されたキルホーマンのファーストリリースボトル。
「イノーギュラル」には「就任」や「就任式」といった意味があります。
バーボン樽で3年間熟成した後、シェリー樽で半年間後熟。
香ばしい麦の香りの中に、爽やかなシトラスやバニラが広がります。
味わいは、ミックスフルーツやバニラのような濃厚な甘さの中にペッパーなどのスパイスも。
ファーストリリースボトルということで、ストレートでそのままの風味を味わいましょう。
キルホーマン シングルカスクシリーズ
毎年本数限定発売されるキルホーマン シングルカスクシリーズ。
原酒を単一樽から取り出し、そのままそのままカスクストレングスでボトリングしています。
これまでにバーボン樽やシェリーバット、ソーテルヌカスクフィニッシュなどをリリース。
味わいはそれぞれ全く違いますが、いずれもファンからの評価が高いシリーズです。以下に紹介いたします。
キルホーマン フィノシェリーカスク
スペインのミゲル・マルティン社のフィノシェリーの樽ですべての期間熟成させたキルホーマン フィノシェリーカスク。
世界で10,500本のみの限定品で、日本へは660本のみ入荷しています。
フィノシェリー樽由来の、青りんごやシトラスの香りが特徴。
レモンやトロピカルフルーツのフレッシュな味わいの中に、キルホーマンらしいピートスモークも感じます。
珍しいアイテムなので、バーなどで見かけたらぜひ飲んでみてください。
キルホーマン マデイラカスク
熟成の全期間マデイラカスクを使用したキルホーマン マデイラカスク。風味を際立たせるため、アルコール度数50度でボトリングしています。
マデイラの樽はシェリーやポートなどと比べて流通量が極端に少なく、ローストしたナッツやドライフルーツなど マデイラカスクならではの風味と、キルホーマンのスモーキーさが調和したこのアイテムならではの香りが特徴。
シトラスやレーズンなどのフルーティーな味わいと、ダークチョコレートや焦がし砂糖のような苦みがあります。
世界で17,000本の限定リリースで、日本へは990本しか入荷していません。
キルホーマン ポートカスク
ポルトガルの酒精強化ワイン「ルビーポート」樽で熟成した原酒を使った、カスクストレングスタイプのキルホーマン ポートカスク。ルビーポート樽をフィニッシュだけではなく、すべての熟成期間で使用しているのが大きなポイントです。
ルビーポートならではのフルーティーさ、ベリーらしさが際立った仕上がり。
香りもルビーポート由来のドライベリーをしっかり感じ、シトラスや力強いピート、スモークと広がっていきます。ジャムやバニラ、砂糖漬けのレモンピールのような甘みのある味わいです。
世界で10,000本のリリース、日本には480本しか入荷していないレアなアイテムなので、バーなどでじっくり楽しみましょう。
キルホーマン ソーテルヌカスク
バーボン樽で5年間熟成させた後、世界三大貴腐ワインの1つであるボルドーのソーテルヌワイン樽で5ヵ月間追熟したキルホーマン ソーテルヌカスク。
世界で10,000本リリースされていて、日本への入荷は480本です。
アイラらしいピートスモークの中に、ソーテルヌならではの白ワインのねっとりとした甘みを感じられるアイテム。
シトラスの香りのあと、パイナップルやハチミツの香りが広がります。
塩キャラメルやナツメグ、甘草、シナモンの味わいで、ソーテルヌカスク由来ならではの甘さも。
バーなどで、いつもとちょっと違ったアイラウイスキーを楽しみたい時におすすめです。
キルホーマン スモールバッチ No1
バーボン樽70%、マデイラワイン樽25%、シェリー樽5%の割合で原酒を配合したキルホーマン スモールバッチ No1。
キルホーマン蒸留所の創業者であるアントニー・ウィルズのアイデアから誕生した日本市場限定のスモールバッチです。
ピートスモークの香りを強く感じ、その後レモンピールやハチミツ、ショートブレッドの香りが広がります。
3種類の樽を使っていることにより、スモーキーな味わいの中にブラックベリーやダークチョコレートのような味わいがすることが特徴です。
心地よい余韻が続くので、週末のゆったりした時間にぴったり。
キルホーマン 2010 ヴィンテージ
バーボン樽と3種類のオロロソシェリー樽を使用していて、奥行きのある味わいに仕上がっているキルホーマン 2010 ヴィンテージ。
世界で15,000本のみリリースされていて、日本には840本入荷しています。
ピートスモークやレモンのニュアンスの後、焼きたてのパンやシナモンを感じる香りが特徴。
バナナやバニラのような濃厚で甘い味わいです。
レアなアイテムなので、バーなどで出会えたらストレートで味わうことをおすすめします。
キルホーマン STRカスク
世界各地の蒸留所でコンサルティングを行っていたジム・スワン博士考案の樽の再利用方法「STR」を採用したキルホーマン STRカスク。
赤ワイン樽を再利用した特別な樽を使用することで、樽の原料であるオーク材ならではの風味を引き出しています。
サマーフルーツの香りが最も強く、塩キャラメル、ピートスモークの香りも。
シナモンやレモンタルト、バニラ、スモークのような甘くて爽やかな味わいです。
キルホーマン アンビュラック9年
製造の過程で間違ってブレンドしたマキヤ―ベイ用の原酒と、ポートカスクの原酒を数種類の樽で追熟させたキルホーマン アンビュラック9年。
偶然生まれたアイテムなので、これまでに一度しかリリースされていません。
世界で10,550本の限定リリースで、日本への入荷は600本。
ポートカスクらしいフルーティーで甘い香りが特徴です。
そして、味わいもドライフルーツやシトラスのようなフルーティーな風味。
間違いから誕生したとは思えない豊かな風味ですが、この時だけの限定アイテムなので、運よく出会えたらぜひ入手してください。
キルホーマン カサド
バーボンバレルで6年間熟成させた後、ポルトガル赤ワインタンクで2年間後熟させたキルホーマン カサド。
「カサド」はポルトガル語で「結婚」を意味することからもわかるように、キルホーマンの自信作と言えるアイテムです。
焚き火や桃やチェリーなどのサマーフルーツの香りの後に、マジパンの香りで深みを加え、そこに海の香りが調和。味わいは、赤ワインとヴァッティングしているので、初めはこしょうやスパイス、その後は煮詰まった甘いジャムのような風味に変化します。
世界で12,900本リリースされていて、日本へは516本しか入荷していません。
キルホーマン ブランブル リキュール
キルホーマン ブランブル リキュールは、ブラックベリーを使用したリキュール。
モルトウイスキーとハチミツ、キルホーマンのニュースピリッツにブラックベリーを漬けています。初めはキルホーマン蒸留所のビジター向けに販売されていましたが、今では一般向けにも流通。
シトラスやトロピカルフルーツ、バタークリームのような濃厚な甘さに爽やかな柑橘が加わった香りが特徴で、ブラックベリーのような甘酸っぱい味わいです。アルコール度数が19%と低いので、アイラモルト初心者にもおすすめ。
ソーダ割りで飲むのがぴったりです。
キルホーマンの歴史
「ウイスキーの聖地」であるスコットランドのアイラ島で造られているキルホーマン。
設立されたのは2005年と新しく、アイラ島になんと124年ぶりにできた蒸留所です。
規模も小さい蒸留所ですが、今ではカフェなども併設し、年間約1万人が訪れる人気スポットになっています。
このような人気になるまでには、どのような歴史があったのでしょうか。
「100%アイラ産」にこだわった蒸留所
キルホーマン蒸留所が設立されたのは、2005年12月14日。
アンソニー・ウィリス氏と、ロックサイド農場のオーナーだったマーク・フレンチ氏の2人が共同出資し、スタートしました。
蒸留所がある場所はアイラ島の北西部で、アイラ島にある蒸留所の中では最西端にあります。
キルホーマン蒸留所は、ロッホサイド農場内の古い建物の一部を改築して造られましたが、蒸留所と農場が関わっているのには大きな理由がありました。
それは、「100%アイラ産」にこだわり、大麦も自社で栽培しようという考えからです。
「ファーム・トゥ・グラス」を実現
「100%アイラ産」を目指してスタートしたキルホーマン蒸留所は、大麦農場と蒸溜所を併設し、「ファーム・ディスティラリー(農場蒸溜所)」を実現。
そして、2005年12月に初蒸留、2009年にはファーストリリースボトル「INAUGURAL」が誕生しました。
全工程を自社で行えるように
2011年には蒸留所にボトリングの設備をつくり、大麦の栽培からボトリングまでのすべての工程を自社で行えるようになりました。
2015年にはマーク・フレンチ氏が引退、現在はアンソニー・ウィリス氏が蒸留所と農場を兼任しています。
その後、世界的にアイラモルトウイスキーがブームになり、キルホーマンの売上も増加し、生産設備も倍増しました。
キルホーマンの製法の特徴
大麦の栽培からボトリングまですべての工程で行っているキルホーマン蒸留所。
アイラ島は大規模な蒸留所が多い中、小規模な蒸留所なので、だからこそ独自の製法を行えるのです。
ここからは、キルホーマンの製法の特徴を紹介します。
自社で栽培した大麦を使用
キルホーマン蒸留所の最大の特徴は、自社で栽培した大麦を使用しているということです。
アイラ島では昔は大麦の栽培から自社で行うのが一般的でしたが、今ではとても珍しく、キルホーマン蒸留所は伝統を復活させたと言えます。
キルホーマン蒸留所の近くには大麦畑があり、収穫した大麦は蒸留所の中で製麦されます。この製麦の工程にもこだわりがあり、伝統的なフロアモルティングを採用しています。
フロアモルティング後の乾燥にはアイラ島のピートを使用しています。
キルホーマン蒸留所では年間約350トンの麦芽を使用しますが、これは同じアイラ島にあるカリラ蒸溜所で使用する麦芽の2週間分にもなりません。このことからも、キルホーマン蒸留所が小規模なことがわかります。
ゆっくり発酵させる
発酵槽は4基あり、すべてステンレス製です。
発酵時間は、標準的な時間の約2倍の85時間かけ、ゆっくり発酵させていることが特徴。
ゆっくり発酵させることにより、乳酸菌が増え、クリーミーでフルーティーな味わいに仕上がります。
スピーディーに熟成させる
キルホーマン蒸留所には、初溜用のウォッシュスチルと再溜用のスピリットスチルが1基ずつ、計2基あります。
蒸留の中間期に行う「ミドルカット」の時間を短縮し、最後の「テール」をカットすることで、原酒を熟成させるスピードをアップ。
これにより、スピーディーに新たなアイテムをリリースすることを実現しています。
ボトリングも自社で
できあがった原酒は、主にバーボン樽とシェリー樽で熟成させます。
バーボン樽はアメリカのバッファロートレース蒸溜所、シェリー樽はスペインのボデガミゲルマーティンから仕入れいたものを使用。
その他にも、ポートワインやコニャックなどさまざまな樽を実験的に使用していることが特徴です。
そして、ブレンドされた原酒は蒸留所内でボトリングされ、世界中に出荷されます。
まとめ
今回はキルホーマンについてまとめました。マキヤーベイやサナイグについてはアイラの煙っぽさも少なく、万人受けするウイスキーになっていると思います。私も近所のバーでよく飲んでます。
是非皆さんも試してみてください!