グレンドロナック(GlenDronach)は、スコッチウイスキーの一種です。スコットランドの有名なウイスキー産地のひとつであるハイランド地方で作られています。
この記事では、グレンドロナックを詳しく紹介していきます。グレンドロナックのことを深く知りたい人、グレンドロナックを今まさに頼もうか買おうか迷っている人の参考になるような情報を提供していきます!
POINT
- グレンドロナックはハイランドエリアで作られているシングルモルトウイスキー
- 「ティーチャーズ(日本ではアサヒが取り扱っており、日本人にとっても馴染み深いウイスキーです)」というブレンデッドウイスキーのキーモルトとして使われている
- 全体の約85%でシェリー樽を使った熟成がされており、フルーティな香りが特徴的
- 歴史的に多くのオーナーの手を経ているが、現在はブラウンフォーマン社が運営をしています
グレンドロナックはこんな時に買う・注文すべき
グレンドロナックのことを知りたいと思い、この記事を読んで頂いてる皆さん。結局、ボトルを買うべきか、今飲むべきかで迷っていると言う方も多いかと思います。
そんな方の決断をサポートするために、場面ごとに買うべきか、注文すべきかpeatyなりの見解を示したいと思います!代表的なラインナップについて、記載させていただきます!
味わいとラインナップ
スコットランドのハイランド地方で造られているグレンドロナック(GlenDronach)。シェリー樽といえば、グレンドロナックというイメージありますよね。
ハイランド地方にはたくさんの蒸留所がありますが、グレンドロナックはその中でも古い歴史があります。
グレンドロナックは「ティーチャーズ」のキーモルトの1つとして使われていることでも有名ですが、伝統的な製法を守った味わいは独創的でもあり、世界で高く評価を受けている注目のブランドです。
それでは各ラインナップごとに細かくその特徴を紹介していきましょう。
- グレンドロナック オリジナル 12年
- グレンドロナック リバイバル 15年
- グレンドロナック アラダイス 18年
- グレンドロナック パーラメント 21年
- グレンドロナック ピーテッド
- グレンドロナック カスクストレングス
- グレンドロナック ザ ヒーラン 8年
グレンドロナック オリジナル 12年
辛口のオロロソと極甘口のペドロヒメネスシェリーの空き樽で熟成させたグレンドロナック オリジナル 12年。
ヨーロピアンオークのシェリー樽をヴァッティングし、作っています。
フルーティーな風味とビター感のバランスが良く、ハイランドモルトの入門編といえるアイテムです。
レーズンやシナモン、ヘーゼルナッツの香りが漂います。
味わいはレーズンやプルーンなどのベリー、マーマレードを塗ったトーストっぽい味わいに、チョコレートの甘くて苦いニュアンスも加わっています。
シェリー樽の香りと、甘い味わいが特徴的なアイテムなので、ストレートで飲むとそのおいしさをしっかり楽しめるでしょう。
グレンドロナック リバイバル 15年
スパニッシュ・オロロソ・シェリー樽で15年以上熟成させた原酒を使用したグレンドロナック リバイバル 15年。
グレンドロナックに昔から伝わるレシピで作っています。
濃厚なはちみつやブラックベリー、焼きプリンのようなしっかりした香りが個性的です。
紅茶やレーズンパン、プラムやいちじくといった樽の影響を受けた味わいが、やみつきになります。
香りも味も力強く、重厚感があり、飲み応えのあるアイテム。
2015年に終売になったためか価格が高騰していましたが、2018年には販売再開しています。
グレンドロナック アラダイス 18年
熟成はすべてスペイン産の最高級オロロソシェリー樽を使用したグレンドロナック アラダイス 18年。
香り高く、「シェリー爆弾」と呼ばれることも。
キャラメルやチェリー、バニラのような香りが特徴。
ラム酒やチョコレートケーキ、最後はゆずの皮のような柑橘の味わいを感じます。
アルコール度数は46%とスコッチウイスキーにしては高めの度数です。
濃厚な甘みのある味わいなので、ストレートで飲むとその特徴を感じやすいでしょう。
グレンドロナック パーラメント 21年
グレンドロナック オリジナル 12年と同様に辛口のオロロソと極甘口のペドロヒメネスシェリーの空き樽で熟成させたグレンドロナック パーラメント 21年。
21年以上熟成させているため、濃い琥珀色をしています。
ブラックベリーやブラウンシュガーのような香りが特徴、シナモンやチョコレート、イチゴジャムのような甘い味わいの中にナツメグやシナモンのスパイシーさも。
複雑な香りで、コクのある特別感のある味わいです。
バーなどでゆったりストレートで飲むのがおすすめ。
グレンドロナック ピーテッド
ピーテッド麦芽を使用し、バーボン樽で熟成させたグレンドロナック ピーテッド。
オロロソとペドロヒメネスの2種類のシェリー樽でそれぞれ追熟したものをヴァッティングして仕上げています。
グレンドロナックはノンピートが主流の中、少し珍しいアイテムです。
香りは大麦やシナモンシュガー、ビターオレンジ。
はじめはバニラやビスケットのようですが、ブラウンシュガーやスモーキーな味わいに飲んでいくうちに変化します。フィニッシュは、はパイナップルやローズヒップのようなトロピカルな印象です。
週末に少し灯りを落とした部屋で、ストレートで飲むのがおすすめ。
グレンドロナック カスクストレングス
辛口のペドロ・ヒメネスと極甘口のオロロソシェリー樽で熟成させた原酒をヴァッティングしたグレンドロナック カスクストレングス。
原酒に加水せず瓶詰めした限定品です。
香りは濃厚で、クランベリーやダークチョコレート、マニュキュアのようなニュアンスも。
スパイスやチョコレートレーズン、リコリス、メープルの味わいで余韻に赤ワインやオレンジピールを感じます。
ストレートで飲むのがおすすめですが、少し加水すると香りが開くので、よりグレンドロナック カスクストレングスらしい香りを楽しめるでしょう。
濃厚な風味なので、寒い季節にぴったりです。
グレンドロナック ザ ヒーラン 8年
バーボン樽とシェリー樽で熟成させた原酒を掛け合わせたグレンドロナック ザ ヒーラン 8年。
「ヒーラン」は「ハイランド」という意味で、これまでシェリー樽での熟成が中心だったグレンドロナックが新たなスタイルを打ち出したという思いが込められています。
バニラやオレンジ、レーズンなど華やかな香り。
味わいはアプリコットジャムやバタースコッチ、など。
調和のとれたアイテムで、価格は3,000円台後半から見つけることもできる、比較的お求めやすいアイテムです。毎日の晩酌にもおすすめです。
グレンドロナックの歴史
スコットランドのハイランド地方「アバディーンシャー」にあるグレンドロナック 蒸留所。
周囲にはたくさんの小川があり、夏は涼しく、冬は寒い環境です。
ちなみにグレンドロナック とはゲール語で「ブラックベリーの谷」や「イバラの多い谷」といった意味を持っています。
グレンドロナック蒸留所はスコットランドで最も古い部類に入る蒸留所ですが、その長い歴史の中には、波乱万丈の展開がありました。
創業者の転落
グレンドロナックは地元の地主ジェームス・アラデスによって1826年に創業されました。
ジェームス・アラデスはウイスキー造りに精力的に取り組み、その味はたちまち地元の貴族たちの人気に。そのウイスキーに惹かれたのが地主のゴードンという人物でした。
ゴードンは、グレンドロナックのウイスキーだけでなく、創業者のジェームス・アラデス自体にも魅了されました。ゴードンは、ジェームスをイギリス、ロンドンへ連れて行って社交界デビューさせました。
このことで有頂天になってしまったジェームスは、ウイスキー造りへの情熱を失い、仕事に身が入らなくなってしまったのです。
そんな中、1837年にグレンドロナック蒸留所は火災で焼失してしまいました。ジェームスが浮かれて仕事に身に入らなかったことが理由なのか、はたまた別の理由があったのか、は不明です。
次々と変わるオーナー
火災で焼失したグレンドロナック蒸留所は再建され、1852年にはウォーター・スコットに買収されました。再建された蒸留所を現在に至る状態まで育てたのがウォーター・スコットでした。
しかし、1887年にはジョン・サマービルに買収され、40年後の1927年にはキャプテン・チャールズ・グラントによって買収されました。このように19世紀から20世紀にかけて、次々とオーナーが変わっていったのです。
(余談ですが、キャプテン・チャールズ・グラントはグレンフィディックの創業者であるウィリアム・グラントの息子です)
訪れた転機
グレンドロナック蒸留所は1960年にウィリアムティーチャー&サンズ社に買収されました。この買収がきっかけで、グレンドロナックはティーチャーズのキーモルトに。
これがグレンドロナック蒸留所の転機でした。サンズ社のメイン商品のティーチャーズのキーモルトとして、安定した受注が見込めるようになったのです。ポットスチルの数もこのときに2基から4基まで増やしました。
その後、1996年にアライド社によってウィリアムティーチャー&サンズ社が買収されました。その影響で、1996年から2002年までグレンドロナック蒸留所は一時的に閉鎖しました。
再開後は、2005年にペルノリカール社、2008年にはベンリアックディスティラーズとオーナーが次々に変わりました。
2016年に、ブラウンフォーマン社がベンリアックディスティラーズを買収したため、現在はブラウンフォーマン社が運営。
ブラウンフォーマン社はグレンドロナックの伝統的レシピに則ったウイスキー造りをしているので、伝統の味が守られています。
グレンドロナックの製法の特徴
グレンドロナックは、ハイランドモルトらしい昔ながらの製法を守っていることで知られています。
ここからは、グレンドロナックの製法の特徴を紹介していきましょう。
一部フロアモルティングを行っている
グレンドロナックでは1996年に蒸留所を停止するまでフロアモルティングを自社で行っていました。
蒸留所再開後はスコットランドの精麦業者から購入した大麦麦芽を使用していますが、今でも一部の製麦でフロアモルティングを行っています。
また、使用している大麦はすべてハイランド産です。
木製のウォッシュバックを使用
グレンドロナックには9基のオレゴンパイン製の発酵槽(ウォッシュバック)があります。
木製のウォッシュバックを使用することにより、その蒸留所ならではの乳酸菌や酵母がつくので、独自の味を出せるのです。
ボールヘッド型のポットスチル
ずんぐりした形のボールヘッド型のポットスチルを採用。
初留用のウォシュスチルが2基、再溜用のスピリットスチルが2基、計4基のポットスチルがあります。
創業当時から石炭による直火焚きで蒸留を行っていましたが、2005年に廃止。
じつは、スコットランドの蒸留所で最後まで直火焚きを行っていたのがグレンドロナックでした。
シェリー樽で熟成
グレンドロナック蒸留所の最大の特徴が、シェリー樽で熟成を行っていることです。
全体の約85%でシェリー樽を使用していて、オロロソやペドロヒメネスなどさまざまな種類のシェリー樽を使っていることも特徴。
熟成庫は石造りになっているので、温度と湿度が一定、時間をかけて熟成されています
まとめ
グレンドロナックについてまとめました。このフルーティな味わいを、シングルモルトでぜひ味わってみてください!
ティーチャーズであればコンビニ等でも見つかるので、グレンドロナックのシングルモルトが見つからない場合は是非ティーチャーズを飲んでみてください!