こんにちは。Peaty編集部です。
この記事ではアメリカのウイスキーを紹介します。
アメリカンウイスキーは、文字通りアメリカのウイスキーです。アメリカには、バーボンしかないと思われがちですが、実は多くの種類のウイスキーがあります。
日本で見つけやすいこの記事を読んで是非色々試してみてください!
Point
- アメリカンウイスキーには、原料によって分類される8つの種類があり、代表的なのは、コーンが原料のバーボン。
- アメリカンウイスキーの特徴として、樽っぽさを感じることができるウイスキーが多いことが挙げられます。また、原料が多様であることも同様に特徴的です。
- 代表銘柄は、ジムビーム・メーカーズマークなどバーボンが多いです。その他のウイスキーも購入しやすいため、見かけた際にはぜひ試してみてください。個人的には、オールドオーバーホルトなどのライウイスキーがおすすめです。
アメリカンウイスキーの定義・種類
アメリカンウイスキーの定義
アメリカンウイスキーの定義は様々ありますが大きな定義は下記になります。
- 原料は穀物(トウモロコシ、ライ麦、小麦など)
- アルコール度数95%以下で蒸留し、ボトルに詰めるのはアルコール度数40%以上
- 熟成はオーク樽で行う(コーンウイスキーは例外)
他の地域のウイスキーと比べてとても定義が広いことが分かるかと思います。(例えばアイリッシュウイスキーの定義はこんなふうに決まっております。)
アメリカンウイスキーの種類
前述した定義にあてはまるウイスキーはすべてアメリカンウイスキーです。そんなアメリカンウイスキーにも、種類があります。有名なのはバーボンですが、実はバーボン以外にも主に原料が異なるウイスキーがいくつも存在しています。分類すること実に8種類です。
種類 | 主要原料 | その他特徴 |
バーボンウイスキー | コーン | コーンを51%以上利用し、内側を焦がしたオークの新樽で2年以上熟成 |
テネシーウイスキー | コーン | 基本的には、バーボンと同じ。蒸留直後にサトウカエデの炭でろ過すること(チャコールメローイング製法)が特徴。 |
ライウイスキー | ライ麦 | ライ麦を51%以上利用し、内側を焦がしたオークの新樽で2年以上熟成 |
ホイートウイスキー | ホイート(小麦) | ホイートを51%以上利用し、内側を焦がしたオークの新樽で2年以上熟成 |
モルトウイスキー | モルト (大麦麦芽) | モルトを51%以上利用し、内側を焦がしたオークの新樽で2年以上熟成 |
コーンウイスキー | コーン | コーンの利用が80%以上。古い樽もしくは、内側を焦がしていない新樽で熟成。 |
ライモルトウイスキー | ライモルト (ライ麦芽) | ライモルトを51%以上利用し、内側を焦がしたオークの新樽で2年以上熟成 |
ブレンデッドウイスキー | NA | 上記のウイスキー同士や他のスピリットをブレンドしたもの。 |
アメリカンウイスキーの特徴
アメリカンウイスキーの歴史
アメリカンウイスキーは、1622年にイギリスからの移民がウイスキー造りの技術を持ち込み、トウモロコシを原料としてウイスキーを造り出したのが始まりとされています。
初めは、美味しいとはとても言えない飲み物だったそうです。香料などをいれてごまかしながら、飲んでいたと言われています。(なぜ、そこまでして人類はお酒を飲みたいのか、不思議ですね。。。)
その後、ウイスキー造りが盛んなスコットランドやアイルランドの移民により高品質なウイスキー造りが行われるようになりました。
1861年の南北戦争は、本格的にウイスキー産業が発展するきっかけになりました。北部の資本が本格的に参入し、大量生産を目的としてケンタッキー州やテネシー州に蒸留所が増えたのです。
しかしこの後、蒸留所の数は減少していきます。アメリカでは元々、禁欲や勤勉を尊ぶピューリタン(清教徒)の影響が強かったと言われています。そんな中、1893年に結成されたASLという反酒場連盟の運動を境に飲酒に対する反対的な意見を持つ人々の意見が大きくなっていったからです。
そして、ウイスキー産業の力が弱まってきたタイミングで、ビール産業が盛んになっていきました。(ビールはウイスキーに比べてアルコール度数が低いため、禁酒運動時代でも寛容的な地域が多かったので、風当たりが弱かったようです)アメリカのウイスキー産業は禁酒法前から少しずつ弱くなっていたのです。
そして、第一次世界大戦をきっかけに各州で徐々に禁酒法が制定され、全面的に飲酒が禁止されました。上述のお酒への風当たりが強い上に、当時のビールメーカーの経営者がドイツ系が多かったため、アメリカにとって敵国であるドイツ系にお金儲けをさせないため、禁酒法を施行したと言われております。1920年にはとうとう合衆国憲法で禁酒法が制定されてしまいます。
これにより、お酒の製造はもちろん販売も禁止されてしまい、それまで残っていたウイスキー蒸留所も巻き添えになって閉鎖に追い込まれていきました。
禁酒法は1933年に撤廃され、その後徐々にアメリカンウイスキーの市場が復活に向かい、現在まで至ります。
アメリカンウイスキーの味わいの特徴
アメリカンウイスキーは、コーンが中心のものが多いので、甘くてまろやかと言われることが多いです。
また、アメリカンウイスキーで一番流通しているバーボンはその製法から樽の味を感じやすくバニラっぽいと言われたりもします。この樽っぽさ、バニラっぽさが男性っぽいという表現もされます。
個人的には、飲みやすくクセが抑えめのものが多いと思うのでぜひ初心者の方にも飲んでほしいです!
アメリカンウイスキーとスコッチとの違い
アメリカンウイスキーとスコッチの一番大きな違いは、原料です。
アメリカンウイスキーは、多様な種類の穀物を利用するのに対して、スコッチは、大麦麦芽が中心です。
また、味わいもスコッチの方がクセが強く多様なものが多いと言われています。ピートを聞かせたものやシェリー樽の味が染みついたもののインパクトがあるからですかね。
代表する蒸留所と銘柄
バーボンウイスキーの特徴と代表する蒸留所
バーボンウイスキーは、原料の51%以上がトウモロコシのウイスキーです。内側を焦がした新樽で熟成するため、樽の香りをしっかり味わえるのが特徴です。
バーボンについてはこちらの記事でも詳しく書いております。
ヘヴン・ヒル蒸留所(バーンハイム蒸留所)- Heaven Hill –
ケンタッキー州にありアメリカの中でも大型の蒸留所です。取り扱うブランド数は200を超えるほどで、生産量はアメリカの蒸留所でトップクラスに入ります。1996年に落雷で炎上し、現在はバーンハイム蒸留所を買収し生産を続けています。
代表銘柄は「ヘブンヒルオールドスタイルバーボン(HEAVEN HILL OLD STYLE)」で、バニラのような甘さや樽の香りを感じられるバーボンらしいウイスキーです。
ジムビーム蒸留所 – JIM BEAM –
1795年設立された蒸留所で、長い間家族で受け継がれてきた製法と秘伝の酵母を使用してウイスキー造りをするのが特徴です。
代表銘柄は「ジムビームホワイト」です。
バーボンの特徴であるキャラメルやバニラのような甘い香りとフルーティーな香り、そしてまろやかな口当たりで飲みやすいウイスキーです。日本ではハイボールとして飲むのが有名ですね。
ジムビームについては、こちらでより詳しく紹介しています。
ウッドフォードリザーブ蒸留所 – Woodford Reserve –
創業は1812年、バーボンではあまりない単式蒸留器で3回蒸留の製法を採用している蒸留所です。
この製法により、複雑な味わいと柔らかさを感じられるウイスキーを造っています。製法にこだわり、少量生産で上質なウイスキーを造っていることで知られています。
オーナーは、ジャックダニエルやブラウンフォーマンと同じ企業が経営しています。
代表銘柄の「ウッドフォードリザーブ」はスムースな口当たりと上品な味わいが人気なウイスキーです。
ウッドフォードリザーブについての詳しくは、こちらをご覧ください。
ブラウンフォーマン蒸留所 – Brown–Forman –
スコットランド出身の創設者によって1870年にできた蒸留所です。
この蒸留所を経営しているブラウンフォーマン社は、ジャックダニエルやスコットランドのベンリアック蒸留所など世界で数々の蒸留所を所有する大企業です。日本ではアサヒビールがブラウンフォーマン社の銘柄を販売しています。
バッファロートレース蒸留所(旧:エンシャント・エイジ蒸留所)- Buffalo Trace –
ケンタッキー州に位置するバッファロートレース蒸留所は、1773年創業されました。造っている銘柄は200近くあると言われており、ウォッカなども製造している非常に大きな蒸留所です。
代表銘柄の「バッファロートレース」は、ラベルに描かれている迫力あるバッファローが印象的なウイスキーです。特徴は、バニラなどの香りとバターのような甘い味わいです。また、爽やかなミントやスパイシーさも感じられ、上品な口当たりを楽しめます。
バッファロートレースについては、こちらで詳しくご紹介しています。
ワイルドターキー蒸留所 – Wild Turkey –
ワイルドターキー蒸留所は、1869年設立でケンタッキー州に位置しています。長年家族経営をしていることでも知られる蒸留所です。
原料にはライ麦と大麦麦芽を多く使用しており、フレーバーや風味を残すために蒸溜時のアルコール度数は60〜65度と低めに設定されています。
ワイルドターキーという名前は、七面鳥狩りが趣味の当時のオーナーが、自慢のバーボンと七面鳥を一緒に振る舞ったところ、バーボンの味に感動した仲間がワイルドターキーと名乗ったことが由来になっています。
代表銘柄の「ワイルドターキー」は、バーボン特有のバニラの香りとスパイシーさを感じられる力強い味わいが特徴です。
ワイルドターキーについて詳しく知りたい方は、こちらもご覧ください。
フォアローゼズ蒸留所 – Four Roses –
フォアローゼズ蒸留所は、2001年に日本のキリンビールが買収した蒸留所としても知られています。この蒸留所で造られているウイスキーは「フォアローゼズ」のみで、50年以上同じトウモロコシ農家のものを原料にしているというこだわりの詰まったウイスキーを造っています。
代表銘柄の「フォアローゼズ」は、華やかな香りやなめらかな味わいが楽しめる女性人気も高いウイスキーです。ボトルに描かれている上品な赤いバラがトレードマーク。プレゼントとしても喜ばれそうですね。
フォアローゼズについて、こちらからも詳しく知ることができます。
メーカーズマーク蒸留所 – Maker’s Mark –
1840年に創業され、当時から家族経営を続けている蒸留所です。現在親会社はサントリーですが、代々受け継がれている製法で美味しいウイスキーを造り続けています。ライ麦ではなく冬小麦を使用して造るウイスキーが特徴です。
代表銘柄は「メーカーズマーク」で日本でもよく見かけるとても人気の高いウイスキーです。メーカーズマークレッドトップはバニラとはちみつを感じる香り、冬小麦由来の柔らかい甘さを味わえます。
また、ボトルネックの赤い封ろうは職人さんが1つずつ丁寧に手作業で作っており、ボトルによって形が違うのが特徴です。
メーカーズマークのご紹介は、こちらがより詳しいです。
テネシーウイスキーの特徴と代表する蒸留所
バーボンウイスキーの中でもテネシー州でチャコール・メローイング製法(蒸留液をサトウカエデの木炭で濾過する製法)で造られるウイスキーがテネシーウイスキーです。こだわりの製法から生まれる甘くまろやかで、飲みやすい味わいが特徴です。
同じバーボンでもテネシーウイスキーだけ別の種類として扱われている理由は、1860年代の南北戦争がきっかけと言われています。バーボンの製造を共にしてきたケンタッキー州とテネシー州ですが、戦争で敵同士になってしまいます。テネシー州はケンタッキー州のバーボンに対抗して、バーボンとは違ったこだわりのウイスキーを造り出し、現在のテネシーウイスキーに繋がっています。
ジャックダニエル蒸留所 – Jack Daniel’s –
創業は1866年で政府公認第一号のバーボンの蒸留所で、テネシーウイスキーを代表する蒸留所です。
代表銘柄は「ジャックダニエルブラック」で、バニラのような甘めの香りとまろやかでバランスの取れた味わいが特徴で、初心者の方にもおすすめです。創業から150年以上、長い歴史の中で造られたジャックダニエルの味をお楽しみください。
ジャックダニエルについては、下記もぜひご覧ください。
モルトウイスキーの特徴と代表する蒸留所
モルトウイスキーは原料51%以上がモルト(大麦麦芽)のウイスキーです。蒸留所の場所や製法によって味わいが様々あります。
ウエストランド蒸留所 – WESTLAND –
ウエストランド蒸留所は、ワシントン州シアトルで2010年創業の新しい蒸留所です。
ワシントン州は品質の良い大麦と良質な水源でも知られています。そのため、ウエストランド蒸留所で造られるシングルモルトウイスキーは、高品質でいくつもの賞も受賞しており近年注目を浴びています。
代表銘柄は「ウエストランドアメリカンオーク」です。レモンやオレンジの香りとフルーティーな味わいを楽しめます。また、他にも2種類のシングルモルトウイスキーを造っているので様々な味を飲み比べするのもおすすめです。
ライウイスキーの特徴と代表する蒸留所
ライウイスキーは、原料の51%以上がライ麦のウイスキーです。スパイシーで苦味のある味わいが特徴のため、辛口のお酒が好みのかたや、ウイスキー上級者におすすめです。
ミクターズ蒸留所 – Michter’s Distillery –
1753年からアメリカ最古の蒸留所の1つといわれている蒸留所です。
「コストは度外視」というモットーで当初から、厳選された原料や製法にこだわっており、質の高いウイスキーを世に出し続けています。貯蔵樽を焦がす際には、通常1回焦がすだけの所を2回に分けて焦がすことで、まろやかな味わいを作り出しています。
その他、ジムビーム蒸留所で造られる「オールドオーバーホルト」やワイルドターキー蒸留所でもライウイスキーが造られています。
ホイートウイスキーの特徴と代表する蒸留所
ホイートウイスキーは原料の51%以上がホイート(小麦)のウイスキーです。小麦が原料のウイスキーは、まろやかで柔らかい味わいが特徴です。
ヘヴン・ヒル蒸留所(バーンハイム蒸留所) – Heaven Hill Distilleries, Inc –
バーボンウイスキーを造っているヘブン・ヒル蒸留所ですが、「バーンハイムオリジナル(BERNHEIM Original)」というホイートウイスキーも製造しています。
バニラのような甘い香りとなめらかで優しい口当たりが特徴です。まだ日本ではあまり見かけませんがバーなどで見かけた際は、ぜひお試しください。
コーンウイスキーの特徴と代表する蒸留所
コーンウイスキーは、原料の80%以上がトウモロコシのウイスキーです。熟成年数の決まりがないため、熟成年数が少ない銘柄もあり荒々しいアルコール感と甘いコーンの味わいが特徴です。
マコーミック蒸溜所 – McCormick Distilling –
アメリカのミズーリ州にある蒸溜所です。
代表銘柄は「プラットバレーストーンジャグ(PLATTEVALLEY)」は、88%コーン比率のウイスキーで、ほんのり甘みがあり飲みやすいウイスキーです。
陶器の形状をしているボトル(ストーンジャグ)が特徴的で、インテリアとしても非常におしゃれですね。
また、マコーミック蒸溜所以外にバーボンウイスキーを造っているヘヴン・ヒル蒸留所(バーンハイム蒸留所)も、「メロウコーン」というコーンウイスキーを造っており、コーンウイスキーの代表的な銘柄として有名です。
ライモルトウイスキーの特徴
ライモルトウイスキーは原料51%以上がライ麦芽のウイスキーです。あまり流通が少ないウイスキーです。
ブレンデッドウイスキーの特徴
ブレンデッドウイスキーはバーボン、ライウイスキー、コーンウイスキーなどのストレートウイスキー20%以上に他のウイスキーかスピリッツをブレンドしたウイスキーです。
まとめ
アメリカンウイスキーの定番「バーボン」の銘柄は聞き馴染みのあるものも多いのではないでしょうか。バーボンから試してみて、徐々に他のウイスキーに広げていくのも良いかもしれませんよ!
世界5大ウイスキーについて詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください!